殺人を平気で容認する過激なフィリピン大統領



度重なる過激発言で物議を醸し続けているフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ氏 (71) がついに大統領になってしまいました。恐ろしいことです。

任期は6年。外交面の最大の懸案である南シナ海問題では、「中国の領有権主張は国際法に反する」としながらも、前アキノ政権の「対中強硬路線」を大きく修正し、「穏便な決着にしようじゃないか」と中国と手を組む考えも示唆し始めています。

 

 

アメリカ寄りか中国寄りか?

ロドリゴ大統領は、前政権が進めた「アメリカとの新軍事協定を堅持する姿勢」を示す一方で、南シナ海問題で争っている中国に対してもあまり刺激しないよう配慮する姿勢を示しています。

中国の反発を受けながらも (国際法での) 仲裁手続きに踏み切ったアキノ政権は、「フィリピン側の主張が認められれば強硬な声明を出してください」と、東南アジア諸国連合(ASEAN)など国際社会に求めていました。

一方ドゥテルテ氏は、首尾一貫しない支離滅裂な発言を繰り返し、何を考えているのかさっぱりわかりません。

フィリピンの地図

 

 

「記者にはゴロツキが多い」発言

フィリピン大統領に就任したドゥテルテ氏は、その過激な発言から米大統領選で共和党の候補指名が確定したドナルド・トランプ氏になぞらえて「フィリピンのトランプ」と称されています。考え方が偏っていて自己中心的!ちょっと頭がおかしいのです。

 

そんなドゥテルテ氏は、国内で相次いでいる記者殺害事件に関して、「金をたかるゴロツキ記者が多いからな。仕方ないんじゃないか」「記者だからといって暗殺から逃れられるわけじゃない。そいつがくそ野郎だった場合はな」「収賄などの不正に関わった記者の殺害は正当化できる」と殺人を容認する発言をして大バッシングを受けちゃいました。

 

フィリピン・ジャーナリスト連合は、「確かに、フィリピンのメディア業界には汚職問題が存在するが、殺害は正当化できない」「ぞっとする発言だ」と激しく非難!
ちなみに、フィリピンは世界で最も記者の死亡数が多い国の一つで、30年前に故マルコス大統領の独裁体制から民主制に移行した後、政治・社会情勢が混沌とし汚職がまん延する中、これまでに176人が殺害されているのです。

 

 

「会見は開かない」発言

そんなこんなでメディアを敵に回したドゥテルテ氏は、「(大統領)任期中は会見を開かない」と開き直っています。

殺人を平気で容認する過激なフィリピン大統領

 

 

今後も強権発動は続くのか?

ダバオ市長時代、自ら短銃を忍ばせて薬物を取り締まり、米映画で有名な「ダーティハリー」の異名をとっていたドゥテルテ氏。薬物犯罪撲滅に関しては、「国軍の出番だ。腕利きの狙撃手が欲しい」などと強権発動をちらつかせ、復活を目指す死刑制度に関しては「犯罪者に報復する手段だ」と発言 (フィリピンでは2006年に死刑が廃止されています)。

 

人口抑制策導入構想などで反論を受けたキリスト教会には「おまえらは頼み事が多すぎる。恥ずかしくないのか」と発言。自身も含め国民の8割がカトリックながら、タブーも何のその…

 

 

イスラム過激派の動き

フィリピンでは今年、身代金目的でイスラム過激派アブサヤフに拉致された外国人を含む人質3人のうち、カナダ人男性が殺害されました。

他にも、2015年には南部サマル島のホテルでカナダ人男性2人とノルウェー人男性、フィリピン人女性の計4人が拉致され、1人当たり3億ペソ(約6億9000万円)の身代金が要求されました。このうちカナダ人男性は2016年4月に殺害され、他の人質たちも身代金が支払われなければ殺されるようです。

 

何とかしてくれ、大統領!

 

 

犯罪者を殺害した警察官に報奨金?

「犯罪者を殺害した警察官に報奨金を与える」ことを推奨しているフィリピンでは、麻薬密売人を殺害した警察官たちに計15万5000ペソ(約35万円)の報奨金が支払われているとうニュースが飛び込んできました。

麻薬密売組織の幹部を殺害した警察官には300万ペソ(約700万円)、幹部以下の組織構成員の殺害にはそれよりも少額の報奨金を払うとも言われています。

何ということでしょう。

これでは、(実際は) 犯罪者でない者まで濡れ衣を着せられ殺されてしまうかもしれません。

犯罪者を殺害した警察官に報奨金を与えるフィリピン

 

 

 おまけに

ドゥテルテ氏は、「逮捕に抵抗したり市民に脅威を及ぼす犯罪者に対しては、市民が自身の手で法を執行しても構わない」「相手を殺しても構わない」との考えを示しています。

「拳銃を持っているなら自分でそれを使ってもいい」「薬物のディーラーを撃ったら勲章を授ける」とも。。。

 

かつて私はフィリピンに住んでいましたが、我々日本人が思っている以上に、フィリピン国民は拳銃を所持しているのです。

汚職や不正に対し厳しい姿勢を取ることは理解できるのですが、こうも殺人を推奨する政策が実行されれば、フィリピンには連日血の雨が降り注ぐことでしょう。怖くて行けません…

銃社会フィリピンの恐怖

 

 

「逮捕に抵抗すれば撃ち殺す!」

これも、ロドリゴ大統領のクレイジーな語録の一つです。

 

「半年で汚職を撲滅する」

「公約を果たせなければ辞任する」

こんなことを述べている彼ですから、とても冗談とは思えません。さらに、選挙運動中には「犯罪者10万人を処刑してマニラ湾に投げ捨てる」とも発言。

 

この人の頭の中には「殺す」ことしかないのでしょうか?

 

 

 

おわりに

南シナ海領有権問題でフィリピンと対立している中国は、ドゥテルテ新政権に対し協調姿勢を鮮明に!

どうやら中国は、「嫌米」感情が強いとされるドゥテルテ氏に接近することで、同盟関係にある米比両国の離反を促す狙いがあるようです。

 

「両国は良き隣人で親類だ」と友好関係を強調!

フィリピン国内の鉄道建設計画にも支援を申し出ちゃいました。

 

2002年に地元ダバオ市で起きた爆発事件 (アメリカ人が関与)を機に、ドゥテルテ氏はアメリカ嫌いになってしまったようです。

このため、自国防衛で米国の関与を強化する戦略を進めたアキノ前政権に比べ、新政権は対米関係で一定の距離を置くとの見方も出ているのです。

現時点では6:4で中国寄りか…

 

内政では、ダバオ市長時代に実績を残した「治安回復」と「汚職撲滅」を最重点課題に掲げていますが、外交手腕は未知数。。。

これからのフィリピンはどうなっていくのでしょうか?
 


最終更新日:2017/11/24