大好きな日本で九死に一生を得たタイ人女性



2017年1月、東京・上野のアメヤ横町で、1人のタイ人女性が突然倒れました。「きれいな雪を見たい」と友人と来日したワンウィサ・ジャイジュンさん(28)は、「生存率0.1%以下」の重度の心臓病だったのです。

彼女の命を救ったのは、たまたま居合わせた消防士の手当てと高度な手術 & 治療を重ねた医師たちでした。

 

 

☆ たまたま居合わせた消防士

1月20日午後、アメ横は、人の肩がぶつかるほどの賑わいをみせています。

 

そんな中、路上に一際混み合っている場所を見て近づいた消防士のAさんは、

目を見開いたまま倒れている女性の姿を目にします。口を少し動かすものの、呼吸をしている気配はありません。瞳孔は開き、首や手首で脈もとれません。

 

ちょうど、先を行っていたワンウィサさんの友人3人が慌てて戻ってきたところで、Aさんは友人の1人に身ぶり手ぶりで人工呼吸をするよう頼み、自分は心臓マッサージを始めます。

Aさんが30回圧迫し、友人が2回息を吹き込む。2セット終わると、救急車が到着しました。

 

 

 

旅行保険に入っていなかったワンウィサさん

ワンウィナさんが運ばれたのは東京医科歯科大学付属病院 (文京区)。

 

担当医師は「かなり危険な状況だ」と顔をしかめます。同僚の医師が「80歳のお年寄りの血管かと思った」というほど、血管が弱っていたのです。

心臓の筋肉が死にかけており、全身に血液が回らない状態でした。さらに、不整脈も続けて発生。極めて危険な状態です。しかも、ワンウィサさんは旅行保険に入っていませんでした。

 

(高度な手術を重ねれば、治療費は多額になる)

 

それでも医師たちは「目の前の患者を助けないわけにはいかない」と治療を決断!人工心肺装置でポンプ機能を助け、血管を押し広げて血流を取り戻す治療を行い、一時的に命をつなぎとめます。

しかし、冠動脈バイパス手術で少し容体が良くなったかと思うと、また不整脈が発生し命の危険が迫ります。それでも、心筋の一部を焼く治療を2回して、ようやくワンウィサさんの体は落ち着きを見せ始めたのです。

結局、手術や治療を計5回。結果的に、全てのタイミングがよかった・・・まさに奇跡の生還を果たしたワンウィサさん!

 

 

 

タイから駆けつけた母親

タイからは、愛娘の一大事を聞き、居ても立っても居られない母親 (60) が駆けつけます。友人に頭を下げ、20万バーツ(約60万円)を工面し、日本の病院に駆けつけてきたのです。

そして医師たちに「何とか娘を助けて下さい!」と何度も何度も頭を下げます。お母さんはワンウィサさんの無事を祈り、毎日、滞在先ホテル近くの寺にお参りに行ってから病院へ。そして、ワンウィサさんに寄り添い続けたのです。

 

そして、入院から26日が過ぎた2月14日、ワンウィサさんは目を開き、お母さんをじっと見たのです。

(娘が目を覚ました!)

 

気が動転したお母さんは、それでも他の患者さんたちの迷惑にならないよう、そっと近くのトイレに駆け込み、声を殺して泣き崩れたのです。

日本語がまったくわからないというお母さん。1ヶ月近くも知らない土地でたった一人、不安な気持ちと闘いながら生活するのはどんなに辛かったことでしょう。

 

後日、4月に帰国したワンウィサさんは「母の強い願いが私を救ってくれたんです」と言葉を噛み締めながら語ってくれました。

 

 

 

のしかかる医療費は給料15年分…

現在、ワンウィサさんはタイ北部のチェンマイで、ホンダの自動車ディーラーで働いています。「すぐに処置をしてくれたAさん、そして病院の先生たちには本当に感謝しています!」

それでも、お母さんは暗い表情です。

「娘は元気になった。でも、どうやってお金を工面すればいいのやら……」。

 

実は、ワンウィサさんが回復するまでにかかった総治療費は約1800万円!友人らの呼びかけで、タイ国内で50万バーツ(約150万円)の募金は集まりましたが、在日タイ大使館が立て替えてくれた800万円分を含め、およそ1600万円余りが不足しています。

平均月収が10万円ほどとされるタイ。1800万円という大金は、単純に計算すると15年分になります。タイで一般的な暮らしをしているワンウィサさん家族が簡単に払える額ではないのです。

 

 

 

日本に来るタイ人旅行客の9割が保険に入っていないという事実…

実は、彼女の手術を担当した医師たちは、高額な体内埋め込み型の機器の代わりに、着用型の機器を選ぶなど、費用を抑える工夫をしていました。

「せっかく助かっても、医療費のせいで一生苦しんでほしくはない。」という思いからです。

 

タイでは、所得が増えた中流階級の人たちが続々と海外旅行に出かける一方で、旅費を少しでも安く抑えたいという思いから「掛け捨ての保険」に加入しないのです。

タイに限らず、外国人観光客はこれからもどんどん増えていくことでしょう (外国人観光客はここ5年間で約4倍に増え、2016年は約2400万人)。一方で、未払い医療費の問題が顕著化。。。

保険に入らず、病気やけがで多額の医療費を背負う人が少なくありません。結局、当の本人は支払うことができず、逃げるように出国。

結果として、未払い分は医療機関側が「泣き寝入り」することが多いようです (裁判に持ち込むと、年数と様々なコストが無駄にかかってしまいます)。

 

 

「やっぱり保険に入っていればよかった…」

ワンウィサさんにとって、大好きな日本への旅行はこれが3回目。雪を見に新潟県湯沢町のスキー場や富士山を訪れ、帰国のため空港に向かう途中のアメ横で倒れたのです。

 

これまで、健康診断で「あまり心臓がよくないですねー」と言われたことはあったものの、深刻に受け止めたことはありません。

「今思うと、保険に入っておくべきだった。お金は、一生かかっても払いたい」と話しています。

 

もし、金銭的に協力したいという方がいらっしゃれば、在日タイ大使館(infosect@thaiembassy.jp)まで連絡をお願いします。

 

そして、病気や怪我は誰だっていつなるかわかりません。特に海外での医療費は高額になります。まさかに備えて、必ず加入してから出かけるようにしましょうね!

備えあれば憂いなし、です ☆

 

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