地中海に浮かぶ美しい島「キプロス」は世界的に観光が盛んな国で、ニュージーランドとほぼ同じ年間250万人ほどの外国人が訪れますが、なんと、日本人の旅行者は非常に少ないんです。
中国人ツーリストの姿もあまり見かけません。ある情報によれば、日本人の年間渡航者数は500人ほど。1日2人も行きません。ちなみに、隣国のギリシャを訪れる日本人観光客は1万人以上。
というわけで、
日本人はあまり知らない、「ヴィーナス誕生の地」としても有名な伝説の島「キプロス」についてまとめてみました。
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歴史的に、この国には大きく分けてギリシャ系の民族とトルコ系の民族の2つの異なった民族が住んでいました。次第に、トルコ系民族は北部に、ギリシャ系民族は南部に移動。
トルコ政府は、「首都ニコシアを中心に北部キプロスはトルコのものだ」と主張。これに対しギリシャや国際社会はこれを認めませんでしたがトルコは一歩も譲らず (1974年以来南北に分断)。
現在、北部 (約37%) はトルコのみが存在を認める北キプロス・トルコ共和国となっています。北キプロスへはトルコからしか飛行機が飛んでおらず、観光資源は南キプロスの方が圧倒的に多いので、99%の旅人は南キプロス側から入国しています。
キプロス共和国 (通称キプロス)
🔴 首都:ニコシア (南北キプロス双方にとっての首都です)
🔵 公用語:ギリシャ語、トルコ語 (英語も通じます)
🔴 人口:100万人弱
🔵 通貨:ユーロ
※ 衝突抑止のため、南北キプロスを隔てる緩衝地帯(グリーンライン・全長300キロ)が国連により造られ「国連キプロス平和維持軍」が監視しています
※ 首都ニコシアもこのグリーンラインによって分断
キプロスは、16世紀に建設された旧市街を囲んでいる城壁が特徴的です。四季があり、夏は晴天続きで乾燥した日が続きます。冬(12〜2月)は時々雨が降りますが、温暖で穏やか。
それゆえ、年間を通じて観光客が訪れます。その中でも強いてベストシーズンを言えば5〜10月。ただし、8月には40度近くになる日もありますので熱中症対策が必要です。
ちなみに、トロードス地方の山には雪が積もるので、冬ならスキーも楽しめます。
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日本からキプロスへの直行便はありません。一般的にはアテネ経由、ドバイ経由、モスクワ経由、その他ヨーロッパの都市経由となります。
しかしながらここでは、北キプロスから入国する方法をオススメしたいと思います (北キプロスへはトルコからのフライト)。
確かに、逆側に渡る際にはイミグレーションを通らなければなりませんが、日本人であればビザ不要。特に不自由もなく北キプロスから南キプロスへ行くことができるのです。
ほぼ毎日の就航で、イスタンブールから数千円で行けてしまうのです。
まずはじめに、3つの世界遺産を含む観光地の多くは南に集中しています。北キプロスから入国したとしても、遊ぶのは基本南キプロスです。
美しい地中海のビーチは多くの観光客で賑わっています。夜はクラブで賑わい、(トルコやヨーロッパの影響を受けている) キプロス料理はとっても美味しいんですよ。
この島国はギリシャの東、トルコの南、エジプトの北という、地理的に重要な位置にあったことや、銅の生産地であった (国名は銅のコッパーから来ているという説も) ことなどから、交易の中心地として長い間栄えてきました。
そのため、ギリシャやローマ時代の遺跡が島のいたるところに残されています。
🔴 世界遺産「キロキティア」
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キプロス南部の海岸線近くの山麓に流れる川近くに、9000年前・新石器時代の農耕民族が暮らしていた集落の遺跡が発見されました。直径2m~10mの丸い基礎を持つ住居の跡が多く残されていて、壁は日干し煉瓦を積み上げ、さらに塗装もされていたことがわかっています。
さらに、この集落は強固な壁 (外敵からの守備) で囲われていたこともわかっています。しかし、この遺跡は紀元前6000年頃に突然放棄されたことがわかっており、その理由は謎。
つまり、キプロス島はその後1500年間ほど無人島になっていたと推測されているのです。その頃、ここでいったい何が起こっていたのでしょうか? 考古学者やミステリーファンでなくても興味をそそられますね!
🔴 パフォス
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パフォスには、現在の新パフォスと遺跡が残る旧パフォスがあります。旧パフォスは、ギリシャ神話の「アフロディーテ」が生まれた場所として古代から信仰の対象となっていました。
紀元前12世紀に建てられた「アフロディーテ神殿」は、複数の神殿とそれを囲む巨大な壁などからなる大規模なものだったと考えられています。
当時のローマ帝国行政官や貴族たちの館跡のモザイクには、神話の場面やキプロスの農耕の様子などが描かれています。世界遺産に登録されている邸宅跡は4件あり、それぞれに特徴あるモザイクが残されていて見飽きることがありません。
このほか、4世紀創建の「アギア・キリアキ・クリンポリティッサ教会」や紀元前3世紀頃に建てられた地下墓地「ネクロポリス」なども、富み栄えていたキプロスの様子を知る手がかりといえます。
🔴 トロードス地方の壁画教会群
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死火山であるトロードス山を含む山脈内にはギリシャ正教の聖堂や修道院が現存しています。11世紀以降、ここで暮らし祈りを捧げてきた信徒たちが聖堂内を壁画で埋め尽くしています。この素晴らしさが世界遺産登録につながったのです。
代表的な聖堂と壁画は、「聖ニコラオス聖堂」の最後の審判、「聖イオアン修道院」の新約聖書30の場面など。どの聖堂も規模は大きくないため、見学そのものには時間がかかりませんが、聖堂のある村ごとに伝統的な家並みを持ち、非常にフォトジェニックであることなどからある程度の時間を割きたいものです。
ただ、残念なことに一つ一つの聖堂が離れているため、多くのバスツアーは駆け足で各聖堂を巡っていき壁画を見るのが精いっぱい。ゆっくりと村歩きを楽しむ余裕はありません。どうしても「じっくり見たい」という方は、レンタカーを利用するのが一番です。
もちろん、キプロスといえばビーチリゾートも大事ですね!
🔵 プロタラス
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キプロス随一の美しさを誇る海とビーチがあるプロタラスは、ラルナカ(Larnaka)空港から車で40〜50分ほどのビーチリゾートです。空港とプロタラスの間には、アヤ・ナパ(Agia Napa)やラルナカ(Larnaka)といった大きな街があり、博物館や修道院、国立公園などの観光を楽しめます。
プロタラスは北側地域への往来も可能で、北側に足をのばすと貴重な遺跡群を見ることもできます。そのため、ショートステイでキプロスを楽しみたい方にもおすすめのデスティネーションです。
プロタラス地域にあるフィグ・ツリー・ベイ(Fig Tree Bay)は、キプロスに数ある美しいビーチの中でも特に人気の高いビーチです。
海の透明度が高く、足のつく浅瀬も十分な幅があるうえ、4〜5mの深度へ行くことも大変ではありません。岩場付近では、日本では見ることのない様々な種類の魚に出会えます。
是非、シュノーケリングで透き通った海の中を楽しんでみましょう!
🔵 美しいビーチ沿いのホテル
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フィグ・ツリー・ベイの目の前にはホテルがあります。朝起きて窓から見えるのはとびきり澄んだ海。部屋から飛び出して、そのままひと泳ぎすることもできます。
泳ぎ疲れたら、屋外のバーでひと休み。スパでさらにリラックス。ビーチリゾートの醍醐味を思う存分満喫しましょう。
🔴 プロタラスから遺跡群へ
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キプロスの北側へ入出境できる場所は限定されていますが、プロタラス地域からは行くことができます。プロタラスからほど近いファマグスタやサラミスには貴重な建造物や遺跡が現存しています。
ゴシック様式の教会をはじめ、オスマン帝国支配時代以降はモスクとして使用されていた建物や古代ギリシャ時代の都市国家跡が残るサラミスは必見です。
※ 北側へ行くためにレンタカーを使用する場合には、北側へ入境する際に別途、車両保険に加入する必要があります
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ギリシャ語でメゼ (Meze) といえば前菜のことであり、20皿ほどの小皿料理が次々と提供されるキプロスの伝統的なコース料理のことでもあります。
この国では名物料理のフルコースで15~20種類もの料理が少しずつ出てきます。レストランではメニューを見ないのがメゼの注文方法なんだとか。是非メゼを注文して、その時のオススメのメニューを堪能しましょう。小食の日本人にはもってこいですね!
また、ジャガイモが名産品であるキプロスではフライドポテトは定番メニューです。野菜 & チーズも美味です。
キプロスは地中海に浮かぶ島国です。シチリア、サルジニアに次いで大きな島で、トルコの南に位置していています。住民の多くはギリシャ人。古代ギリシャのペレポネソスから移り住んだアカイヤ人が都市を築いたことから、この島の長い歴史は始まりました。
かつて分断国家といえば、ドイツ、ベトナム、イエメンなどがありましたが、いずれも合併し、分断国家はいまや珍しい存在です。南側の国はギリシャ、北側の国はトルコが支援しており、南側ではユーロ、北側ではトルコリラが通貨として使われています。
かつては国境で銃撃戦が起きるなど、緊張した状況だったのですが、現在は両国の合併が議論されるほど落ち着いています。ニコシアはかつてのベルリンのように分断されていますが、パスポートさえあれば簡単に行き来可能です。
そして、地中海の島国といえばやっぱり海。女神アフロディーテ (ヴィーナス) は、この島の西海岸パフォス近くで、海水の泡の中から誕生したと言われています。
強行軍にはなりますが、3連休で金曜の夜に成田を出発し、月曜の夜に羽田に帰ってくることもできます。地中海だから冬も温暖。
猫好きなら、通称「猫の修道院」と呼ばれているAgios Nikolaos ton Gaton (アギオス ニコラオス トン ガトン) で猫まみれになってみてはいかがでしょうか。
現在も、キプロス紛争によって分断されてしまったキプロス島はEUや関係諸国の働きかけによって統合に向けた話し合いが続いています。
歴史も見どころもたっぷりの島だけに、完全な平和を取り戻し、ゴーストタウンと化したリゾートホテルが再び息を吹き返す日を楽しみに待ちたいと思います。
まるで絵画のような美しい海。女神誕生の伝説が生まれるのも納得です ♡