ゴールデンウィークや夏休み、年末年始などの連休に海外へ渡航される方も多いことでしょう。
そこで気になるのが、スリや置き引き・詐欺などの犯罪とともに、病気・疾病などの健康被害です。
「水にあたって下痢気味で…」といった程度で済めばいいのですが、命を奪われる危険性すらある感染症には本当に気をつけなければなりません。
そこで、
海外滞在中に感染症にかかることのないよう、「海外で注意すべき感染症」及びその予防・対策について紹介したいと思います。
海外では注意しなければならない感染症
海外で感染症にかからないようにするためには、感染症に対する正しい知識と予防方法を身につけることが大事!
日本では発生していない病気が海外で流行しているケースも。そこで、旅行前には必ず、渡航先の感染症発生状況に関する情報を入手し、適切な感染予防を行ってください。
最近では、「ジカ熱」という蚊が媒介するウィルス性の感染症が世界的な問題になっていますが、虫に刺されるだけで死亡してしまうなんて恐ろしいですよね。
アフリカ睡眠病
ジカ熱ほど有名ではありませんが、アフリカ大陸では「アフリカ睡眠病」という病気が何年も前から流行しています。
これは、ハエに刺されるだけで昏睡状態に陥り、最悪「死亡してしまう」という病気です。
正式名を「アフリカトリパソノーマ症」といい、そのほかにも「催眠病」「眠り病」といった様々な別名を持っています。
《症状》
頭痛、発熱、悪寒、関節痛など
症状が進行すると、眠気、錯乱、痙攣、人格変化などの神経症状が発生するようになります。
さらにその状態が続くと、生活リズムが逆転して日中でも強い眠気に襲われるようになり、最終的には昏睡状態に陥って眠ったように死んでしまうというのです。
アフリカ睡眠病に感染する危険性がある人は36ヵ国におよそ6,000~7,000万人もいると推測されており、年間4万人が死亡している…という恐ろしい病気なんです。
《原因》
アフリカ大陸のみに生息する「ツェツェバエ」というハエに刺されることで引き起こされます。また、サシガメという人を刺す昆虫もこの病原体を持っています。
アフリカ睡眠病を発症するまでには1週間以上の潜伏期間があり、発症しても初期症状はそれほど重くないため、なかなか自分でも気付きにくいそうです。
《予防と対策》
今のところアフリカ睡眠病に対するワクチンはなく、症状が進行してから治療すると後遺症が現れることが多いため、回避するには原因となる虫に刺されないようにしなければなりません。
ツェツェバエは特に水辺に多く生息しています。
また、明るい色と暗い色の両方に引き寄せられる性質を持っているそうなので、目立つ色、黒っぽい色の服は着ないようにしたほうがいいでしょう。
難しいですねー。
洋服の上から刺されることもあるので、生地の厚い服を着ることも大事です。
南米では「シャーガス病」に注意!
シャーガス病はカメムシの一種が病原体となっており、感染者は600~700万人もいるそうです。
食べ物、水を介した感染症
発展途上国全般で気をつけなければならないのは、A型肝炎やコレラなどです。
こまめに手洗いし、生水・氷・生の魚介類・カットフルーツの飲食は避けるようにしましょう。食事は十分に火の通ったものを食べましょう。
蚊やダニを介した感染症
熱帯・亜熱帯地域で広く発生する感染症といえばマラリアとデング熱です。
マラリアは全世界で年間約2億人の患者、約43万人の死者があると報告されています。
デング熱は全世界で毎年5千万~1億人が感染していると推計されており、最近の数十年間で劇的に増加しています。
また、ウエスト(西)ナイル熱は、北米を中心に患者が報告されています。感染時期のピークは夏から秋です。原因となるウイルスは、アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央アジア、北米など広い地域に分布しています。
虫除けスプレー…
(できれば行かないこと)
大事です!!!
動物を介した感染症
我が国では昭和33年以降、感染の事例はありませんが、世界中の国々では依然として狂犬病が発生しています。
犬だけではなく、他の哺乳動物(ネコ、アライグマ、キツネ、スカンク、コウモリなど)からも感染し、発症すると有効な治療方法はありません。
野生動物との接触を避けることが大事ですが、もし、万が一、犬などの動物に咬まれたら、すぐに傷口を石けんと水で洗い、できるだけ早く現地の医療機関を受診してください!
傷口の消毒…
狂犬病ワクチンの接種…
大事です!!!
人を介した感染症
咳やくしゃみでうつる病気は多種多様。現地でそんな病気が流行っていると聞いたら人混みに近寄らないようにしましょう。
また、HIV感染症・AIDS(後天性免疫不全症候群)など性感染症に感染することもありますので、ゆきずりの性交渉は絶対にもたないようにしましょう。
土壌や水を介した感染症
- 傷口からうつる病気
土中にいる破傷風菌は傷口から体に侵入し感染します。動物に咬まれてうつることもあります。皮膚の表面にいる黄色ブドウ球菌などは、虫刺されなどの傷から中に入り症状を引き起こすことがあります。怪我をしたら適切な治療を受けましょう。
- 健康な皮膚へもうつる病気
一部の寄生虫は、河原や湖畔を裸足で歩いたりすると体の中に入り込み感染します。また、野生動物の尿に汚染された土壌や水からうつる感染症もあります。安全が確認できない場所では裸足で歩かないようにしましょう。
- その他
病原体のいる土ぼこりを吸い込むことでうつる感染症や、病原体に汚染された霧状の水を吸い込むことでうつる病気もあります。
医療現場を介した感染症
医療現場は「感染症のるつぼ」…ということもできます。
B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症、マラリア、デング熱など、輸血や針刺し事故でうつることがあります。
医療水準の低い地域では、医療行為によって破傷風にかかる場合もあります。
できるだけ衛生管理の行き届いた医療機関を選び、感染症流行時には患者で込み合った病院を避けましょう。
海外で病院へかかるには
言葉や習慣の異なる海外で、万が一病院にお世話になる際には以下の点をしっかりしておきましょう。
- ① 旅行保険
- クレジットカードに自動的に旅行保険が付帯されていることもありますが、額や補償内容が不十分なことも多いようです。
- その点、しっかり確認し、「物足りないな」と判断したら別途「海外旅行保険」に加入しておきましょう。近年は、各社の競争激化もあり、良心的な価格の商品も増えてきていますよ。
- ② 海外の医療施設に関する情報収集
- 各国の日本大使館・総領事館では、日本人がよく利用する病院や日本語の通じる医者など現地の医療機関を紹介しています。お困りの際にはご相談ください。
- 「病院へは行きたくない」「何とか薬で済ませたい」という方は…
- ③ 旅先での薬の購入
まずはじめに気をつけてほしいことは、世界の多くの地域では「ニセ薬」が横行しているということ。
また、ニセモノではないにしても効果の薄い医薬品が数多く出回っています。
そこで、どうしても海外で薬剤が必要になった場合には、以下の点を守って下さい。
- 許可を得ている薬局で購入し、領収書を請求する
- 極端に安い薬は買わない
- 錠剤やカプセルをばら売りでもらう場合は、元容器をみせてもらい、商品名、製品番号、有効期限を記録する
海外で医師と上手にコミュニケーションをとる3つのポイント
- ボディーランゲージを交えて伝えること。例えば、頭が痛い場合には、自分の頭を指さして「Ouch,Ouch」と繰り返すだけでも充分に伝わります。
- 受診前に症状の経過を整理しておくこと。いつから(when)、どの部位に(where)、どの程度の強さで(how)起こったか、簡潔に分かりやすく説明しましょう。
- 医師の説明を理解できない場合には、安易に「Yes」とは言わず何回でも聞き返しましょう。とんでもない検査や治療を受けることにもなり兼ねません。
おわりに
最も多いのは食べ物や水を介した消化器系の感染症です!
そして、海外には、日本にはない病気がたくさ〜んあります。海外旅行では、時差や気候の違いなどから様々なストレスを受けます。
その結果、体の抵抗力が落ち、病気にかかりやすくなってしまいます。
くれぐれも無理のないスケジュールを心がけ、最後まで楽しい旅を続けてくださいね。