中国の上海市郊外に、待ちに待った「上海ディズニーリゾート」が2016年6月16日正式オープン…
しかし5月の試験営業でアトラクションの故障が相次いだほか、入場者の割り込みトラブルなどが頻発…
アジアでは日本と香港に次いで3カ所目となる「ディズニーリゾート」、中国本土で初めての「夢と魔法の国」は波乱含みのスタートとなりそうです。
ぽっちゃり体型のお姫様?
ウォルト・ディズニーといえば、「白雪姫」(1937年)や「シンデレラ」(1950年)など、すらりとした美しいお姫さまが主人公としてアニメ映画で人気を博していますが、
この状況に対し、アメリカ在住のぽっちゃり体形の女子高生が「私のようなぽっちゃり体形のお姫さまをディズニー・アニメに登場させてください」と訴える請願活動をネット上で展開。
なんと、全世界から3万人以上の賛同者が集まったのです。
「すべてのボディーは美しい!」と題した活動が展開されました。
「ディズニーがぽっちゃり体形の主人公を作ってくれれば、自分は醜いと感じている多くのぽっちゃり体形の女の子のためになると思います」…と。
太っている方が健康的?
「太っている方が健康的よ」
「すべてのサイズの女性が美しい」
「ぽっちゃり体形の女性が自信を持てるようにしてください」
「ディズニーには女性のサイズや民族性を含め、そのイメージをポジティブに見せる責任がある」
確かに、すべての女性がディズニー・アニメに登場するようなスリムなわけではありませんが、「太っていることが健康的」と言い切ることには反対です。
もちろん、ガリガリに痩せる必要はありませんが、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞など多くの深刻な病の元となる肥満は解消されなければなりません。
太ることを美化してはいけないと思うのです!
ダイエットにより
・生活習慣病の予防
・医療費の抑制
・食糧不足の改善
などに繋がるということを肝に銘じて、健康的にダイエットしていきましょう!
それでも反論する人々
そもそも今回の一件の発端は、「アナと雪の女王(原題:フローズン)」にありました。
ディズニーは一般的にほっそりした女性主人公をアニメ化する傾向にありますが、体が華奢(きゃしゃ)過ぎる主人公たちは「手首より目が大きい」「体のスタイルが非現実的だ」と真面目に批判されています。
反論に反論する人々
例えば、反肥満団体の創設者メレディスさんは、「全米では子供の肥満が激増している」「危険かつ不健康だ」として、肥満が称賛されないことを強く望んでいます。
アメリカでは多くの人が太り過ぎています。ディズニーのお姫さまがそうなることは「肥満防止啓発」のためにけっして良くありません。
万が一ぽっちゃりお姫様が誕生すると
もしも「肥満」のお姫さまの物語が作られたら…
「糖尿病」や「ガン」「不妊」「過食症」などに苦しむお姫さまの物語を作る必要が出てきます。
真の健康を手に入れるためダイエットしましょう!というメッセージ性のある「肥満」のお姫様ストーリーには賛成ですが、「肥満」を称賛するような物語はやはりディズニーで作るべきではないと思うのです。
「夢と魔法の国」に必要?
皆さんはどう考えますか?
ちなみに
バービー人形は
女性の美の究極のステレオタイプと揶揄されることも多い「バービー人形」ですが、これは「着せ替えしやすく作られているんだ」「バービーをデブにするつもりはない」と関係者の方はこの論議を一喝!
ディズニーの挑戦
これまでディズニーは、女性の社会進出の進展に伴う価値観の多様化やヒスパニック(中南米)系の激増に代表される人種の多様化を受け、様々な挑戦をしてきています。
例えば、中東が舞台の「アラジン」(92年)や、米先住民族(ネイティヴ・アメリカン)のポウハタン族の娘が主人公で、異人種間の恋愛を描いた「ポカホンタス」(95年)、古代中国が舞台の「ムーラン」(98年)、、、
黒人女性が主人公の「プリンセスと魔法のキス」(2009年)など。
さて、もう一度考えてみましょう!
「肥満」のお姫様がディズニーに必要か否か
「ぽっちゃり体形のお姫さまをディズニー・アニメに登場させてください」と訴えたアメリカの女子高生はこう述べています。
「背が低かったりぽっちゃりだったり、洋ナシのような下半身デブだったり、いろいろな体形のお姫さまがいてもいいのではないですか?」
「すらりとしたお姫さま以外は受け入れられないという男性の考えを捨ててもらうため、ぽっちゃり体形お姫さまのアニメを観てもらいたい」と。
果たして、ディズニーのアニメ映画に「ぽっちゃり体形お姫さま」が登場する日は来るのでしょうか!?
上海ディズニーリゾートが抱える問題
5月からの試験営業において、
・機械の故障
・長い行列
・悪質な割り込み
・幾多のマナー違反
・ダフ屋の横行
・ニセ入場券登場
・その挙句の暴動騒ぎ
が起きてしまいました。

上海ディズニーの概要
ちなみに、東京ディズニーリゾートでは7400円、カリフォルニアのディズニーランド・リゾートでは99ドル(1万1187円)となっています。
売り上げ予想
中国メディアは、上海ディズニーの初年度の入場者数を1,000万人以上、年間売り上げを240億元(約4200億円)と予想しています (チケット収入40億元、残りの200億元はレストランやショッピングの収入)。
2015年5月、上海市内に世界最大級のディズニーストアがオープンした際には大勢の客が詰めかけ、開店からわずか30分未満で「行列禁止」になるほど賑わったこともあり、上海ディスニー内での「爆買い」がかなり見込まれているようです。
「偽物」取り締まり強化
上海ディズニーは、中国の国家の威信をかけた施設であるともいえます。
習近平国家主席は以前、「私が中国にもディズニーランドが必要だと思ったのは、東京や米オーランドのディズニーに行ったことがあるからだ」「中国には多様化した娯楽市場が必要だと思った」と語っていました。
それだけに、当局は中国らしい“恥ずべき現象”に対して、かつてないほどの神経を使っているのです。
中国政府は2015年末、「偽物ディズニー」商品を対象にした取り締まりキャンペーンを開始し、上海ディズニー周辺を「ディズニー商標重点保護区」に指定!これまで以上に力を入れて「偽物」商品の販売を禁止しているといいます。
「偽物」「コピー商品」が当たり前の中国で、政府がディズニーに絞って取り締まりを強化していることは異例中の異例とも言えるでしょう。
大気汚染の改善
さらに上海市は、施設周辺で稼働している「汚染度が高く消費が多くて非効率」な153社を閉鎖する方針を明らかにしています。
現地では「やった〜!青空が見られるぅ!」と期待の声が高まっていますが、「これまでPM2.5(微小粒子状物質)を放置してきていながら何を今更…」と冷ややかな声も…
“商魂”逞しい中国人
国家の威信をかけ、「偽物」取り締まりを強化しているはずの中国ですが、すでに、中国国内には偽物ディズニー商品を製造する工場がいくつもできており、当局とのいたちごっこで賑わっています (苦笑)
上海ディズニー周辺には早くも、無断で “ディズニー店”などの看板を掲げたホテルがあるようです…
メッセンジャーアプリの「微信」(ウィーチャット)は、「上海ディズニーのチケットを無料でプレゼントする」と持ちかけ、ユーザーに返信させるという悪質な詐欺も広まっています。
遊園地ラッシュ!
中国では今、2020年にオープン予定の「ユニバーサル・スタジオ」が北京で建設中です。上海には「ディズニー」のほかに「レゴランド」が建設されることとなっています。
まさに「遊園地ラッシュ」!
これに伴い、既に飽和状態とも言われる中国国内の遊園地事業はピンチ!既存の遊園地は相次いで経営難に陥っていくことでしょう。
その影響は既に「香港ディズニーランド」にも及んでおり、2015年度は赤字に転落しています。香港ディズニーは施設規模が他のディズニーリゾートより小さいこともあり、集客力はいまひとつ。
2005年の開業から赤字が続き、2012年にようやく黒字に転換したばかりでした。
上海ディズニーの開業で中国人客の減少は確実とみられ、今後はさらなる赤字が避けられない見通しとなっています。
上海ディズニーは「夢の国」になれるのか?
「東京ディズニー」の接客対応の高さは中国でも有名です。お客さんは、アトラクションを待つ行列がどんなに長くても整然としています。その上リピート率が高い!
これに対して、中国人のマナーの悪さは世界的にも有名な話です。間違いなく、行列を我慢できずに割り込んでくるでしょう。場内の至る所で、いざこざやケンカが絶えないことでしょう。
「夢の国」どころか、目も当てられないほどの“恥ずべき国”にならないことを祈るばかりです。
せめて、偽物ではない「オリジナル」の「ぽっちゃりお姫様」セクションを設けてみてはいかが?