中東にありながら地中海性気候のレバノンは、ヨーロッパ圏の人々にとっては良く知られた観光地で、夏はカラッと冬は温暖。つまり、他のアラブ諸国と違って「春=花」「冬=雪」を楽しむこともできる、四季折々の景色が望める景観豊かな国なのです。
中東で唯一砂漠のない国レバノン。山や緑などの自然が豊富なことから、「中東のスイス」とも称されています。中でも首都ベイルートはヨーロッパを思わせるほどに美しい街並みで、「中東のパリ」と呼ばれています。
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遠い昔、世界の中心が地中海にあった時代、レバノンは東西貿易の交差点となる重要な位置にあり、繁栄の極みにありました。歴史的にはシリア地方の一部だったのですが、山岳地帯は西アジア地域の宗教的少数者の避難場所となり、キリスト教マロン派、イスラム教のドゥルーズ派の信徒らがレバノン山地に移住。オスマン帝国からも自治を認められ、独自の共同体を維持していたのです。
その後、19世紀頃からマロン派に影響力を持つローマ・カトリック教会を通じてヨーロッパ諸国の影響力が浸透する一方で、宗派の枠を越えたアラブ民族主義の中心地ともなっていったのです。
◉ 公用語:アラビア語
◉ 首都:ベイルート
◉ 人口:約600万人
キリスト教徒が多かったこともあってフランスに統治されたレバノン山地は、シリアから切り離されて大レバノンとなりました。この結果、レバノンはキリスト教徒の割合が40%を越え、シーア派やスンニ派など他宗派に優越するようになったのです。現在でもフランスとの緊密な関係を維持しています。
◉ 独立:1943年にフランスより
◉ 通貨:レバノン・ポンド
第二次世界大戦後のレバノンは金融や観光などの分野で国際市場に進出し、経済を急成長させました。その結果、ベイルートは「中東のパリ」と評されるほどの国際的リゾート地となっていったのです。
《続きを読む》長く続いた戦争で、文字通り「がれきの山」と化したベイルートですが、現在は「中東のパリ」と呼ばれた過去の名誉を取り戻すべく凄まじい勢いで復興し、もとのベイルートの姿を再現しつつあります。
ベイルートの観光は、遺跡・宗教建築・高級ブティック・カフェなどが立ち並ぶ「バブ・イドリス地区」、高級レストランからカジュアルなファストフードの店まで立ち並ぶ西海岸の「ラウシェ地区」、そして高級ホテルが集中する「ハムラ地区」に分かれており、それらの街をぐるりと囲うように歩道の敷かれた海岸通りがあります (ダウンタウンのほぼ中央にローマ遺跡があります)。海岸通りはジョギングや散歩をする人たちで常に賑わっています。
《続きを読む》レバノンの中央を貫くレバノン山脈付近に広がるカディーシャ渓谷はレバノンで一番の観光地で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。かつて迫害を受けこの地に移住してきたキリスト教修道士たちが暮らした洞窟・修道院・教会などが今も残されています。ちなみにカディーシャには 「聖なる」という意味があります。神聖な雰囲気に心が洗われること間違いなしの人気観光スポットです。
そしてもう一つ、神の杉の森 (ホルシュ・アルツ・エル=ラーブ) は、国の象徴として国旗にも描かれているレバノン杉の群生地です。大きなものでは高さ30m、樹齢が3000年を超えるものも。その生命力と雄大さを間近で感じてみてはいかがでしょうか。
《続きを読む》ジェイタ洞窟も、レバノンに行ったら必ず訪れたい観光スポットの一つです。首都ベイルートから10㎞ほどのところにあるこの洞窟は、山の中腹で上下2層に分かれた珍しい構造となっており、どちらの洞窟もそれぞれに異なる魅力があります。
まずはロープウェイで上の洞窟へと行ってみましょう。「神秘的な世界」「自然が生み出した壮大な造形美」に圧倒されること間違いなしです。次に、下の洞窟へ行けば地底湖がありますので、ここでは小さなボートに乗ってじっくりと見学してみましょう。
《続きを読む》ジュピター神殿やバッカス神殿で知られるバールバック遺跡は、首都ベイルートからバスで2時間ほどのところにあるベカー高原にあります。巨石が多いことでも有名で、「どうやってここまで運んできたのか?」といった不思議がいっぱい!そんなバールバック遺跡は世界でも有数のローマ神殿跡で、世界遺産にも登録されています。
祭神は、レバノンの最高神ジュピター、美の女神ヴィーナス、酒神バッカスと呼ばれるようになり、遺跡はこれら三神をそれぞれ祀る三つの神殿から構成されています。この遺跡の中で、唯一ほぼ完全な形をとどめているのはバッカス神殿です。2000年以上も前の時代に、どうやって運んだのか・・・本当に不思議でなりません。発掘されたローマ美術などが展示されている併設の美術館もありますので、そちらにも是非足を運んでみてください。
《続きを読む》首都ベイルートからバスで1時間。地中海沿いの町ビブロスにあるこの遺跡は、レバノンが誇る世界遺産の遺跡です。紀元前3000年頃、地中海交易で栄えたフェニキア人が、世界で最も歴史の古い都市国家をここに建設したことは有名で、ビブロスの遺跡はユネスコの世界遺産にも登録されています。
一番の魅力は、何といっても地中海&遺跡のコラボでしょう。海に面したレバノンならではの光景で、青い海に遺跡が良く映えます。ここには、「十字軍時代の要塞」「フェニキア時代の集落」「ローマ時代の劇場跡」など、異なる時代のものが混在しています。ちなみにビブロスは「アルファベット発祥の地」とも言われており、聖書 (バイブル) もここビブロスからきています。
《続きを読む》首都ベイルートから車で約1時間。ムザールはスキーリゾート地として知られています。中東でスキーができるのはイランとここレバノンだけ。「中東のスイス」たる所以でもあります。雄大な景色を眺めながら、アクティビティも満喫してみませんか。
《続きを読む》首都ベイルートに、レバノンで最大規模を誇るモスクがあります。美しいブルーのドームとそびえ立つ塔が特徴的なこのモスクは、夜になるとライトアップで幻想的な雰囲気を醸し出してくれます。建物内の美しさも圧巻です。
モスクの横には、2005年に暗殺されたハリーリー元首相の霊廟があります。残念ながら彼は、このモスクの完成 (2008年) を見届けることはできませんでした。そんなことに想いを馳せ、平和について考えてみるのもいいですね。
食材豊富なレバノンでは、「海の幸」「山の幸」「採れたてのフルーツ」などを存分に堪能することができます。他のアラブ諸国とは違って彼らの服装は自由で、街を歩く人はムスリムの服装をしていたり欧州風のカジュアルな服装をしていたり。また、カフェが軒を連ねている辺りでは夜遅くまで多くの人で賑わっています。
バールベック遺跡では、夏にヨーロッパから数多くの芸術家を招いてフェスティバルが開催されています。遺跡を堪能しつつ音楽を聴く夕べはまた格別なものがあります。フェスティバルに合わせて訪れてみるのもいいですね!
そんなレバノン観光のベストシーズンはほぼ1年中。ただし、12〜2月は雨が多いので、できれば3〜11月のうちに行くと良いでしょう。