ジカ熱、アジア全域で拡大する可能性も!



ジカ熱とは、デング熱同様に蚊が媒介する感染症のこと。症状は軽いことがあり感染に気付かないこともありますが、発熱や頭痛、筋肉痛などの症状が現れます。

2015年5月以降、ブラジルを中心に中南米のほぼ全域に拡大! 流行地域への旅行中に感染するケースもあるので注意が必要です。

 

これまでにも、太平洋の島国やアフリカで流行したことがあり、現在、20カ国・地域以上に感染が広がっているので、該当する国や地域を旅行するのはできるだけ避けた方が良いでしょう。

基本的に、治療薬やワクチンはなく、感染を防ぐにはウイルスを持った蚊に刺されないようにするしかないのです。

 

そんな中、微笑みの国タイランドでも、新生児2人が母親の妊娠中のジカ熱感染が原因で小頭症になりました。

これは、東南アジアで確認された初めてのケースです。今後、東南アジアの各地にも広がっていく可能性があるということを覚えておきましょう。

 

そこで今回は、ジカ熱とは何なのか、ジカ熱を予防するにはどうしたら良いのか、についてまとめてみました。

 

 

 

ジカウイルス感染症とは

ジカ熱 (ジカウイルス感染症) とは、ヤブカ属の蚊によって媒介されるジカウイルスによる感染症のことです。症状はデング熱に類似するがそれより軽いとされています。

ジカウイルスは、1947年にウガンダのジカ森林で初めて発見され、その後、人からは1968年にナイジェリアで初めて見つかりました。

 

2007年にはミクロネシアのヤップ島で流行し、2013年にはフランス領ポリネシアで約1万人の感染が報告されています。

そして、

2014年にはチリのイースター島、2015年にはブラジル及びコロンビアを含む南アメリカ大陸での流行が発生したのです。

 

ジカ熱の症例が報告された地域

上地図のように、現在は中南米やアフリカを中心に、インドや東南アジアにも広がりを見せているのです。

 

ただ、感染しても症状が現れる人は2割ほど。ほとんどの場合は軽傷で済みます。

しかし、ジカウイルスに感染すると、稀にギラン・バレー症候群となったり、妊婦が感染すると胎児に小頭症などの先天性障害を引き起こす恐れがあります。

 

 

 

どのようにして感染するの?

① 蚊による感染

ジカウイルス感染症は、ジカウイルスを持った人から血を吸い、ジカウイルスを持つようになった蚊に刺されることによって感染します。

2014年には日本でも流行の兆しがあったデング熱と同じような仕組みです。

 

② 性交渉による感染

性行為により、男性と女性の間で感染した事例もあります。

 

 

 

ジカウイルスの感染を防ぐには

現在、ジカウイルス感染症を予防するワクチンや治療薬はありません。

 

そのため、ジカウイルスの感染を防ぐためには

  1. 媒介する蚊に刺されないこと
  2. 蚊の発生を抑えること

が重要な対策となります。

 

 

 

ジカ熱、アジア全域で拡大する可能性も!

タイでは、2016年に入って300人以上もの人たちがジカ熱に感染しています。しかも、この人数は確認された患者だけ。実際にはこの数倍以上の人たちがジカウイルスを媒介する蚊にやられていることになります。

そして、世界保健機関(WHO)は「今後ジカウイルス感染がアジア全域で拡大する可能性が非常に高い」と警告しているのです (2016年秋)。
 
 
シンガポールでは既に、ジカウイルス感染例が数百件に上っており、タイでは、新生児2人がジカ関連の小頭症を発症してしまっているのです。

蚊を主な媒介とするジカウイルスは世界70カ国で感染が報告されており、そのうち19カ国はアジア太平洋地域にあります。

 

 

 

主な流行国・地域

ジカ熱、アジア全域で拡大する可能性も!

<中南米・カリブ海地域>
アンギラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、アルバ、バハマ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ボネール、ブラジル、英領バージン諸島、ケイマン諸島、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グレナダ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、サバ島、サンバルテルミー島、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、シント・ユースタティウス島、スリナム、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、米領バージン諸島、ベネズエラ

<オセアニア太平洋諸島>
米領サモア、フィジー、ミクロネシア連邦コスラエ州、マーシャル諸島、ニューカレドニア、パプアニューギニア、サモア、トンガ

<アフリカ>
カーボベルデ

<アジア地域>
インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム

<北米地域>
米国フロリダ州の一部

*ただし、上記の国・地域のうち、標高2000m以上の地域はリスクが低いとされています

 

 

 

海外渡航を予定している方へ

流行地域への渡航・滞在は可能な限り控えましょう。

万が一、どうしても渡航せざるを得ない場合には、虫除けスプレーを使ったり、肌の露出を控えるなど、十分な対策を取りましょう。

 

海外では、ジカウイルス以外にも、デング熱・マラリア・チクングニア熱・黄熱など、蚊が媒介する様々な感染症があります。

近年では、海外で感染し、日本に帰国後発症してしまう例も出てきています。

 

「残念なことに、これらの感染症に対する答えを科学者たちはまだ見つけていない」のです。

 

確かに、ジカ熱の症状自体は軽いかもしれませんが、赤ちゃんの小頭症など、出生異常との関連もあり、妊婦にとっての危険は非常に高いのです。

ジカウイルスは何十年も前からアジアでも確認されていました。しかし、今後は「大量感染の可能性もある」ということを念頭に、海外旅行を計画してみてください。