2014年秋、タイの首都バンコクで30代の日本人男性が相次いで自殺をしました。ひとりはカラオケ街で知られるタニヤ通りのビル内の吹き抜けで、ガソリンか何かで体に火を点け飛び降りたのです。
もう一人は、経営する飲食店内での自殺でした。
陽気なイメージのある南国のパラダイス、タイに行ってまで、何を苦に命を絶つ必要があるのか…と思うかもしれませんね。
外務省調べによれば、2014年度の海外邦人自殺人数 in アジア は26人 (毎月2人くらいはアジアのどこかで日本人が自殺をしている計算です)。
ただ、一時期のタイでは、週に一人は自殺をしていました。それから比べたらマシになった方ですが、意外にも、海外での自殺日本人はけっして少なくないのです。
現在、タイには7万人近い日本人が住んでいます。国別でみてみると、アメリカ、中国、オーストラリア、イギリスに続いて第5位の人数です。
アメリカや中国、オーストラリアは広大な国なので各都市に分散していると思いますが、タイの場合はその大半がバンコクに集中しています。
そう考えると、海外における日本人人口密度トップの都市はバンコクなのかもしれません。
そんなバンコクにおいて、信じ難いことに、日本人ママ友の対立が激化しているというのです。バンコクの日本人社会は「日本の縮図」と化しているのです。
2000年、タイの在留邦人数は2万人ほどでした。それが今や3倍強にも増え、タイ在住の日本人同士の関係は大きく変わってきたようなのです。
かつての日系企業は “郷に入っては郷に従え” で、今ほど日本式の仕事はしておらず、案外のんびりとしたものでした。
しかし…
今では駐在員だけでなく現地採用の日本人従業員も増え、社内では否応なしに面倒な人間関係ができてしまっているのです。
かわいそうなことに、せっかく “微笑みの国” タイランドに来ているというのに、どっぷりと “日本的社会” に染まらなければならないのです。
それは同居する家族にも言えることです。ある主婦はこう愚痴をこぼしています。
「日本人の多いマンションでできているママ友グループでは、日本の公園デビューのように人間関係に繊細なくらい気を遣わないといけないことがあります。」
「正直、しんどいです。」
イジメはどこの世界にもどんな組織にも、残念ながら必ず存在しています。
運悪く、そんなネガティブな人間関係が存在するコミュニティに身を置いてしまうと、軋轢の中で暮らさざるを得なくなってしまいます。
それは、企業とは関係のない駐在員の妻たちの場合であっても同じことなのです。場合によっては、夫の地位がそのままママ友の地位にも反映されることもあるのだそうです。。。
そして、バンコクには世界最大級とされる日本人学校があります。ここでは親の仕事関係が大きく関わっており、万が一上司の子がイジメっ子で部下の子がイジメられっ子だった場合、いじめの相手にクレームがつけづらいのです。
つまり、解決が日本よりもさらに困難な状況にあるのです。