日本人にはあまり馴染みのない「ラマダン」ですが、UAE (アラブ首長国連邦) を構成する7つの首長国の一つ「ドバイ」にももちろん「ラマダン」は存在します。
とはいえ、外国人 (非イスラム教徒) が多く住むドバイは宗教的制約が極めて薄い都市なので、「飲酒」「服装」「娯楽」に関する制約は少なく、(イスラム教で不浄とされる) 豚肉の料理を出すレストランさえあるくらいです。
ちなみにラマダン (多くのイスラム教徒が約1カ月にわたり行う日中の断食) とは、「イスラム暦9番目の月」のこと。イスラム教徒の5大義務である「喜捨」(ザカート)、「礼拝」(サラート)、「信仰告白」(シャハーダ)、「巡礼」(ハッジ)、「断食」(サウム) の一つです。
お祭り気分の「ラマダン」 in ドバイ
(日中は閉まっている) レストランは、イフタール (日没後の食事) 開始の合図とともにたくさんの人で賑わいます。ゴージャスなイスラム的食卓のスタートです。ラマダン時期のドバイは「禁欲月」…だからこその快楽を味わうことができます。観光旅行をするにはこの上なくオススメです。
確かに観光客であっても日中はお酒 (アルコール) を飲むことはできませんが、それでも、ラマダン期間中の飲食店は書き入れ時なので街全体がお祭り気分になります。まるで盆と正月が一緒に来たような雰囲気ですね。
「善人であれ」という教え
イスラム教の国々では「善人であれ」という教えが強いため、他者へ物を施す (奢る) 行為が盛んになります。赤の他人に対しても気前よく「君も一緒に食べていきなよ」と言ってくれることが珍しくないのです。
加えて、ラマダン期間中の噂話や悪口は最大の罪とされていますので、皆が善人のように振舞ってくれます。まさにこの時期の旅行は「おもてなし」のグレードアップが半端ないと言えるでしょう!
ドバイに到着!
まず最初に空港で出迎えてくれるのが「ラマダン・カリーム」の看板です。直訳すると「神聖なるラマダン」。つまりこれは、この時期の挨拶で「メリー・クリスマス」のようなものですね。
空港では「ムスリムでないツーリストたちは飲食可能」ということらしいのですが、断食をしている人たちの目に触れぬように…という配慮が必要になってきます。基本的に公の場ではタクシーの中であっても「飲食」「喫煙」「ガム」などはNGです。
観光客は (日中であっても) ホテルのレストランで食事をすることができますが、アルコールは日没後でないと飲めません。なので、灼熱のドバイでどうしてもお酒を飲みたいのであれば、ホテルの部屋で一杯飲んでから夕食に出かけた方がいいでしょう。
ショッピング・モールへGo!
で、「これのどこがお祭り騒ぎなんだ?」と思いつつ、「ラマダン・セール」の恩恵に預かるべく、ショッピング・モールへと出かけてみました (市内には大小40ほどのモールがあります)。
おおっ、爆買いな人たちを発見っ!両手に抱えきれないほどの紙袋を提げています。おそらく空腹のストレスを発散させているのでしょう。あるいはラマダン明けの祝祭に備えて服の新調をしているのかもしれません。
30%オフ、50%オフのお買い得なショッピングを満喫しているようにも見えます。各所で行われている「セール」は観光客にも魅力的ですよ。
ホテルの「ラマダン・テント」がすごい!
ホテルのレストランは、「イフタール」の特別メニューで盛り上がります。ドバイの人たちも一族総出で有名レストランを借り切って「イフタール」を楽しんでいるようです。ホテル毎に趣向を凝らした「ラマダン・テント」が設営されており、めくるめく飽食ワールドが繰り広げられています。
当然、観光客もその恩恵に預かることができます。というわけで、毎晩いろんなホテルの「ラマダン・テント」を回ってみることをオススメしたいと思います。とっても楽しいですよ!毎年、「ラマダン・テント」ベスト10なる企画が観光局・地元紙・サイトなどで発表されていますので、参考にしてみてくださいね。
「イフタール」はビュッフェ形式で、好きなだけ召し上がれ状態。ホテルによっては「シーシャ」(水パイプ) を吸うこともできます。妖艶なアラビアン・ナイト気分をご満喫あれっ!
「ホテル料金」もお得!
ラマダン期間中は「ショッピング」&「スパ」、さらには「ホテルの宿泊料金」もお得になっています。「せっかくのドバイ。ラグジュアリーな滞在がしたいけど高すぎるしなぁ」と二の足を踏んでいる方は、ラマダン期間中に訪問し、ちょっぴり贅沢に過ごしてみませんか?
ちなみに私が宿泊先に選んだのは「アナンタラ・ドバイ・ザ・パーム・リゾート&スパ」。人工島に位置しています。そもそもドバイは富豪たちがバカンスを過ごす保養地として有名!せっかくだし、彼らを真似てホテルでゆったり過ごしたいものですね!
ザカート (喜捨) について
「モール・オブ・ジ・エミレーツ」(ショッピングモール) には喜捨スペースが設置されていて、「食料寄付箱」なるものまであります。この食料は貧しい人たちのイフタール (断食後の食事) に使われるのだとか。けっこう寄付が入っています。
ザカート (喜捨) はムスリムに課せられた大切な義務の一つで、年収の一定額 (2.5%) を寄付することになっています。素晴らしい善行のひとつですね。この文化は日本も積極的に取り入れてほしいものです。
(特にラマダンの時期には) モールやスーパーマーケットに寄付箱が備えられており、「お金」「食品」「家庭の不用品」などを寄付する人が多いようです。
「ラマダン」はハッピーなもの
断食の行は、ムハンマドの苦難を追体験するべく行われているとのことでもありますが、これはけっして空腹や渇きを我慢するというツラいものではなく、神の思召通りに過ごすことで得る幸福を感じることができるハッピーなことらしいのです。
この時期は信仰心を深めることができるので、「ラマダンが待ち遠しい」なんて声も聞こえてきます。仕事や学校は早めに切り上げられますし、日没後には美味しいご馳走が待っています。そして、子供にとってはラマダンの断食を行えるようになると「大人に近づいた」と思えるらしいのです。
おわりに
「中東のドバイは危険でしょ? 」と誤解なさっている皆さん!ここに住んでいる8割の方は外国人ビジネスマン & 出稼ぎ労働者たちなので、テロを組織することは難しく、治安は良好です。むしろ、敵国に認定された日本の方がことISに関しては危険かもしれませんね。
中東風メニューがバリうまの朝食もしっかりとご満悦あれっ!「ラクダのミルク」や「イチジクのシロップ漬け」などは、日本ではなかなかお目にかかれません。