金持ち犯罪者に牙を剥き始めたタイの人々



タイでは相続税がないため、一度金持ちになれば余程のヘマをしでかさない限りその富は永遠に受け継がれていきます。

金持ちには警察ですらかないません。新聞や雑誌などの出版社はいろいろな権力から圧力を受け報道規制がありました。。

 

そのため財閥や名家などが存在し、一般市民の雇用を創出する代わりに権力を振るい、幅を利かせ、強靭なコネクションを築き、不祥事をもみ消し、極端に言えば殺人を犯しても無罪放免となっていたのです。それがこれまでのタイでした。

 

しかし近年、タイ人の意識は随分変わってきているのです。

 

 

 

元風俗王チュウィット党首に実刑判決

2003年1月、バンコク都スクムウィット・ソイ10の一角「スクムウィット・スクエア」に軒を連ねるバーや商店約60軒が重機などで取り壊される事件が起こりました。

それから…月日はかなり経ちましたが、この暴挙の主犯であるラック・タイランド党のチュウィット党首(55)に禁錮2年とする最高裁判所の有罪判決が言い渡されたのです!(これまでのタイでは絶対にあり得ないこと)

 

チュウィットは複数の特殊浴場(マッサージパーラー)を経営し、警察批判や歯に衣着せない発言で有名な人物。そんな傍若無人な彼は当時「スクムウィット・スクエア」の一角を5億バーツで購入したものの、店が立ち退かなかったことから強硬手段に訴え、「破壊」を行ったのです。

 

金持ちの権力者に「有罪」が確定するなんて!タイにおいては驚き以外のなにものでもありません。

最高裁によれば、「党首は被害を受けた人々にすでに弁済しており、また、その一角を商業利用せず公園とした」ことから2審の禁錮5年を禁錮2年に減刑。それでも、執行猶予は適用されませんでした。

 

 

 

タイ人意識の変貌

ツイッターやフェイスブックなどが普及したネット社会ということもあってか、タイの一般市民はアンタッチャブルだった大金持ちの不正を断固許さなくなってきているようです。

 

 

 

金持ちのお坊ちゃん逮捕

2012年、フェラーリが警察官を轢き殺し逃走する事件発生。犯人は大企業創業者一族の孫でした。

使用人を身代わりに自首させたものの、「つじつまが合わない」とすぐにバレてしまい、このニュースが瞬く間にネットで拡散されました。

「警察頑張れ!」「金持ちの不正を許すな!」そんな人々の声に後押しされてか、本気を出した警察はこの孫を逮捕したのです!

 

 

 

人気歌手逮捕

2012年、タイで有名な女性アイドルが飲酒運転で検問に引っかかりました。「私有名人なんだよ!」「私を捕まえるとあなたが大変なことになるわよ!」と高慢ちきなこのアイドルは車に籠城作戦決行!

しかし、この騒動はすぐにネットで拡散され、マスコミに大々的に報じられることとなり、結局彼女はどうすることもできず検挙されちゃいました。

 

※ 過去に発生した有名人飲酒運転死亡事故などは、密かに遺族に慰謝料を払い、本人は罰せられることなくすぐに仕事復帰するのが常でした

その当時からすると、タイの社会も随分変わったものです。

 

 

 

警察署長の言葉

「昔と違い、今は麻薬も殺人も飲酒ももみ消しは困難となった。」

とはいえ、今でもスピード違反程度のものであれば簡単にもみ消しているようです。