地震大国インドネシアへの支援



第二次世界大戦後、日本とインドネシアの関係はより緊密なものへと成長してきています。日本はインドネシアの最大輸出相手国ですし、日本からはJICA (国際協力機構) などを通じて多くの開発援助を行っています。

 

植民地時代の関係

日本と (オランダ領) インドネシアの関係を遡ってみてみると、「17世紀初頭に初めて (インドネシアに) 日本人移住者がいた」ことがわかっています。その後も、朱印船貿易や漂流などを通じて適度な交流はあったようです。

時は流れ、明治時代になると「数百人規模の日本人がインドネシアに住んでいた」とする記録が残されています。沖縄の漁師が住み着いたりすることもあったようで、1938年の時点では6,000人以上の日本人がインドネシアに住んでいたことが記録されています。

 

1942年、東南アジアに侵攻していった大日本帝国軍はオランダ軍を破り、インドネシアの人々に「解放のためにやって来た英雄」として歓迎されました。日本は「インドネシアの独立支援」を意図していたわけではないのですが、結果としてスカルノ (政治指導者) を生み出し、インドネシアへの支援とインドネシア人の戦争への徴用を行っていくのです。

両国にとって西側諸国の連合軍は共通敵国です。日本はインドネシアの人々から軍事的支援を受け、一方のインドネシアも日本から軍事訓練と武器の支援を受け、ともに西側諸国相手に戦っていくのです。

 

1945年の日本敗戦を機に、オランダはインドネシアに再び植民地政権を作ろうとするのですが、インドネシアは独立戦争 (1945〜1949年)を経てインドネシア共和国を建国。この時、数千人の日本人も独立戦争に参戦し、インドネシア人を味方しました。

結局、日本占領期 (1942〜1945年) を経て独立を果たしたインドネシアは、1958年に日本と平和条約を締結し、国交を樹立することとなるのです。

 

 

日本企業のインドネシアに対する投資

1970年代になると多くの日本企業がインドネシアに進出。Win-winの関係でうまくいくかと思われていたのですが、「日本経済がインドネシアを支配している」ということで田中角栄首相がジャカルタを訪問していた1974年1月に反日暴動が勃発 (マラリ事件)。

この事件によって日本は、インドネシアとの関係を経済的観点からのみ見る外交方針を見直す必要に迫られたのです (その後、両国関係は良好に)。現在、両国の貿易関係は、日本の方が輸入超過となっています。インドネシアは「天然ゴム」「液化天然ガス」「石炭」「鉱物」「紙パルプ」「海産物」「コーヒー豆」など、多くの供給物質を持っているんですねー。

 

 

文化交流と観光

マラリ事件を機に文化交流が加速していった両国。特にインドネシアでは「着物」「生花」「折り紙」「サムライ」「大相撲」といった日本の伝統文化や「J-pop」「漫画」「アニメ」「ゲーム」といったサブカルチャーが人気を博し、

一方でインドネシアのバリ島やボロブドゥール遺跡などは、日本人にとって人気観光地のひとつとなっています。

 

ジャカルタには多くの「日本食レストラン」「居酒屋」「日本の食材を扱うスーパーマーケット」などがあり、大相撲やアニメなどのイベントが開催されています。

インドネシアの経済発展とともに、日本を旅行するインドネシア人も急増。そんな彼らをもてなすために、日本ではイスラム教のハラール (イスラム法上食べることが許されている食材・料理) や礼拝のためのセミナーが各地で開かれるようになっています。

 

 

インドネシアの地震復興計画

2018年9月、インドネシア中部のスラウェシ島で大地震 & 津波が発生。各国の緊急支援を受けていたインドネシア政府はその後、中長期的な復興計画の策定について「日本政府に絞って支援を要請」してきました。

過去の災害で、街の再建に世界中の支援が入り乱れた苦い経験を持つインドネシア側と、復興の経験を友好国に役立てたいという日本側の意向が一致したわけです。

ちなみにこの地震・津波による死者の数は2000人超。約7万軒の家屋が損壊し、8万人超の人々が避難生活を強いられています。当然のことながら、復興は容易ではありません。

 

 

日本からの開発支援

上述した地震関連以外にも、日本はインドネシアに対して多額の開発支援を行っています。開発支援はJICAを通して行われ、ASEAN (東南アジア諸国連合) の中では最大の支援となっています。近年は防衛関係の交流も増えてきています。

2019年3月には日本の全面支援によって首都ジャカルタに、インドネシア初の地下鉄が開業しました。慢性的な交通渋滞と公害が少しでも解消されるといいですね!

ただ、この大量高速鉄道 (MRT) は円借款の事業で、受注企業への工事費はJICAが支払うことになっているのですが、(支払いには事業主であるMRTジャカルタの許可が必要で) 「不合理な払い渋り」が相次いでいて日本企業が困っているということです。