シリアの観光スポットと「親切は天国への近道」という話



皆さんは中東の「シリア」という国に対してどんなイメージを持っていますか?「危険な国」「治安が不安定な国」というイメージがあるのではないでしょうか?

 

世界には、見れなくなる絶景があります。

シリアにある世界遺産パルミラ(現地語でタドモル)もその一つ。 2015年夏、ISによってパルミラ遺跡にある築2000年の「ベル神殿」が粉々に破壊されました。
 
確かに今は「怖い国」…かもしれません。でも、シリアの人たちは、シリアという国が本当に大好きです。パルミラの破壊が、どれほど悲しいものであったか…
 

私が初めて訪れたのは2005年の夏。イラク戦争から間もない時期ではありましたが、驚くほどの治安の良さが印象的で、すぐに町の人に囲まれ質問攻めを受けるような、 そんな国民性にすっかり虜になりました。

 

そこで今回は、そんなシリアの「絶対に訪れてほしい観光スポット」と「素敵なエピソード」について書いてみたいと思います。

 
 
 

シリアでおすすめの観光地3か所

まず、私は平和な時代のシリアを旅することができたとても幸福な人間です。現地の人たちにもとても親切にしていただきました。

だからこそ、シリアの魅力を多くの方に伝えたいと思っています。「シリア=戦争」という悪いイメージを払拭し、今後再び平和が戻り、たくさんの観光客がシリアを訪問することを心より願っています。

 

① パルミラ遺跡

シリアと言えば、まずこれです!パルミラの遺跡はシリアの首都ダマスカスの北東、約215kmのシリア砂漠の中にあります。その規模は、実際訪れると想像以上だと感じるでしょう。

パルミラは、紀元前1世紀から3世紀までは「シルクロードの中継都市」として発展しました。その後は交易の関税により都市国家として繁栄し、ローマの属州となったこともあります。

 

ISによる破壊で、「ベル神殿」などが粉々にやられてしまいましたが、他の遺跡群が残っていることを心から祈るばかりです。これだけ見ごたえのある古代遺跡はなかなかありません。

 

② 首都ダマスカス

内戦が始まる前のダマスカス。シリアの首都であるダマスカスはまるで旧約聖書の世界です。街の近郊には「この世で最初の殺人」として有名なカインとアベルの物語由来のカシオン山があります。

 

旧市街に残る歴史的な建造物はユネスコの世界文化遺産に登録されています。ただ、2013年の騒乱による被害のため、シリア国内の他の5つの世界遺産とともに危機遺産に登録されました。

世界最古のモスクと言われるウマイヤド・モスクも旧市街地にあります。


 

③ クラック・ドゥ・シュヴァリエ

クラック・ドゥ・シュヴァリエは十字軍の要塞です。シリアは旧約聖書の舞台だけではありません。かつて十字軍もその居城を構え、東のイスラム勢力と戦っていたんです。

 

こういった歴史を事前に勉強し、平和が取り戻された際に訪れることをおすすめします。

 

 

シリア難民はなぜヨーロッパを目指すのか

シリア難民の人たちは、近隣諸国であるヨルダン・トルコ・レバノン・イラクに行った後、ヨーロッパを目指します。もちろん、全ての人がそうではなく、「戦争が終わればすぐにシリアに戻れるように」と近隣諸国にとどまる人も少なくありません。

けれど、ヨーロッパの国々はシリア難民を “お客様”ではなく難民として受け入れてくれます。つまり、権利が与えられるのです。語学学校に通うだけで充分な金銭的サポートがあり、数年住めば国籍も与えられます。

「このままシリアにいても希望はないしね…」

 

ただご存知のように、ヨーロッパへの道のりは決して簡単ではありません。

ギリシャに決死の密航を経てたどり着いた人たちは、一人700ユーロ(約87000円)が必要でした。これが家族分必要なのです。9mの大きさのゴムボートに40人ほどが乗り込み、2時間~3時間ほどの航海をします。

 

「目の前で沈んだボートがあったよ。沈んでいく瞬間を見たんだ…」

「俺のボートは出発して30分で転覆した。立て直したボートに必死にしがみついて、ここまで来たんだ」
そうした決死の密航を経てたどり着いたギリシャ。ギリシャからはバスで旧ユーゴ圏を超え、ドイツやスウェーデンなどを目指します。ギリシャにも難民キャンプはありますが、滞在はせず、当日か翌日にはすぐにヨーロッパに向かうケースが多いようです。

 

ただ、本音では皆「シリアに帰りたい」のです。「僕たちはヨーロッパに行きたいわけじゃないんだ」。少ない選択肢の中で、考えられる最善のものとしてヨーロッパを希望しているだけなのです。

 

さて、

ここからはシリアにまつわる「素敵なエピソード」をいくつかみていきましょう!

 

 

褒めるとプレゼントしてくれる

シリアでは、褒めると「良い?じゃああげるね」と言われることもしばしば。「これ、どう?」と聞かれたので、「素敵だね~」と言っただけなのに!

基本的に、シリア人は人にプレゼントすることが大好きなんです。お菓子屋さんで「これ何?」と聞いたら「試してみな」と飲み食いさせてくれます。しかも、「もう買わなくていいや」と思うくらいの量です。
 
「おいしい!」と素直な感想を言うと、すごく嬉しそうにしてくれます。そして、さらにくれようとしてくれます。

ここシリアでは、海外の旅でよくある「くれくれ」攻撃はなく、「あげるあげる」攻撃なのです。

 
 
 

「まぁ、座ってお茶でも飲んでいけ」

街中を歩いていると、突然呼び止められ「こっちに来い!」と言われます。何の用かと思って行くと、「まぁ、座ってお茶でも飲んでいけ」と甘い紅茶が出てきます。ミニバスで、隣の席に座ったおばちゃんと話しているうちに、「ここで降りて私の家で昼ご飯を食べて行きな!」なんてことも。

イスラムの教えには「旅人は神様の遣い」という考え方があるようです。旅人に親切にすることは天国に近づく行為なのだそうです。

 

一般的にイスラム教のイメージはあまり良くないはず。でも、私が旅した中で驚きの親切を感じた国はどこもイスラム教の文化があるところでした。

 

 

終わりに

世界遺産パルミラは本当に大きく美しく、どうやって作ったのか不思議でなりません。

パルミラとダマスカスはバスで4時間の距離。シリアでは果物が安く、桃・スイカ・メロンなどは日本のもの以上に甘くて美味しいですよ!

 
また、目的地の場所がわからず、キョロキョロしながら歩いていると声をかけられます。「どこへ行くんだい?」と。目的地をいうと、ミニバスを停めてくれ「この日本人が◯◯に行きたがっているから、着いたら降ろしてやってくれ」と伝え、クールに去って行きます。

さあ、運賃を払おうとすると、隣にいたおじさんが「君の分は俺が払うから気にすんな」となります。「見ず知らずなのに、なんで?」と尋ねると「わざわざ日本から来てくれたのに、お金を払わすわけにはいかんよ」と言うのです。

 

「親切」

「優しい」

「安全」

 

それがシリアの本当の姿なのです!

 

また、騒乱前の犯罪率 (人口当たりの殺人件数) は、日本より低いほどでした。本来、治安の良い国なのです。そう考えると、今のシリア騒乱は本当に信じ難く、また元の「安全」で「親切」な国に戻ってもらうことを願ってやみません。

 

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