東南アジアの銀行で口座開設するメリット・デメリット



海外における銀行口座開設は、日本に居住している人にとっては全く馴染みのないものかもしれませんが、一部の投資マニアにはよく知られているオフショア投資の1つです。

その目的は、日本より高金利の新興国に口座を持っていれば、利息で収入を得ることができるから。

 

とはいえ、先進諸国で外貨預金をしてみても利息 (金利) は大したことありません。

 

やはり、「金利で儲ける」という目的ならば発展途上の国に限ります。ちなみに、世界の銀行金利ランキングは以下のような感じです ↓

 

トップのウズベキスタンなんて「銀行金利20%」とか信じられない数字を叩き出しています。もちろん、インフレ率は高いしリスク大ではありますが…

なので、「海外銀行口座投資」を現実的な視点から考えてみると、東南アジアが最適だと思うのです。

 

当然リスクはあります

もちろんリスク (デメリット) はあります!何も考えずに手を出してしまうと痛い目に合う可能性だってあるでしょう。例えば、

 

①  詐欺

海外銀行口座開設のサポートをうたう悪徳業者を通じて口座開設しようとすると、手数料をだまし取られてしまいます (金融庁から注意喚起が出ています)。最悪、元本まで架空の銀行口座に振り込まされ、騙し取られるケースも。

そもそも、日本に居ながらにして (日本に拠点のない) 外国の銀行の預金口座を開設するには、認可を受けた大手銀行で手続きをする必要がある、ということを覚えておきましょう。

 


②  引き出しが困難

正規の方法で無事口座を開設しお金を預けることができたとしても、いざお金を下ろそうとすると難しい場合があります (これは詐欺ではありません)。

例えば、現地でお金を預けても利息を引き出すにはATMで出金または日本へ海外送金する必要があります。しかしながら、銀行によってはどちらも現地へ行かないと手続が進められず、「お金は貯まるが引き出せない」という状態に陥ることも。

 


③  為替リスク

当然のことながら、外貨投資には為替リスクというものがつきまといます。為替の状況によっては利息のみならず元本割れする可能性も。このリスクは当然負わないといけません。

流動性の低い通貨 (信用度の低い通貨) であればより為替リスクは高くなります。上述したウズベキスタンなどはその最たるものでしょう。つまり、いくら高金利で利息を貰っても、それ以上の変動で利息分が吹っ飛ぶ可能性がある…ということを理解しておく必要があるのです。

 


④  ペイオフ制度

日本であれば、預金1000万円とその利息分まではたとえ銀行が倒産しても保護されます。しかし海外では、保護制度が一切ない国もあるのです。この点、定期的にしっかりと確認しておきましょう (随時変更の可能性あり)。

例えば、マレーシアでは約800万円までは保護されますが、高金利で人気のカンボジアには同様の保護制度は一切ありません。

基本的に、高金利の国はインフレが進んでおり経済が不安定あるいはバブル状態になっている可能性が高い…と考えておいてください。その分、いくら大手の金融機関と言えども倒産のリスクもあるのです。

 


⑤  口座凍結

(日本の銀行と違って) 海外の銀行でよくあるのが口座凍結!これは一定期間入出金がないと銀行が勝手に口座を止めてしまうというものです。

もちろんこれは銀行側がリスク回避のために実施しているものなので、たとえ凍結されたとしても本人確認ができれば元通りにしてもらえます (解除には基本現地支店に行く必要が…)。

 

 

 

リスクを回避しおいしいところを狙おう!

例えば、VisaやJCB、Mastercardのような国際ブランド付きのキャッシュカードを作ることができれば、(手数料はかかりますが) 世界中のATMからお金を引き出すことができ (メリット)、現地のお金を引き出せなくなる…という事態を回避することができます。

これがデビットカードであれば、(ATMから出金しなくても) 日本に居ながら海外口座の資金をカード払いで消費することが可能です。これで、口座凍結のリスクは回避できます。

 

東南アジアで銀行口座開設

仕事や旅行で「よくタイに行く」という方であれば、口座を開設しておいた方が何かと便利でお得です。一方、投資目的であればカンボジアあたりも検討に値します。

特筆すべきはその金利の高さ。1年定期で5%を超える銀行も少なくなく、流動性が世界一高い米ドルを高金利で運用できるのはかなり魅力的と言えるでしょう (預金保護制度がないのはリスキーでもありますが…)。

 

シンガポールは先進国で金利のメリットが全くなく、物価高すぎて生活拠点にするのも不可。というわけで眼中になし。ベトナム・フィリピン・インドネシアあたりは、長期滞在する予定があるのであれば開設しても良いと思いますが、単なる投資目的であればよく考えてからの方がいいでしょう。

というわけで、口座を開設するためには、「その国に住む」「よく行く」といった前提条件が必要となることでしょう。

 

 

東南アジア市場の基本情報

参考までに、日本と東南アジアの「人口」「平均年齢」「(金融機関) 口座保有率」「スマホ保有率」を比較してみると以下の通り ↓

ここで注目したいのは、金融機関の口座保有率。日本では、「お金は銀行に預けるのが当たり前」となっていますが、東南アジアではけっこうな人が金融機関に口座を持っていません。

インドネシア、フィリピン、ベトナムといった大きな人口を持つ国々は軒並み30%台。つまり、アジアとして一括りにして考えてみると、口座の保有率は人口の50%以下なのです。

 

 

 

「メリット」「デメリット」

海外に銀行口座を開設するメリットは、「金利が高い」「日本が財政破綻した際のリスク回避」「節税対策 (金利や配当が無税)」「海外のATMが使える」「世界各国の通貨で預金できる」などが挙げられます。

一方、デメリットとしては、上述したリスク以外にも「英語が必須」「インターネットが必須」「口座管理費がかかる場合あり」などが挙げられます。

 

東南アジア (ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ブルネイ、フィリピン、東ティモール)や南アジア (インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、ブータン、スリランカ、モルディブ、アフガニスタン) の国々を視野に入れ、様々な用途に応じて今から口座開設を検討されてみてはいかがでしょうか。