トルコの世界遺産カッパドキアで痛ましい事件が起こったのは2013年のことでした。
日本の女子大生2人が何者かに襲われ一人が死亡、一人が重傷を負ったのです。そして現地では、地元の住民約1,000人が集まり追悼行事が行われたのです。
住民たちは日本語とトルコ語で「ごめんなさい」「申し訳ありません」「トルコと日本の友好は永遠にありますように」「皆さまの悲しみは私たちの悲しみです」などと書かれたプラカードを持ち、追悼行進や献花を行ってくれました。
私自身2012年にカッパドキアを訪れていますが、現地の人々は本当に優しく、落ち着いた町でとても凄惨な事件が起こるような場所ではありません。
たまたま一人、精神に異常のある犯罪者がいたために起こってしまった悲劇とも言えるのです。
それでも、住民たちはやっぱり温かかった!
トルコ国民は、悲しみに暮れる日本人に対してこれほどまでに親愛の情を示してくれたのですから。

エルトゥールル号遭難事件
1890年、オスマン帝国(その一部が現在のトルコ)の軍艦エルトゥールルが、和歌山県の海上で遭難し、500名異常の犠牲者を出してしまいました。
この時、近くに住む住民たちは総出で救助と生存者の介抱にあたったのです。この出来事を機に、日本とトルコの間には深い信頼と絆が築かれていったわけです。
その後も、両国の友好かんけいを深める出来事はいくつもありました。例えば。。。
銅像を建て称えられる日本人
2011年、トルコ東部で発生した地震後に被災者支援活動を行っていた一人の日本人がいます。
宮崎淳さんです。彼は、支援活動中に起こった余震により、宿泊先のホテルで亡くなりました。その功績が称えられ、トルコ・コズル市の「ミヤザキ公園」には宮崎さんの銅像が建てられたのです。
オリンピック招致で争った日本とトルコ。結局は日本が勝利し、2020年のオリンピックは東京で開催されることとなりましたが、敗れたトルコ国民は快く賛辞を送ってくれました。
イラン・イラク戦争の時、イランに残された在留邦人215人をトルコ航空が救出してくれたことも忘れてはなりません。この時、救援機には陸路で脱出できるトルコ人よりも日本人を優先して乗せてくれているのです。
また
東日本大震災の時には、外国人救助隊の中で一番最後まで頑張ってくれたのがトルコなのです。その際、トルコのエルドアン首相は救助隊に「死ぬまで日本に残って救助を続けろ」と檄を飛ばしたといいます。

「本当にありがとう!」
イスラム世界で愛される日本人
さて、ここからが本題です。
なぜ、トルコを含めイスラム世界の人々はこうも日本に親愛の情を抱いてくれているのでしょうか?
それは…
イスラムの人々が理想とする「心意気」や「感情」を日本人が備えているからではないかと考えられます。
・日本人は嘘を言いません!
・約束を守ります!
・マナーが良いです!
こういったことが評価されているのでしょう。
人懐っこく、外来の者に親切なイスラム世界の人々は、他人を思いやり面倒見がとても良いのです。お互いに助け合って生きていくという精神を兼ね備えています。
そうなんです!
美徳とする価値観が日本人とよく似ているのです。だからこそ、イスラム諸国において、日本の評判は非常に高いのではないでしょうか。

ありがとう!
冒頭に述べたカッパドキアの事件では、多くのトルコ国民が日本人の悲劇を共に嘆き悲しんでくれました。東京五輪開催が正式に決定した際には、「悔しい!」にも関わらず心から日本を祝福してくれました。
トルコ国民の姿勢には本当に頭の下がる思いです。
「ありがとう!」
「これからもよろしくね!」
イスタンブールのカフェにて
数年前、トルコに行った時のことです。イスタンブールのオープンカフェで隣の席にたむろしていたおじさんたちと仲良くなり、いろんな話を聞きました。
彼ら曰く「中国人は嫌いだ」と。
なぜなら彼らは、新疆ウィグル自治区でイスラム教徒を弾圧している中国人を快く思っていないのです。「あの国のやつらは何をするかわからない!」と鼻息荒く怒っていました。
「アフリカのいろんな国に援助金をばら撒いているようだけど、それを口実にあいつら、資源を根こそぎ持っていくよな」
一方で、日本人のことはどう思っているのか聞いてみると、
「正直よくわからん」…と一言 (笑)
なんで?
もう少し問い詰めて聞いてみるとこんな答えが返ってきました。
「日本人は何を考えているのかよくわからないんだ」
「だってそうだろ、日本人は自分の気持ちをストレートに表現しないんだから」
「でも、礼儀正しいし親切だし、橋を作ってくれているし、俺は好きだよ」
どうやら、何を考えているのかよくわからない不思議な人種らしいのですが、好意は持ってくれているようです。
「ここは俺の奢りだ!日本人!さあどんどん飲め飲め!ワッハッッハ!」…

「よくわからない」日本人
イスラム圏の多くの国々には、日本人駐在員が居住する地域「日本人村」があります。総じて各国の一等地に。これは何を意味するのか?
それは、駐在している日本人の多くは、ビジネス以外ではなかなか「日本人村」を出ず、本当の意味で現地の人々と交流をとっていないということ。
日本企業の看板は背負っているものの、「個人」としての顔を見せない。だからこそ余計「日本人はよくわからん!」評に繋がってしまうのです。
感慨駐在員の皆さん!もっと外に出て、現地の人たちと腹を割った付き合いをしていってくださいな。

おわりに
中東、イスラム世界からは「日本に中東・アジアの盟主になってほしい」との声があがっています。
例えばイランやパキスタンなどでは「天皇陛下を戴く日本がアジアのリーダーになるべきだ」との声が根強くあるそうです。
なんだか平和的な話でもなさそうなので「盟主」であることは丁重にお断りしたいのですが(笑)、ともかく、日本が中東、イスラム世界の人々から好意的に思われていることは紛れもない事実のようです。
勤勉で時間に正確で老人を尊敬し礼儀正しい事!
このような、互いに共通する「美徳」を守っていくためには「盟主」である事を厭いませんよ。
Courtesy costs nothing.
礼儀に金はかからない
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