タイに存在する「不敬罪」の現実!その時国王は…



「微笑みの国」タイランドでは、王様を侮辱したり名誉を毀損したと判断されると「不敬罪」で罰せられます。

現在、クーデターによって軍が政権を握っているタイでは、「君主制の擁護者」を自負する軍が「不敬罪」を用い、次から次へと逮捕者を増やし続けているようです。

 

例えば、プミポン国王の愛犬を、Facebook上でちょっと面白半分にからかった20代の男性も逮捕されてしまいました。

果たしてタイランドの行く末やいかに〜〜〜

 

というわけで、今回の記事は「不敬罪」について書いています。でもその前に、ちょっとだけ「超富裕層」の話をさせていただきます。

 

 

 

我が愛しのタイランドでも増え続ける「超富裕層」の人々

タイにおける「超富裕層」の人口は、東京五輪が開催される2020年頃には1,000人を突破する…と予測されています。

(2015年時点での人数は572人、2005年の243人から倍増)

 

ちなみに、世界全体の超富裕層は18万7,468人 (2015年) 。こちらも、2005年の11万6,800人からグーーーンと増えています。

国・地域別ではアメリカがトップ!そして、中国、英国と続きます。今後、2025年には世界の超富裕層は26万人超…と推測されているのですが…

私たちはこの中に入れますでしょうか?

 

はぁ〜〜〜

ますます貧富の差が広がっていくんですねー。。。

 

 

 

アジアでも増え続ける「超富裕層」の人々

世界、そしてアジアでも急増する超富裕層

 

○ アジアにおける「超富裕層」人口の推移

2005年・・・2万人弱

2015年・・・4万人超

2025年・・・約7万人と予想

 

すごいですねー

 

特に、中国・インド・シンガポール・・タイ・マレーシア・インドネシアにおける伸び率は顕著なようです。

タイも頑張っていますね。

 

 

そんな経済発展の目覚ましいタイランドには「不敬罪」という罰則があるようで…

 

 

 

「不敬罪」とは…

不敬罪が厳しいタイランド

そもそも「不敬罪」とは、国王や皇帝などの君主や、王族・皇族など君主の一族に対して名誉や尊厳を害するなど、不敬とみなされる行為を犯罪とするものです。

現在では、法の下の平等思想・良心の自由表現の自由の観点から、君主制を採用している国であっても廃止している制度なのですが、

  • サウジアラビア
  • イスラム諸国

 

そして、タイ王国は、現在も「不敬罪」が存在する数少ない国なんです。

 

 

 

日本における「不敬罪」

日本にも、過去を振り返ると「不敬罪」が存在していました。1880 (明治13) 年〜1947 (昭和22) 年、半世紀以上も…

でも、年間検挙数は数十件程度で、数ヶ月〜4,5年程度の懲役刑とされており、あの時代のイメージからするとそんなに酷かったわけではなさそうです。

 

現行法律下では、告訴権者が「天皇・皇后・太皇太后など」である時に、内閣総理大臣が代わって名誉棄損罪や侮辱罪の告訴を行うことができるのみで、適用される法律は、一般国民のそれとなんら変わらないようです (刑法232条)。

 

 

 

サウジアラビアの「不敬罪」

サウジアラビアにも存在する刑罰「不敬罪」

サウジアラビアでは、国王や王族のみならず、預言者ムハンマドを侮辱した場合でも「不敬罪」に問われます。

2012年、サウジアラビア国内の若手ジャーナリストがムハンマドに対して「私はあなたについて好きなところも嫌いなところもある。私はあなたのために祈りを捧げない。」とTwitterで呟いたところ、

 

「死刑にしろ〜!」

 

という声が国内中に広がりました。

 

その後彼はマレーシアへ亡命せざるを得なくなり出国したものの、マレーシアの空港で身柄を拘束され勾留。

重罰が課せられるのか、と思いきや2013年秋には釈放されました。

 

めでたしめでたし。。。

 

 

 

タイの「不敬罪」

なぜタイには不敬罪が存在するのか?

1956年の制定当初は「7年以下の刑」だったのが、1978年のクーデター後、より重罰化されました!

ちなみにタイの場合は、自国の君主のみならず、他国の君主や元首たちを侮辱した場合も、別の条項によって罰せられます。

気をつけましょう!

 

タイでは、映画館で流れる王室歌の際に起立しないことで「不敬罪」とみなされる可能性があります!

2009年には、2,000以上ものウェブサイトが皇室侮辱だとして閉鎖させられました。

また同年には、タクシン派の幹部らが集会で国王批判したとして禁固18年の刑を宣告されたりしています (最終的にどうなったのかは未定)。

 

 

 

不敬罪で服役のタイ女性3人、恩赦で釈放

 

「2006年の軍事クーデターの背後にいたのはタイ国王だ」と王室批判し、それによって不敬罪で懲役15年を言い渡されていた「魚雷のダ―姉さん」
「2006年の軍事クーデターの背後にいたのはタイ国王だ」と王室批判し、それによって不敬罪で懲役15年を言い渡されていた「魚雷のダ―姉さん」

 

「お前は王室を侮辱した!」として不敬罪で数年間服役していた女性3人が、王室の恩赦で釈放されました (2016年)。

タイの不敬罪は本当に厳しくて、どんな場合であっても、「王室に対する批判だ!」とみなされたが最後、最長15年の禁錮刑が科せられます。

 

2014年に「王制護持」を掲げる国軍がクーデターで政権を掌握して以降、不敬罪の適用は急増!

しかもその裁判というのは軍事裁判所によるものなので、その公正さはどれも疑わしいものばかり。

本当に気をつけないと、とんだ濡れ衣を着せられかねません。

 

釈放された女性の一人ダー姉さんは、政治集会での演説を理由に服役し5年以上経っていました。不敬罪の場合、保釈は一切認められていません。しかもこの女性は軍政が敵視するタクシン元首相の熱心な支持者だったのです。

実際は、国王を侮辱したというより軍政を批判しただけだったのではないでしょうか。

 

また、釈放された別の女性は、2014年に風刺劇を上演し逮捕されました。禁錮2年6か月を言い渡され、既に2年4か月も服役。

きっと、「恩赦するならもっと早くやってよ!」と思ったに違いありません。

 

3人目は、国王の肖像画に対する「不適切な行動」を理由に2015年有罪となった高齢の女性です。

彼女は裁判で精神疾患を患っていることが認められたのですが、その上で、行動が「あまりに悪質」だったとされ禁錮刑が科されていたのです。

 

皆さん、タイ旅行で楽しいひと時を過ごすのは良いことですが、間違っても「不敬罪」に問われるような言動は慎みましょうね。

 

 

 

こんなことでも「不敬罪」に…

SNSで、学生活動家の息子に「うん」と返事をしただけの母親にも不敬罪。。。

 

プミポン国王の愛犬をからかい不敬罪となったタイの若者国王の飼い犬をちょっとからかっただけでも不敬罪。。。

 

タイ国王の加工写真に「いいね」をしても不敬罪で逮捕されちゃいます!

 

近年、国際社会において、タイの「不敬罪」は芸術や学問を「窒息」させる効果があり、クーデター以降、この法律の執行がいっそう厳しくなっていると指摘されています。

 

あ〜 愛しのタイランドに表現の自由あれ〜!

 

 

 

おわりに

タイには、タイ国刑法第112条の「不敬罪」と呼ばれている法律があります。

「国王、王妃、王位継承者あるいは摂政に対して中傷する、侮辱する、あるいは敵意をあらわにする者は、何人も3年から15年の禁固刑に処するものとする」

 

本記事トップの写真に写る若い男女は、26歳男性と23歳女性の2人。タイの刑事裁判所は、「刑法第112条に違反した」として禁錮2年6ヵ月の判決を下しました。

実際には禁錮5年の判決でしたが、2人が罪を認めたため、半分に減刑されたようです。

 

1973年に、学生を中心とした反政府・民主主義運動家と治安部隊が衝突した「血の日曜日事件」が起きたのですが、

それから40年後の2013年、タマサート大学構内で彼らは王室を批判する演劇を上演したそうです。さらに、そのビデオをネットに流してしまったことから、2014年に逮捕されました。

 

国際的に極めて評判の悪い「不敬罪」

 

タイの王様自身、不敬罪を良しとしていないのですが、政治的思惑により過度に適用できるため、政府はなかなか廃止にしたくないようです。

 

 

タイの国王は時々、不敬罪で捕まった人たちに対して「恩赦」を出し減刑しています。

この写真の二人、仲良く手を繫いで、政治犯とは思えない表情をしていますね。