日本の少子化は「結婚・出産・子育てに対する希望の低下」が主原因とされています。その背景には、「若い世代の所得の伸び悩み」「就労・家族構成の変化」「(依然として厳しい) 女性の就労継続」「子育て世代の男性の長時間労働」などなど、様々なものがあります。他にも、「(不安をあおる) 待機児童の問題」など、国策の不十分さもあるのです。
近年は、残念なことに「子供の貧困問題」なども話題にあがってきています。少子化社会には、こうした子供が健全に育ちにくい環境が背景にあるのです。未来の日本を担う子供たちが不足してきている現在のニッポン。。。この少子化問題に、果たしてどのような解決策が必要なのでしょうか?
《続きを読む》日本政府は、1990年代半ばから「エンゼルプラン」(1994年〜)、「新エンゼルプラン」(1999年〜) と少子化対策を推進してきました。さらに「少子化社会対策基本法」(2003年)、「次世代育成支援対策推進法」(2005年) が制定され、2005年度からは「少子化社会対策大綱」とその具体的な実施計画である「子ども・子育て応援プラン」に基づき少子化対策が推進されてきました。しかしながらこれらの対策では「少子化」の流れを止めることができなかったのです。
少子化の背景にある社会意識を問い直し、家族の重要性の再認識を促さなければならないのは、まさに今なのです。第2次ベビーブーム世代がまだ30代であるのもあと数年。そう考えると、速やかな対応が求められるのはまさに今しかないのです。
《続きを読む》2006年以降も、政府はそれなりの対策を講じてきました。2008年には「待機児童ゼロ作戦」なるものも出てきましたし2013年には「少子化危機突破のための緊急対策」なる会議も開かれました。2017年には「少子高齢化」という最大の壁に立ち向かうため、政府は「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪とする「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定しました。このうち「人づくり革命」については、「幼児教育の無償化」「待機児童の解消」「高等教育の無償化」など2兆円規模の政策を盛り込み、子育て世代や子供たちに大胆に政策資源を投入することで、社会保障制度を全世代型へと改革することにしたのです。
また、これらの施策の安定財源として「消費税率10%への引上げ」を敢行 (2019年10月)。とはいえ、問題解決のための本気度はまだまだ足りておらず、「待機児童ゼロ作戦」から10年以上経った今もこの問題は解決されていないのです。
《続きを読む》少子化対策には、その背景にある諸問題 (仕事と子育ての両立に係る負担感や子育ての負担感) を緩和・除去し、安心して子育てができるような環境整備を進めることが大事になってきます。
国だけでなく地域社会での対策がとられる必要性も感じられます。つまり、少子化には地域の特性に合わせた臨機応変な対策も必要不可欠なのです。さらに、企業 (職場) の中にも育児支援が求められるでしょう。多角的視点からこの問題に全力で取り組む必要があるわけです。
出生率向上のためには様々な施策を組み合わせて総合的に推進する必要があります。そこで重要なのは、家族の絆や地域の絆を強化することにあるのです。子どもの誕生を祝福し、子どもを慈しみ、守り育てることは社会の基本的な責任であるという認識を高めていく必要があるのです。様々な家族の姿がありますが、「子どもを家族が育む」「家族を地域社会が支える」…そのような社会であってこそ、各種支援施策が効果を発揮していきます。国・地方公共団体・企業・地域社会など連携の下、社会全体の意識改革に取り組むことが重要なのではないでしょうか。
《続きを読む》いまの若年世代にとって、「経済的な負担の大きさ」「家庭と仕事の両立の困難さ」「育児についての不安」など、子どもを生み育てていくことをためらわせる負担感は大きく…
そうした心理状態にならないためにも、もっともっと積極的な国策が必要になってきます。子どもを安心して生み、育てやすくする環境整備のための支援策をさらに拡充していくことが重要なのです。子育て支援は、単に親の負担を軽減することのみが目的ではなく、親子の関係を良好にし、子育ての喜びを実感できることを通じて家族機能や家族の絆を強めることにつながっていくのです。
また、家事や育児を行うことが極端に制約される職場の働き方を是正し、親子や夫婦が共に過ごす時間を増やすなど、仕事と生活の調和を図る必要もあります。子育ては、第一義的には家族の責任ではありますが、子育て家庭を国・地方公共団体・企業・地域など社会全体で支援していくことが最も重要なことなのです。お役所仕事のみに任せていては、こうした本質が改善されることはないのかもしれません。