「海外旅行に護身用の武器を持っていきたいのですが…」



以前、「タイかフィリピンに行きたいのですが、護身用の武器を持っていくにはどうしたらいいですか?」「スタンガンとか催涙スプレーはどうでしょう?」といった質問を受けたことがあります。

まず、催涙スプレーは高圧ガスの関係で機内持ち込みが問題となるでしょうし、スタンガンは、仮に空港でパスしたとしても現地で見つかって拘留される可能性があります。

 

タイの場合で言えば、政情が不安になったり、国際会議が予定されていたり、何かの事件があったりすると、一気に厳戒態勢が高まります。

ショッピングセンターや駅の入り口、重要施設付近の路上などあちらこちらで検問が実施され、人種国籍を問わず厳しい持ち物チェックが実施されます。

 

それはフィリピンでも同じこと。フィリピンの場合は特に政情不安がなくても、日常的に  (ショッピングモールに入る時など) 持ち物チェックが実施されています。

つまり、自身の安全のためにスタンガンなどを持参して行ったとしても、それらを持っていることのリスクの方が大きいわけです。

 

また、発展途上国では、犯罪者以上に警察に気をつけなければなりません。「武器を持っている」と現地警察に拘留されれば、最悪裁判になってしまいます。「なんだ護身用か…」と簡単に見逃してはくれないのです。

タイやフィリピンであれば、喧嘩をふっかけてきたり強盗を企んでいるような相手が丸腰である可能性は低く、刃物や銃を持った相手にスタンガンでは火に油…逆鱗に触れ、殺されてしまいかねません。
 

 
催涙スプレーの強力なものなら、相手の攻撃可能距離外から反撃できますが、パニックになっている状態で顔面に命中させられるかどうかは疑問ですし、風向きで自分も被害を受ける可能性があります。

さらに、反撃されて形勢不利になった相手が現地語で周囲の人に『この男に襲われたっ!』と助けを求めたら、『自衛』でも『正当防衛』でもなく、あなたが『犯罪者』にされてしまいます。

 

どうしても不安なら、香水瓶や水鉄砲に唐辛子を溶かし込んだ液体を入れた安価な自作催涙スプレーで、充分訓練を積んでおくことを強くオススメします。 要は、武器の威力より慣れているかどうかが重要なのです。

しかし、それにもまして重要な事は “危険を回避すること” です。 冷静でいること、旅行のテンションの高さに任せて行動しないこと、人気の少ないところに行かないこと、怒りにまかせて行動しないこと…

おいしい話には裏がある、といったことを肝に銘じて、トラブルに巻き込まれにくい環境下で楽しく旅行を楽しみましょう☆

 

 

 

大韓航空「暴れる乗客にスタンガンを使用」

テーザー銃。これはスタンガンの一種ですが、形状は銃。。。トリガーを引けば圧縮ガスで電極が飛び、相手に突き刺して電流を流す “武器” なのです。

そんな物騒な代物を、大韓航空は機内に常備しているばかりか、過去に数度「使用したことがある」という事実がわかり、波紋を呼んでいます。

 

例えば2016年末、ビジネスクラスで韓国人の男性客が酒に酔って突然暴れ出し、客室乗務員を殴る蹴る、唾を吐きかける、など大暴れして逮捕されました。

この男を取り押さえる際、他の乗客 (アメリカの人気歌手リチャード・マークスさんなど) の力も借りたことから、大韓航空は保安上の問題点を痛烈に指摘されました。

 

このような悪質な乗客がいることから、スタンガンの使用は「場合によっては致し方なし」とも言えますが…私なんかは怖くて、機内でおちおち寝ていられません (苦笑)。

ちなみに、2016年に国際航空運送協会(IATA)が発表した2015年の “CAへの暴言や暴行” は1万件超…年々増えてきているようです。

 

さすがに日本の航空会社でスタンガンは聞いたことありませんが、拘束用のロープや結束バンドは用意されています。

テロ対策が必要な時代…

 

実際、日本の航空会社であっても、便によっては “スカイマーシャル”と呼ばれる警官が拳銃を携行して隠密に搭乗することもあるようです。

くれぐれも、CAのお尻を撫でる、殴りかかる、といった迷惑行為に走らないでくださいね。