イスラム教徒の義務「ラマダン」の基本情報



世界中のイスラム教徒が毎年行う「ラマダン」ではアッラーへの感謝を捧げ、飲食などの様々な禁欲が課せられています。それにしても、約1ヶ月もの間飲まず食わずでいるのは身体への影響が心配です。

特に、イスラム教徒が多い中東地域ではこの期間、国全体が異様な空気に包まれています。

 

ラマダンの期間

ラマダンは「イスラム暦の9月」。純粋な太陽歴に従って行うため、毎年11日ほど前にズレてきています。つまり、およそ33年ですべての季節のラマダンを体験することになります。

そもそも、ラマダンが「イスラム暦の9月」に行われるようになったのは、西暦610年のこの月に、預言者ムハンマドによってコーランが啓示されたからです。

ラマダン期間は新月によって決まるのですが、天気などの影響で月が確認できないときには日を改めることも。ちなみに2019年は、5月5日の夕方から6月4日の夕方までとなっています。

 

 

ラマダンの目的とルール

イスラム教徒にとって「修行」のひとつであるラマダンには、自身の信仰心を清める目的があります。あらゆる欲を捨て、絶対神アッラーへの献身と奉仕に没頭する期間がラマダンなのです。

 


🔴  飲食禁止
ラマダンは断食を伴う修行であり、一切の飲食が禁じられています。とはいえ、約1ヶ月の間飲まず食わずでは死んでしまいます。なので、基本的には「期間中の日の出から日没までの時間」が絶食ということになっています。

真夏でもラマダンにあたる時間に飲み物を飲むことはできません。日の出前にしっかりと水分を摂り、日没まで脱水症状にならないよう個別に対策するしかありません。

 


🔴  その他の禁止事項
「喫煙」「性行為」なども日の出〜日没の間は禁止となっています。神への態度を慎み、「質素」「節制」に努める時期でもありますので、服装もいつも以上に肌の露出が少ないものにする必要があります。

 

 

ラマダンの参加条件

すべてのイスラム教徒と、その家族や友人たち誰もが参加できるラマダンですが、生理中の女性は不浄とされており、「ラマダンに参加すること」「コーランを読むこと」「祈ること」が許されていません。ちなみに、妊娠中の女性はラマダンに参加できます。

子供は、本人の意思によっていつから参加するか決定することができます。早ければ7歳くらいから、平均10歳前後から参加しているようです。

 


🔵  ラマダンの免除
イスラム教徒にとってラマダンは義務ですが、場合によっては免除されることがあります。例えば「旅に出ている」とき。ムハンマドの言葉に、「旅の間に断食をするのは正しくない」というものがありますので、旅行中であればラマダンをしなくても「神はあなたを愛してくれる」と解釈されるのです。他にも、病気の方は免除されます。

 


🔵  妊婦・高齢者の特例
妊娠中の女性にはラマダンの免除が認められていますが、後に改めてラマダンを行わなくてはなりません。高齢者も、体調に応じて一時的に免除が適用されます。体調の回復ができない場合には、その分貧しい人への施しをするよう教えられています。

 

 

ラマダン中の生活

ラマダンは日の出〜日没と限られた時間ではありますが、仕事もありますし、普段よりもコーランを長く読んだり、アッラーへの祈りの時間を長くとったりします。また、人と会う行為が良いとされているため、あまり会えない友人・親戚・目上の人に積極的に会いに行く傾向にあります。

ちなみに人と会うのは、モスクでの礼拝やお祈りを終えた夜の時間が多いため、ラマダン中は寝不足になる信者が後を絶ちません。

 


🔵  仕事
勤務時間は9:00〜15:00くらいに短縮するところが多数です。そのため、国家規模での
仕事効率は著しく落ちますが、何よりも宗教行事が優先されるのです。

 


🔴  貧しい人への施し活動
貧しい人への奉仕 (ザカート) として、一年の蓄えの2.5%を払うことが義務化されています。ラマダン期間中でなくてもいいのですが、忘れないようラマダン中に納める人が多いようです。ザカートとは別に、寄付 (サダカ) もラマダン中に行うと良いとされています。

 

 

注意点

飲まず食わずのこの時期は、集中力を欠くためか交通事故が多いと言われています。約16億人のイスラム教徒が同じ試練を共有するとても神聖な時期なのですが、それだけイライラしている人たちが多いということでもありますので、変な犯罪に巻き込まれないよう気をつける必要があります。とはいえ、慣れている人からすればプチ断食とは比べものにならない厳しい「行」ではなく、楽しいお祭りのようなものなのだとか。

もちろん、異教徒の旅行者などが断食をする必要はありません。しかしながら、公共の場所やムスリム (イスラム教徒) の前で飲食しないように通達がなされます。それを守らず、公共の場で飲食・喫煙をした場合には、宗教警察に通報され連行されることがあります。気をつけましょうね。

 

 

太る人続出?

日の出から続いた断食が、日没になると一旦解禁されます (イフタール)。このイフタールの開始は、空っぽの胃に負担をかけないよう水分から摂ります。特にローズシロップを使った「ルーオブザ」という赤い飲み物が大人気!そのほか、「ナツメヤシ」「フルーツサラダ」「(揚げ菓子を水飴に絡めた) ジャレビ」「(豆とスパイスを合わせた) サモサ」などでお腹を満たします。

人によってはイフタールの後、改めて本格的なディナーを食べ、さらに次の日に備えて夜明け前の食事 (セヘリ) を摂るなど、食べ続ける人も少なくないのだとか。そのため、家計に占める食費はラマダン期間中の方が高いとも言われています。

 

 

ラマダン明けの祝祭「レバラン」

約1ヶ月間のラマダンが終わると街中がお祝いムード一色に!地域によってはお店や役所が全て閉まり、親戚・友人を訪ねて一緒にお祝いをします。ラマダンを終えた人々はモスクへ礼拝をしに行ったり、服を新調したり、大掃除をしたりと、日本のお盆 & 正月の様子にも似ています。

国や地域によっても異なりますが、例えばヨルダンやレバラン辺りでは「マァッムール」というお菓子がよく食べられたり、インドネシアでは「ドドル」と呼ばれるもち米粉を使った甘いお菓子が定番となっています。

世界人口の2割強もの人たちが信仰しているイスラム教。彼らの信仰心の深さには驚かされることばかりです。機会があればラマダンの時期をイスラム圏で過ごし、実際に体験してみてはいかがでしょうか。

 

 

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