混迷のアフガニスタン!勢い取り戻すタリバンと微笑の赤子



タリバンとは、主にアフガニスタンとパキスタンで活動するイスラム・スンニ派過激組織のこと。2001年にはアルカイダの「オサマ・ビン・ラディンを保護した」としてアメリカ軍の攻撃を受け、政権は崩壊。

以降は、駐留米軍やアフガニスタン政府を主な標的として地道な活動を続けています。そして、欧米諸国がISに気をとられている間、実はこのタリバンによってアフガン情勢は悪化の一途を辿っているのです。

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

アフガニスタンのムヒブラさん一家は本当の海を見たことがなかった。ただ、テレビでさざ波が浜を洗う姿を見て「平穏とはこのようなものなんだろうなぁ」と漠然と感じていた。

…18年前、一家はアフガニスタン北部のクンドゥズという町で暮らしていた。当時25歳のムヒブラは、トラックの運転をして家族10人を養っていた。けっして豊かではないが、穏やかで幸せな日々。あの男たちがやって来るまでは。

 

…ターバンを巻いた長いひげの男たちが無言で家の中に入ってくる。イスラム原理主義勢力タリバンの兵士たちだ。

 

 

「何でも持っていけ。ただ、命だけは助けてくれ。」ムヒブラは懇願した。男たちは家畜を殺し、家中を物色し去っていった。他の家では抵抗した者が殺され、男の子たちは兵士にするためにさらわれていった…

(このままクンドゥズにいてはいつか殺されてしまう)

 

 

苦難の日々…

ムヒブラ一家は逃避行の旅に出て、最終的にイランのイスファハンに落ち着き、数年が過ぎた。

ムヒブラの娘マリアムは故郷クンドゥズからイスファハンに出稼ぎに来ていた好青年ユンスと結ばれ、一緒に故郷に戻った。ユンスは警察の職に就き、タリバンから治安を守る立場にあった。この頃タリバン政権は既に崩壊していたが、何とか勢力を盛り返そうとしているとき。。。

 

 

ある日「出ていけっ!」と自宅に脅迫状が…タリバンによる死刑宣告だ。一男一女に恵まれた夫婦、そしてマリアムのお腹の中には3人目の子が…そんなある日、夫ユンスは拉致され消息不明に…

「お父さんはどこ?」

 

成長した息子がそう尋ねるたびにマリアムは胸が締め付けられた。この頃ムヒブラ一家 (マリアムたちを含む) はアフガニスタンのカブールに。

コーランの詠唱が響くカブール。砂嵐吹き荒れるカブール。ここは、タリバンの自爆テロを防ぐため、高くて厚いコンクリートの壁だらけ。ものものしい「壁の街」と化していた。

 

 

人はなぜ笑うのか?

マリアムが産気づいたとき、夫はまだ生死不明。育てられるのか?妊娠したことが腹立たしい。

オギャー!オギャー!!

 

サヘールがマリアムの腕の中で微笑んでいる。マリアムは古い言い伝えを思い出した。赤子が笑うのは天使が耳元で「母さんが乳をくれるよ」と囁くから。泣くのは「母さんは死んだよ」と意地悪を言うから。

喜びも悲しみも神様が教えてくださる。「この子と一緒にもう少し生きてみよう」そう思ったマリアムは26歳。

 

生後間もない子が、目もよく見えず言葉もわからないのに自然に浮かべる微笑は、(一人では生きられない人間が) 母の愛情を呼び覚ます本能の現れともいわれる。

人生で最初の笑みは、無力な赤子が懸命に咲かせる「命の花」だ。だがこの国では5歳までに、10人のうち1人が死んでしまう。低い医療水準、貧困…

 

サヘールは今年1歳。自宅では誰かがいつも顔を覗き込んであやしている。サヘールは、まるで「人間は喜ぶために生まれてくるんだよ」と教えてくれているようだ。サヘールが笑えば大人たちも笑う。

 

人間はなぜ笑うのか?

動乱の渦中にあっても、人々は喜びを分かち合い、悲しみを乗り越えるものなのだ。

 

 

関連記事: