増加する外国人旅行者の医療費未払いと確信犯的「先進医療目的の来日」



訪日外国人旅行者が急増する中、滞在中にケガや病気で病院にかかり、医療費を未払いのまま自国へ帰ってしまうケースが増えてきているようです。

大阪府で実施した調査では、訪日客を受け入れた病院の30%で未払いが発生。旅行保険に入っていれば済んだものを、入っていなかったばかりに全額自費払いとなるため、救急病院にかかったある患者の場合では、800万円も支払わなければならないケースもあったようです。

 

こうした医療行為の受け逃げは、国民の保険料や税負担に直接影響があるわけではありませんが、病院経営を圧迫する要因になりかねません。

ちなみに、訪日外国人の旅行者数は2010年で約860万人ほどだったのに対して、2016年度は過去最高の約2400万人でした。東京五輪が開催される2020年度頃には約4000万人ほどが見込まれており、早急に対応しないといけない問題となっています。

 

日本人も含めた医療費の未払いは、これまでの総計で1病院あたり5000万円にも達するとか…

全国のトータル (総額) では130億円を超す金額に上ります。

 

 

 

日本旅行中に急病になった外国の患者さんが未払いで帰国した!何とか集金手段はありませんか?

ある病院の院長はこうおっしゃっています。

「特に、アジアの旅行者は海外医療保険に入って おられない方が多いです。その場合でも、医療機関として必要な医療行為を提供するわけですが、退院の際に窓口で支払われるのは稀です。

「今すぐには支払えないから少し待ってほしい」「帰国後に送る」などと言われ、結局支払われることはないのです。

 

こういったケースに対して、医療費回収のための法的な手当てみたいなものはないのでしょうか?

 

 

 

回答は…?

 

中には外国人の未払い医療費を補填する事業を行なっている都道府県もあるようですが、一般的には患者さんを相手に訴訟を起こし、勝訴判決に基づいて強制執行するという手段が、強制力のある唯一の方法のようです。

ただ、日本で得た勝訴判決に基づいて、外国で執行判決という判決を得てから強制執行しなければなりませんから、「弁護士費用」「渡航費用」「通訳・翻訳料」などを考えると、仮に回収できても費用の方が回収額を上回ってしまうおそれがあります。

 

しかも、法令や司法制度があまり整備されていない国では時間ばかりかかって全く回収できない場合もあります。

したがって、強制執行を決行するのであれば、未払い医療費が相当高額で、それだけの費用をかけても回収を目指す意味がある場合に限って有効と言えるでしょう。

 

 

 

どの国の患者が多いのか?

観光客が増加するに従って、クレジットカードも持たず、保険にも加入していない外国人急患の数も増えています。アメリカなどと比べると日本の医療費は安いのですが、10割負担となってしまうので、支払う側もそれなりの金額になってしまいます。

こうした現状を踏まえて、各病院では通訳を雇ったり、マニュアルを作成しているようですが、地方の病院はまだまだ対応できず、今後のオリンピックへの課題となっています。

三井住友海上火災やあいおいニッセイ同和損害保険などの各保険会社は、旅行客向けの保険だけでなく、宿泊先の旅館に対する保険などの販売も始めているようですよ。

 

で、最後に患者の国籍を多い順に列挙して終わりにしたいと思います。(今回は短い文でしたが) 最後までお読みいただきありがとうございました。

 

  1. 中国
  2. 韓国
  3. アメリカ
  4. フィリピン
  5. ブラジル
  6. ベトナム
  7. インド
  8. インドネシア
  9. ロシア
  10. タイ
  11. オーストラリア

 


 

※ 少し別の問題になりますが、日本の先端医療を狙って、外国からごまかして医療を受けに来る外国人が増えてきているそうです。どういうことかというと、通常は医療目的で来日する場合、国民健康保険の3割負担の適用がありません。そこで、留学や経営などと称して来日し、実際には医療を受けに来るだけ…らしいのです。特に高額な抗がん剤の治療や移植手術などにその傾向が見られます。この背景には、日本人の (医療を斡旋する) 司法書士や医療ブローカーの存在もあるようです。