マレーシアの首相夫人ロスマの豪勢な暮らしぶりが、「まるでかつてのイメルダ・マルコス(フィリピン大統領夫人)のようだ」と、世界中で騒がれています。
自らもスキャンダルを抱えるナジブ首相は、大物政治家で元首相のマハティール氏から「汚職捜査を妨害した!」と提訴されており、まさに背水の陣となっております (2016年秋)。
それでは、
そのロスマとはどんな人物なのか、みてまいりましょう。
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10か国の首脳、元首の夫人たちの中で、「最も美しいファーストレディ」を選ぶイベントがあり、見事2位を獲得したこともあるマレーシアのファーストレディ、ロスマ・マンソール夫人(64)はこの人です。
現在、人気と支持に陰りの出てきたナジブ・ラザク首相にとって、ロスマ夫人の存在は (体重のみならず) 、非常に重荷となってきました。
一方、マハティール元首相による「ナジブ打倒」はイケイケ状態です。
ロスマは、夫人 (首相ではない) の立場でありながら政治に口出ししたり、不動産購入や宝飾品収集といった贅沢三昧の私生活などが暴かれまくっています。
その「マイナスイメージ」に夫は何も言えません。まさに「マレーシアのイメルダ」という不名誉な異名がぴったりの女傑?なのです。
「イメルダ」は言わずと知れたフィリピンの独裁的指導者だった故マルコス大統領の夫人で、贅沢三昧な生活ぶりが暴露されたあのイメルダ・マルコス夫人ですね。

2007年にマレーシア政府の支援で設立された貧困層の子供に対する社会支援を続ける「プルマタ」の活動が国際的に高く評価され、
その代表としてロスマ夫人に、ユネスコの「リード・バイ・エグザンプル」賞受賞が決定していました。
ところが2016年秋、表彰式の直前になってロスマ夫人の名は除外されてしまったのです。
この「プルマタ」の設立時にロスマ夫人が多額の寄付をしたことが指摘され、その資金源が不透明、不明確なことから受賞対象から除外されたというのです。
この措置に対してロスマ夫人は「ユネスコの決定の背後にはウォールストリート・ジャーナルとニューヨーク・タイムズという米2紙による圧力があった」とその公平性に疑問を投げかけたのです。
その上で、「この賞にプルマタは自ら応募したわけではなく、ユネスコが一方的に選んだだけだ」「勝手に選んでおいて一方的に除外するとは何事だ」とユネスコを強く批判したのです。
この「マレーシアのイメルダ夫人」とは一体どういう人物なのでしょうか。
1951年12月10日生まれのロスマは、マラヤ大学で人類学、社会学を学び、米ルイジアナ州立大学に留学して社会学、農学修士を得て帰国。
農業銀行、不動産開発会社に勤務した後、1987年にナジブ氏と結婚しました。夫ナジブ氏がマハティール政権で頭角を現し国防相、副首相、首相と政界の階段を上るに従い、夫人の贅沢志向も膨れ上がっていったようです。
高級腕時計、高級宝石、洋服・鞄・靴などブランド品の数々。
一部報道では、ここ数年間におけるクレジットカードの支払い額はなんと600万米ドル…
この金額の一部は、不正資金として流用している可能性もあるようです。
そもそも、夫人自身には定期的な収入はないそうです。そんな疑惑まみれのロスマ夫人のお気に入りブランドはエルメスだとか。
このほかに、ロスマ夫人は不動産が大好き!
ニューヨークには約3,000万ドルのペントハウス、ロサンゼルスには約3,900万ドルのマンションなど、総額10億ドルほどの資産があるとも報じられています。

ナジブ首相が副首相時代の2008年には、「ロスマ女史が殺人現場に居合わせた」として、殺人事件への関与疑惑が浮上したこともありました。
この時は「政治的陰謀だ」として全面否定したのですが、警察から事情聴取を受けたことは事実なのです。
また2015年8月には「首相夫人がマレーシア中央銀行総裁の追放を画策した」「人事への口出しだ」と疑惑を報じた記者に対し、
「自発的全面謝罪しろ」とロスマ夫人はプンプンップンプンッ!
様々な疑惑は深まるばかりで未解決のまま…
真相はいかに?
そんな事情もあってか、2016年春に開かれたバドミントンのマレーシア・オープン決勝戦では、場内にロスマ夫人の名前がアナウンスされると、1万人の観衆から盛大なブーイングが沸き起こったようです。
さらに8月には、クアラルンプール市内で開かれた政治腐敗追及のデモにおいて参加者から「ロスマ夫人の金銭疑惑の解明を!」の声が。
一方で、与党系のメディアでは連日のように彼女の公的活動が伝えられ、「ファーストレディとして貧困対策、社会運動支援に活躍する姿」が大きく報じられています。
「ニュー・ストレート・タイムズ」では、ロスマ夫人が自閉症児の施設を訪問し約3時間にわたる施設訪問の様子を自閉症児やその親と笑顔で歓談する写真とともに掲載されていました。
マハティール元首相は、かつてのライバル、アンワル元副首相と連携して「打倒ナジブ」に向け動き出しました。
国民の間でも反ナジブ運動が拡大の様相を見せる中、2018年に予定されている次の総選挙の日程を前倒しするのかどうかが焦点となってきました。
ナジブ首相は、野党の足並みが揃いその勢力を拡大する前に議会を解散し、総選挙を前倒しすることを模索しているようです。
しかし、自らのスキャンダルに加えてロスマ夫人の数々の疑惑が急浮上する中、「総選挙の前倒しは逆に不利」と判断して方針を転換、政権維持にまい進する覚悟を決めたとされています。
これに対し、公然と「ナジブ退任」を求めるマハティール元首相は、かつての右腕、有力後継者でありながら「同性愛疑惑」で政界から葬り去ろうとしてくれたアンワル元副首相との歴史的和解で連携を深めているのです。
さらに、ナジブ首相を批判して副首相を解任されたムヒディン前副首相を新党党首に迎えるなど、マハティール元首相を軸にして「ナジブ包囲網」は着実に固まりつつあります。
ナジブ首相とロスマ夫人の次々と浮上するスキャンダル、疑惑、、、
今後のマレーシア情勢から目が離せなくなってきました。