皆さんはイランという国にどんなイメージを持っていますか?おそらく、「テロとか起きてそうな危ないイスラム教の国」という印象があるのではないでしょうか。
しかし、実際にはそうでもありませんし、世界でもトップクラスの親日国と言われています。そんな彼らはどんなアニメに親しんでいるのでしょうか?

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昭和生まれの日本人にとって馴染みの深いアニメ作品と言えば「一休さん」ですね。しかしながら「一休さん」は中東地域でも大人気!私の知人のイラン人は幼少時代、どんなに楽しく外で遊んでいても放送時間前にはすっ飛んで家に帰り、目を丸くして観ていたそうです。他にも、アニメ版「水戸黄門」や「キャプテン翼」なども放映されていて、日本のアニメは絶大な人気があったといいます。
どうやらイスラム国家のイランでは、「一休さん」を仏教を取り扱ったアニメとは認識していないようです。そんなことよりも、「一休さんがどんな問題に直面しても冷静に考え、誰も傷つけることなく平和的な解決法を導くところ」に魅力を感じていたようです。こうした背景から、当時のイラン政府は「子供の教育のために良い番組」と判断したのでしょう。

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数年前のイランでは、日本のテレビアニメ『アルスラーン戦記』が若者たちの間でひそかな人気となっていました。本作の舞台は古代イランを想定したパルス王国。敗軍の将となって国を追われた14才の無力な王太子アルスラーンが、仲間とともに数々の死地を乗り越え、王都エクバターナの奪還を目指す壮大な物語です。本作には多くのペルシャ語が盛り込まれています。
そして、このような作品はたいてい各国の言語に翻訳され、動画サイトにアップロードされるのです。イランのアニメ動画サイトにも、ペルシャ語字幕が付けられた本作があがっています。翻訳はアニメファン「有志」たちによるものですが、そこに著作権という概念はないようです。
イランでこの『アルスラーン戦記』が人気になったのは、「イランの歴史が描かれている」「イスラム体制下ではけっして公に描かれることのないイスラム史以前を想定した物語である」ことなどが挙げられます。そして、以下のような声も聞こえてきます。
「わが国には誇るべき物語がたくさんありながら、それに見合う映画やドラマが自国で作られてこなかった。宗教的な作品はいくつもあったけどね。」
しかしながら、全てにおいて肯定的に受け止められているわけではありません。宗教色の強いイラン人からは厳しい批判的な意見も。たとえば、「露出度の高い服装を着ている」「ヘジャーブを被っていない」など。この背景には、この国特有の政治・思想・宗教的確執があります。

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この「ペルセポリス」は、イランで生まれ育ち、世俗的・親米的な王政からイスラム国家への転換である「イラン革命」を経験した少女マルジ (作者) の自伝的作品です。作者の周辺には政治犯として投獄されたり捕まって処刑された人たちも多くいるようで、そんな話も出てきます。
日本の感覚からするとびっくりするような話も多いのですが、結局マルジはヨーロッパに亡命し、フランスでマンガ家になります。評判になった本作は、(日本人にとって) イスラム文化への足掛かりとなり、異文化への扉を開いてくれることでしょう。「イランのちびまる子ちゃん」といったところでしょうか。ただし、イスラム圏では問題視されていますのでその点ご注意を。

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「性のタブーを破るイラン映画」として、アニメ映画『テヘラン・タブー』は世界各地でたいへん話題となりました。本作では、「口の利けない子供がいながら売春を繰り返す女性」「堕胎をした女性」「処女を奪われても婚約者に言えない女性」などを通して、イランの宗教的タブーや腐敗した裏社会を浮き彫りにしています。
ニューヨークタイムズ紙は、「これは子供向けのアニメーションではない」と警告しています。物語は冒頭から衝撃的で、息子とタクシーに乗っている女性が運転手と売春交渉し、合意するところから始まります。イランを離れ、ドイツを拠点に制作活動したスーザンデフ監督は、「今作はイランでは公開できなかったんだ。」と話しています。
そもそもイランでは公共の場で性に関する話をすることはタブーとされており、外国に住んでいるイラン人でさえそのような話題を不快に感じてしまいます。本作は、そんな多くのイラン社会に一石を投じたかった監督の思いが込められています。
イランでは、日本のアニメのみならず連続テレビ小説「おしん」なども爆発的人気に!また、日本の電化製品や自動車などは国民憧れの的となっています。そんなイランには、日本人が旅行で行けば危ないどころか大歓迎されてしまいます。無料でご飯をご馳走してもらうことも少なくありません。とにかく、イラン人は日本のことが大好きなのです。
日本は天然資源に乏しい国ですが、イランのみならず世界各国の人々からのこうした「気持ち」を重要な資源と捉え、それをうまく活用していくべきなのかもしれませんね。まずはイランに行って、アニメの話でもしてみませんか。