中国の三国時代を描いた歴史本『三国志』の日本での人気には圧倒的なものがあります。世代を超え、本当に多くの人に愛されています。
ご存知のように、『三国志』は広大な中国を舞台に魏・呉・蜀の三国が権力を争った歴史物語です。魏の劉備玄徳・諸葛亮孔明、呉の孫権、蜀の曹操を中心に、数多の個性的なキャラクターが登場しますっ!
たまりませんねぇ
もちろん、『三国志』は史実に基づいていますが、各キャラクターの特異な個性と神がかった能力はスーパーヒーロー級!その影響もあって『三国志』は爆発的人気を誇っているのです。
きっとあなたも大の「三国志」ファンなのでは?
というわけで今回は、おすすめの「三国志を辿る旅」を紹介したいと思います。
三国志関連の遺跡は中国全土に広範囲に渡って無数に点在しています。三国志ファンならば「そのすべてを制覇したい!」…というのが心情でしょうが、それはあまりに無謀です!時間がいくらあっても足りませんから!
そこで、ここでは必見スポットが集中している「湖北省」を紹介してみたいと思います。
長江中流域に位置する湖北省は、北京・上海・四川を結ぶ陸・水の交通の要所として発展してきました。そして、上記イラストを見てもらえれば分かる通り、三国時代には、魏・蜀・呉のちょうど真ん中に位置し、激しい攻防が繰り広げられた地域でもあったのです。
そのため、三国志の重要な遺跡が数多く存在する黄金エリアでもあります。
曹操が劉備を攻めた「長坂の戦い」、曹操軍と孫権&劉備連合軍とがぶつかった「赤壁の戦い」、孫権が劉備を打ち破った「夷陵の戦い」などなど。
また、劉備が諸葛孔明を訪ね、軍師として迎えるために「三顧の礼」を尽くしたのもここ湖北省です。そんな数ある遺跡の中から、特に有名な「赤壁古戦場」「古隆中」「長坂坡」の3つをピックアップしてみました。
①「赤壁古戦場」
映画『レッドクリフ』で一躍有名になった「赤壁の戦い」は、208年に起こった「曹操軍 vs 孫権・劉備連合軍」の合戦のことです。曹操の全国制覇が事実上失敗した、『三国志』最大の見せ場ともいわれています。赤壁の戦いが行われたと伝えられる場所は、長江・漢水沿いに数ヶ所存在しますが、最も有力視されているのがここ「赤壁古戦場」です。
水上の赤壁磨崖石刻を筆頭に、諸葛孔明が東南の風を祈った拝風台、鳳雛庵、赤壁大戦陳列館、三国志の中でも美男子として知られる周瑜像などがあります。ちなみに、“赤壁”という言葉は連合軍が曹操の軍船を焼き払った時に燃えた炎が、長江の岸壁まで赤く染めたことに由来するといわれています。
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■赤壁古戦場
住所:湖北省咸寧市赤壁市赤壁鎮アクセス:まず、北京か上海から飛行機や列車で「武漢」へと移動します。そして、武漢から約3時間半かけて向かうことになります。武漢市内の「武漢宏基汽車客運駅(武漢宏基バスターミナル)」で赤壁鎮行きバスに乗り終点で下車。そこから徒歩1kmほどです。
② 劉備が諸葛孔明に三顧の礼を尽くした「古隆中」
「古隆中」は諸葛孔明が17歳から27歳まで隠居していた場所です。劉備玄徳が諸葛孔明を軍師として迎えるために、何度も何度も足を運び礼を尽くした「三顧の礼」の舞台でもあります。入り口から頂上までの山道には、草廬亭、武候祠、三顧堂、臥龍深処、博物館など、諸葛孔明を偲ばせる建物が点在していて、ゆっくりじっくり観たい方は半日くらい必要でしょう。
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■古隆中
住所:湖北省襄樊市襄城区隆中路6号
アクセス:北京や上海から飛行機か列車で「襄樊」へ移動します。そこでバス512路に乗り「隆中」で下車。そこから徒歩で1kmほどです。
③ 趙雲、張飛が名をあげた古戦場「長坂坡」
208年、曹操が劉備を攻撃した「長坂の戦い」が勃発します。「赤壁の戦い」の引き金となった合戦です。
『三国志』では、曹操軍に生け捕られた劉備の妻子を助けるため単騎で敵軍に乗り込んだ趙雲と、先鋒として曹操軍の攻撃を抑え、劉備を脱出させた張飛の活躍が鮮やかに描かれています。
う〜ん、あの感動のシーンが鮮明に蘇ってきますねぇ。
この「長坂の戦い」を記念した長坂坡公園の周囲には、趙雲像、劉備の妻が子どもを抱えて隠れていた太子橋、劉備の妻・麋夫人が身投げした娘娘井、張飛を祭った張翼徳横矛処など、趙雲 & 張飛に関する遺跡がいくつもあります。
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■長坂坡公園
住所:湖北省当陽市玉陽街道長坂路
アクセス:北京や上海から飛行機か列車で「武漢」へ移動し、市内の「武昌付家坡客運汽車駅(武昌付家坡バスターミナル)」で当陽市行きバスに乗ります。
他にも、
- 孫権が築いたとされる「黄鶴楼」(武漢市)
- 赤壁の戦いで敗れた曹操を関羽が待ち伏せした「華容道」(監利県)
是非、時間をかけてゆっくり歴史探訪してみてくださいね!