日本で過労死したフィリピン人の家族は今…



日本の建設現場や工場、農家などで働く外国人技能実習生が増え続ける中、1人のフィリピン人男性の死が長時間労働による過労死と認定されました。

技能実習生の労働災害です。

 

実は、年々増加している外国人技能実習生に対する搾取と過酷な労働。

いや、厳密に言うならば、これまで隠蔽されてきた奴隷のような労働形態が、ようやく表に出始めてきたと言ってもいいでしょう。

 

しかし死者が出たことで、国会で「待遇を改善するための法案」が作成され、労働環境は完全されるのではないでしょうか。うやむやにしないよう、期待しています!

 

そこで今回は、「電通新入社員の自死」「人はなぜ過労死するのか」「フィリピン人実習生の過労死」について書いてみました。

「過労死」について、よくよく考える機会になってくれれば幸いです。

 

 

電通新入社員の過労自殺

広告大手、電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労自殺だったとして労災認定されました。

これに対しまつりさんのお母さんは、「労災認定されても娘は戻ってきません。命より大切な仕事はありません。どうか過労死を繰り返さないで!」とコメントされています。

電通の新入社員高橋まつりさんの自殺は過労死で労災認定

調査報告によれば、まつりさんの業務が大幅に増えたのは、試用期間が終わり、本採用になった2015年10月以降。部署の人数が14人から6人に減ったうえ、担当する企業が増えたことが時間外労働が増えた原因のようです。

月100時間を超える残業をこなしたこともあったとか。。。

 

そもそも電通では、飲み会の幹事業務も新入社員に担当させており、「接待やプレゼンテーションの企画・立案・実行を実践する重要な訓練の場」と位置づけているようです。

この程度であれば、どこの企業にもあるごくごく普通の話なのですが、電通は違います。

 

飲み会の後には「反省会」が開かれ、深夜まで先輩からの細かい指導が。しかも、上司からの「君の残業時間は会社にとって無駄!」「女子力がない!」などのパワハラも日常のことでした。

「本気で死んでしまいたい」

 

 

働き過ぎて命が途絶えてしまう。その理由は、

1. 精神疾患による自死

2. 心臓・血管の病気による死亡

 

過労死の原因と労災認定

 

1. 精神疾患による自死

人は働き過ぎると、精神のバランスを崩してしまいます。電通社員の自死についても、報道からは明らかに精神のバランスを崩していたと考えられます。

 

「眠りたい以外の感情を失った」

「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」

 

ここで大切なことは、「労働時間」が長ければ長いほど、精神疾患から自死に至る危険性は高い、というわけではないこと。

まず、精神のしなやかさ (ストレス耐久性) は人それぞれなのです。例えば、「月100時間の残業」といった同じ負荷をかけられても、Aさんの心はポッキリ折れてしまうし、Bさんは全く平気ということもあり得るのです。

また、残業時間の長さだけでなく、「ストレス濃度」によっても大きく違ってきます。

罵声を浴びせられ否定され続けたら、残業がなくても心が病んでしまいますし、本当にやりたい仕事をやりたいようにやらせてもらっていたら、月200時間の残業だってこなせるかもしれません。

 

今後は、この辺りも含めてしっかりと議論されていってほしいものです。

 

 

2. 心臓・血管の病気による死亡

これは、長時間働いたことにより疲れが身体に蓄積し、病気を発症してしまったケースです。

働き過ぎると疲労が蓄積し、睡眠時間が減り、その結果血圧が上がってしまうのです。血液が高い圧で流れると、血管は少しずつダメージを受け痛んでくるのです (動脈硬化)。

つまり、過労により高血圧となり、心臓や脳の病気を発症し死亡に至るのです。

 

このケースで過労死した人の中に、冒頭で少し触れたフィリピン人のジョーイさんがいます。

 

 

「過労死」した外国人技能実習生

フィリピン人のジョーイ・トクナンさん (27) は、ルソン島北部の山岳地帯で生活する少数民族の出身です。妻レミーさん(28)と娘グワイネットちゃん(5)ら家族を養うために、2011年に来日しました。

フィリピンの地図、外国人実習生の過労死で労災認定

 

岐阜県の鋳造会社で、鉄を切断したり、金属を流し込む型に薬品を塗ったりする作業を担当していました。

 

「家族のために頑張るんだ!」

 

しかし2014年春、帰国まで残り3カ月だったのに、心疾患で亡くなってしまったのです。

最低賃金はもらっていたのですが、稼いだお金のほとんどはフィリピンに送金。離れて暮らす娘とテレビ電話で話すことを楽しみに、一生懸命働いていたのです。

 

「リサイクルショップに娘のお土産を買いに行くんだ」

倒れる前日、同僚にそう話していたといいます。

 

 

ジョーイさんのケースも、月に100時間前後の時間外労働があったようです。このことから、岐阜労働基準監督署は「過労死の可能性が高い」と判断。

2015年、遺族には労災申請手続きの書類が送られました。これにより、遺されたレミーさん家族には一時金として300万円、そして、毎年約200万円の遺族年金が支給されることになったのです。

 

天国のジョーイさんも、少しは安心しているのではないでしょうか。