台湾は2025年までに全ての原発を停止する方向で動いています。それは、「原発ゼロ」を公約に掲げ就任した蔡英文 (ツァイインウェン) 総統が着々と進めているのです。
台湾では、2015年時点で「電力に占める原発の割合」が14%。これを2025年度にはゼロにし、代わりに再生エネルギーを4% → 20%にしたい意向を示しています。
そもそも、台湾は日本の技術力を高く評価しているのですが、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故の衝撃は大きかったのでしょう。
未来を見据え、大きく方向転換しようとしています。
(一方日本では、「喉元過ぎれば何とやら」で反省と改善の意思は弱いようです)
台湾では現在、3つの原発が稼働しています。
- 第一原発 1号機 停止中
- 第一原発 2号機 稼働中
- 第二原発 1号機 稼働中
- 第二原発 2号機 停止中
- 第三原発 1号機 稼働中
- 第三原発 2号機 稼働中
- 第四原発 反対運動により1,2号機とも稼働凍結
そのうち2つは人口が密集する台北中心部から二十数キロしか離れていません。
台湾だって日本同様非常に地震が多いんです!不安も高まります!
(日本の官僚たちには目先の利権しか見えていないのでしょう。未来を案じる危機管理意識の欠如…残念でなりません)
日本と違い台湾では、きちんと未来を見据えています。発電から発生する「原発のゴミ」とも言われる放射性廃棄物の処分場所もなく、子孫に負担を押し付けたくないという責任感が強いのです。
台湾では、原発を稼働できるのは40年間。2025年は全ての原発が運転開始から40年を迎える年なのです。
「将来に、負の財産を残してはいけない!」
冒頭でも述べた通り、再生エネルギー (太陽光、風力など) の発電量を今の4%から20%まで高めることを目標にしている台湾。
日本でも実施されている、無計画に景観を壊しまくっている建物や空き地への太陽光パネルの乱立には目を覆いたくなりますが…
おそらく台湾では、計画的に大型の地上発電施設を造っていくことになるでしょう。
台湾海峡の季節風を利用する洋上の風力発電にも取り組み始めています。
地球と人類とのWin-winの関係性を期待したいものです。
果たして実現できるのか?再生エネルギーを増やせるのか?電気料金は高くならないのか?
課題はけっして少なくありませんが、目標時期までに明確な方向性と対策を示せれば、企業の取り組みも活発になり成功へと近づいていくことでしょう。
現在日本では、太陽光関連事業に関わった会社の倒産が相次いでいます。国が「無計画」に太陽光発電促進のため助成金を乱発したせいでもあります。
「利害だけ」でなく、後世の人たちのことも考えた舵取りのできるリーダーの出現に期待したいものですね。
ちなみに…
実は、台湾電力は、原発由来の低レベル廃棄物の保管場を少数民族の住む孤島に作りました。しかもずさんな保管状態で。。。
万一漏れれば、それは潮流に乗って日本にもやって来るでしょう。
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2016年度はイギリスのEU離脱問題に始まり、フィリピン・ドゥテルテ大統領の出現、アメリカ・トランプ大統領まさかの勝利と、次から次へと「自国のことしか考えない」動きが活発になってきました。
「自国民の利害だけ」…でなく、他国民や世界中の子孫のことをも考えた政治・経済活動を強く求めたいものです。
そういった意味でも、台湾には是非、予定通りに「原発ゼロ」を実現させてもらいたい。そう願わずにはいられません。