ツアーで北朝鮮旅行 Day3



3日目ともなると、観光客たちは平壌市内の風景にも慣れ、バスの中から写真を撮りまくる行動もなくなります (笑)。ガイドさんが「○○が見えますよ〜」と言ったところで無関心状態…

なぜ飽きるかというと、生活臭がしないからでしょうねー。確かに、市民の生活の一部は垣間見れますが、それは万国共通の光景です。特に珍しくも何ともありません。
 
というわけで、車内での退屈っぷりはともかくとして、3日目はかなり楽しいところに連れてきてもらいました。『錦繍山記念宮殿』です!

 
 

『錦繍山記念宮殿』

まずはじめに、館内は撮影禁止です!ここはちゃんとした場所なので、できれば正装 (スーツ & ネクタイ) で行きましょう!

入場の前に、手荷物は全て預けることになります。続いて、金属探知機を持った人に入念にボディーチェックを受けます。中に入ると、大理石をふんだんに使ったゴージャスな内装の広々とした部屋に出ます。

 

 

ここからは私語一切禁止です。続いて無言のまま次の部屋に向かうと…なんと…

防腐処理が施されている『金日成の遺体』がガラスケースに入って、そこだけスポットライトを浴びています。

 

 

目頭を押さえながら遺体を一周してお辞儀をする北朝鮮の人たち。最終的には、金日成が世界各国から貰ったという勲章が飾られた部屋をまわって見学は終了です。そう、ここはまさに北朝鮮国民にとって大切なエルサレムのような聖地なのです。

ようするに、北朝鮮ってオウム真理教のような『宗教』のような気がします。『独裁者』と『圧政に苦しむ国民』という図式があるものの、『宗教』と捉えればなんだか腑に落ちます。

 

 

街中では市民が献花を

北朝鮮に来て、ガイドさんとレストランのウエイターさんくらいしか (北朝鮮人と) 話をする機会はないのですが、基本的に「言論の自由」のない北朝鮮で国民の本音を聞くチャンスは皆無です。

そこで、「本当のところ北朝鮮の人々は自国のことをどう思っているんだろう?」という疑問の答えを探すとなると移動中のバスの中からの風景になるわけです。

 

車内からボーッと平壌市内を眺めていると、(街中にいくつもある) 金日成の巨大な画の前で市民が献花をしている姿をよく見かけます。場所によっては列を作って献花をする人たちも。

ガイドさんは「自主的です」と言っていましたが、「自主的」か「強制的」かは正直わかりません。ただ、現実に彼らは日々「献花」を絶やすことなく行っているのです。

 

 

神となった将軍様

「百戦百勝の霊将」としてカリスマ化された金日成は、多くの逸話に彩られ、誰かにプロデュースされた『錦繍山記念宮殿』によって神格化してしまいました。単なる『独裁者』ではない、『神のような将軍様』が誕生したわけです。

生まれながらにしてこんな環境の中で育ったら、誰しも心から金日成を「崇拝」しても不思議ではありません。何と言っても「脱北」しない限り絶対に脱会できない『宗教』みたいなものですから。

 

生活が困窮している国民の多くは、本当は北朝鮮という国が嫌いなのかもしれませんが、「脱北」できないのでどうしようもありません。

ともあれ、北朝鮮が観光客に見せたい「プロパガンダ施設」は「錦繍山記念宮殿」や「万景台学生少年宮殿」だけではありません。たくさんあるので、ツアーはかなりタイトなスケジュールとなっています。

 

 

『大城山革命烈士陵』

続いて連れて行かれたのは『大城山革命烈士陵』です。「日本による植民地時代に、偉大な金日成主席の下で独立闘争をした愛国烈士たちの墓地」…だそうです。

この流れで、同じツアーに参加していたオーストラリア人がガイドさんに「アメリカと日本、どっちが嫌い?」と聞いて「日本」と答えていました。うーむ…

 

ともあれ、明日は「反アメリカ帝国主義」の場所に行く予定になっており、ツアー仲間のアメリカ人は「明日はオレの番だ」と苦笑いしていました。

『反日本帝国主義』とか『反アメリカ帝国主義』とか言ってるけれど、そこはそれ。ガイドさんはビジネスライクな感じで、日本人やアメリカ人を個人的に嫌っている感じはありませんでした。

 

 

一般市民?との触れ合い

次に行ったのは公園です。いきなり「金日成、万歳(マンセー)!」と叫びながら近づいてくる人や、チマチョゴリを着てダンスを踊っている人々。。。とても一般市民には見えません。

外国人観光客向けのサクラの人たちでしょうか?市民たちの多くは、ただピクニックに来ていただけの (純粋な) 一般市民だったのかもしれませんが、マンセーおばさんはやっぱりエキストラですねっ!

 

北朝鮮の人たちはフレンドリーだという印象を与えたいのでしょうし、北朝鮮は楽しかったと思ってもらいたいのでしょう。写真もバシャバシャ撮っていました。

ともあれ、一般市民?との交流が全面的に制限されているわけではなさそうです。

 

 

『万景台の生家』

次は『万景台の生家』です。ここは金日成主席が生まれて幼年時代を過ごした生家。旅行者は必ず連れてこられる場所のようで、北朝鮮の人たちにとっては聖地の一つです。

貧しかった金日成一家…ということで、当時のままに保存されているそうなのですが、建物は新しいですよねー。不思議です (まあ、どうでもいい話ですが)。

 

 

『大城山遊戯場』

次は『大城山遊戯場』(遊園地?公園?)です。理由はよくわかりませんが、なぜかここでローラーコースターに乗るハメに…

実は、ここも金日成主席のご威光を示す場所なのです。うーむ…プロパガンダの観光ツアーはまだまだ続きます。そして、この夜も鬱憤を晴らすかのようにお酒を飲むのでした (笑)。