インドの代理出産は、2004年にイギリス在住のインド系女性が娘のために代理出産をしたことで知られるようになりました。
その後は年々急増し…
依頼者の多くは在外インド人を含む海外居住者たち。
インドは、国境を超えた生殖ツーリズムの一大拠点となってしまったのです。
この状況に対しインド政府は、不妊治療を施す医院に「インド人女性を代理母とする代理出産を外国人に認めてはならない」と指示を出したのです (2015年)。
さて、代理出産は日本では認められていないため、必要とあらば海外に渡って行う必要があります。費用は、個別のケースで異なりますが、どの国でも最低1,000万円はかかります。
メキシコなどでは代理出産禁止法が制定され、代理出産が完全に不可能になりました。
インドでは今後どうなっていくのでしょう?
インド、タイ、カンボジア、ネパール。過去十数年の間に代理出産を巡る世界情勢は大きく変わりました。
一部の州で代理出産を認めているアメリカではなく、1/3ほどの費用で済むアジア諸国に舞台が広がったのです。
とりわけ世界第2位の人口を持つインドは、「クリニック数が多い」「代理母が多い」「低価格」「英語が通じる」ということで、先進国から依頼がドッと押し寄せたのです。もちろん日本からも。
ところが、子供の親権や出国トラブルなどが相次ぎ、インド政府は徐々に依頼者の取り締まりを強化。そして2015年秋、外国人向けの代理出産を禁じることにしたのです。
アメリカ・シアトル在住のスミスさん夫婦は、2人目の子どもを持つという長年の望みをかなえるため、インドの代理出産サービスを当てにしていました。
ところが、インド政府が「外国人への代理出産サービスの提供を禁止」したため困っています。2人は慌てて、自分たちの凍結受精卵をムンバイの不妊治療クリニックから取り戻そうと奔走。
受精卵は「私たちの赤ちゃんです」
それにしても、「体外受精も含めて約300万円で済んだのに残念だ」という声が多く挙がってきています。
アメリカで代理出産を依頼すれば、費用はその10倍!
インドがダメならタイ・カンボジア・ネパールに人気が殺到し、それらの国も大混乱になってしまいかねません。
タイでは既に、商業目的の代理出産が禁止されています。その他の国々もいずれ…
現在、低料金でのサービスを提供しているのはロシア、ウクライナ、メキシコくらいになりました。他の国では非営利での代理出産だけが認められているか、もしくは代理出産が完全に禁止されているのです。
今後、世界の代理出産ビジネスはどうなっていくのでしょうか?
代理出産ビジネスは「インドの貧しい女性たちを搾取している」との批判もありますが、当事者たちにしてみれば、「高収入の道を絶たれ困ってしまう」というのが本音のようです。
しかし、隠れて代理出産をし、もし見つかれば刑事罰を受けてしまうことに…
(外国人向けの子供であれば絶対に見つかってしまいます)
スミスさん夫婦には11歳の長男がいますが、2人目の子どもをつくろうとしたところ3回の流産を経験しました。
その後2人はインドを訪れ、クリニックで2人の卵子と精子を使って受精させ、受精卵を凍結保存。あとはこの受精卵を代理母に移植するだけだったのですが…
もはやインドでの代理出産を行えなくなった今、2人は自分たちの受精卵を国外に持ち出したいのですが、海外に運ぶには4000ドルから7500ドルの費用がかかるといいます。
「胸が張り裂けるようでとても悲しい…」
「でも、この世界に足を踏み入れて(代理出産の)プロセスを始めるにはリスクを背負うことになることは分かっていました」