ベトナムには美味しい食べ物 がたくさんあります。東南アジア (or 世界) で一番「日本人の口に合う海外の料理」と言っても過言ではありません。それもそのはず。ベトナムは中国・フランス・タイといったグルメな国々の食文化に大きな影響を受けており「良いとこどり」で進化・発展を続けてきたのです。
もちろん、ベトナム独自の食文化もあります。それも、有名なフォー (麺)、生春巻き 、バイン・ミー (ベトナム風サンドイッチ)、チェー (スイーツ)、ベトナムコーヒー だけではないんです。そこで今回は、日本人向けの「ベスト・オブ・ベトナム料理」をいくつか紹介したいと思います。
🔴 フォー (パクチーが入った代表的なベトナム料理)
《続きを読む》 フォー (Pho) とは米粉で作った平たい麺のこと。ハノイなど北部を代表する麺 で、今ではベトナム全土で食べることができます。牛肉や鶏肉などでだしをとったスープに牛肉や鶏肉、つみれなどの具が入っているものが一般的です。もやし・パクチー・ライムなどは別に添えられ、お好みで入れて食べるスタイルのお店が多いようです。もちろん朝昼晩いつ食べても美味しいのですが、ベトナムでは朝食の定番メニューとなっています。
日本のうどんやそば、ラーメンなどに地域差があるように、ベトナムでも地域によってフォーの味は異なります。一般的には、北部の方があっさりとしたスープに野菜少なめ、南部の方が味濃いめのスープにハーブ・もやし・唐辛子などをたっぷりと乗せて食べる傾向にあるようです。地元の屋台スタイルであれば100円以下で食べられますが、衛生面を考えるとレストランで食べた方が安心です。その場合でも500円以下で済むでしょう。ヌクマム (小魚を原料とする魚醤の一種) やトウガラシなどをお好みで入れ、自分好みの味でいただきましょう!
基本的にスープはさっぱりとした味わいなので豚骨やみそラーメンを好む人には物足りないかも知れませんが、レモングラス・コリアンダー・ミントなどのハーブや唐辛子・ライムを入れることでとっても美味しくいただくことができます。
🔴 ブン (現地ではフォーよりも食されている国民食)
《続きを読む》 ブン (Bun) もフォーと同じく米粉麺なのですが、フォーが平麺なのに対してこちらは押し出し麺 (小さな穴を空けた容器にタネを入れて押し出して作る麺) となっています。タレなどを絡ませるだけの手軽な料理なので、ベトナム全土 で常食されています。麺の太さはバリエーションが豊富で、様々な料理にアレンジされています。
ちなみにハノイ名物のブン・チャー (Bun Cha) はブンを甘酸っぱいタレに付けて食べるもので、グリルポーク・つくね・揚げ春巻きなどと一緒に食べるのが一般的です。参考までに、ブンは米粉麺、チャーは豚肉という意味です。この料理は日本の「つけ麺」といったところでしょうか。フォーと同じくお店によって味は異なりますので、いろいろと食べ比べてみてください。
ブン・ボー・フエ (Bun Bo Hue) は古都フエの名物料理で、ピリッと辛いスープが特徴の牛肉麺です (ボーは牛を指します)。野菜とお肉かシーフードが乗せられています。ヌクマム (魚醤) を使い、豚足や牛から出汁をとっているためスープはフォーよりも濃い味わいになっています。空芯菜やコリアンダーなども入っていて、ヘルシーで少し辛い味わいになっています。
🔴 ブン・リュウ・クア (トマトと厚揚げ入りの蟹汁麺)
《続きを読む》 筆者が特にオススメしたいのはカニを使ったブン・リュウ・ クア (Bun Rieu Cua) です。春雨のような細い米粉麺にカニの殻でダシを取ったトマトベースのスープ、そこにカニのペースト&ほぐし身などが加えられています。案外さっぱりしているスープとカニの風味がすごく合っていて病み付きになること間違いなしです。ちなみにCuaはカニ、Rieuは魚介からとったダシに酸味の材料を加えたもののことです。
🔴 バイン・カン・キュア (うどんのような…)
《続きを読む》 フォー (Pho) やブン (Bun) と同じく米粉が主原料なのですが、タピオカの粉なども混ぜられています。そのため、若干日本のうどんのような腰のある仕上がりになっています。
🔴 フーティウ (南部を代表する麺料理)
フー・ティウ・コー 《続きを読む》 フーティウ (Hu Tieu)はホーチミンなど南部を代表する麺料理です。フォー同様米麺が使われていますが、より弾力のある麺となっています。豚骨や味噌ベースなどの甘みのあるスープが特徴なのですが、「フー・ティウ・コー」と注文すればスープなしが出てきます。コー (Kho) は乾いたの意味で、汁なしになります。汁ありもありますが、汁なしはたっぷりの野菜を別添えのスープに漬けて食べます。
🔵 コム・セン (ベトナム宮廷料理の定番)
《続きを読む》 ご飯と蓮の実、さらにいろいろな具材を炒めてチャーハンのようにしたものを蓮の葉に包んで蒸した料理がコム・セン (Com Sen) です。ちょっと綺麗なベトナム料理レストランに行けば確実にあると思います。〆の一杯として食されることが多いようですが、ボリュームがあるので胃袋に余力を残して注文するといいでしょう。数人で一つ頼むのがちょうど良さそうですね。
🔵 フエの宮廷料理
《続きを読む》 豪華絢爛な料理が食べたいのであれば「フエの宮廷料理」はいかがでしょう?ベトナム最後の王朝である阮 (グエン) 朝の都が置かれていた街フエで、伝統の宮廷料理を味わってみましょう。皇帝やその家族のために腕利きの料理人たちが高級食材を使って作り上げた料理の数々を人生で一度くらいはいただいてみてください。ちなみにフエの料理は少し濃い味付けが特徴で、洗練された味わいと美しい盛りつけが魅力となっています。民族音楽 & 伝統儀式のショーを楽しみながら味わえるディナーショーが人気があってオススメです。
🔵 鍋料理 (多種多彩です)
ラオガー (鶏鍋) 《続きを読む》 ベトナムの人々は、暑い時でもよく鍋料理を食べています。メインの具材はお肉であったり川魚 (どじょう・なまず・うなぎなど) であったりいろいろです。繊維のある蓮の葉や空芯菜などの野菜類もたっぷり入っています。もちろんハーブ類 (パクチーやレモングラスなど) で香り付けされています。スープの味付けは「こってり系」「塩っぱい系」「甘酸っぱい系」など様々。また、中国の薬膳鍋やタイのトムヤムクンのようなものまで種類は本当に豊富です。
🔴 バイン・ミー (並んでも食べたい!ベトナム版サンドイッチ)
《続きを読む》 バイン・ミー (Banh Mi , Banh My) は本来「パン」の総称なのですが、今では写真のようなサンドイッチのことをバイン・ミーを呼ぶようになっています。フォーと並ぶ朝食の定番となっており、様々な具材の組み合わせを楽しむことができます。たっぷりの野菜にお好みの肉や卵などを挟むのが基本ですが、オススメはフランスから伝わった「レバーパテ」 (鶏や豚などの肝臓を野菜・調味料・香辛料などと混ぜてペースト状にしたもの) を塗ったものです。
ベトナムは食文化にもフランスの影響を見ることができ、その代表とも言えるのがこのバイン・ミーなのです。屋台などでも気軽に食べられるので、ぜひ本場で味わってみてください。ドレッシングとしてヌクマム (魚醤) を振りかけるのをお忘れなく。ちなみに現地では「Banh My ○○ (挟む具材の名前) と言ってから注文しましょう。指差しが楽ですけどね (笑)。
🔴 バイン・セオ (南部で人気のオムレツ)
《続きを読む》 バイン・セオ (Banh Xeo) はホーチミンなど主にベトナム南部で好んで食べられている料理で、ベトナム風オムレツあるいはクレープといった感じでしょうか。見た目は卵焼きのようですが、外側はココナッツミルクで溶いた米粉にターメリックを加えた薄い生地で作られています。中には豚肉・鶏肉・えび・野菜などが入っています。そして、レタスなどの葉野菜に包んでヌクマム (魚醤)ベースのヌクチャム (甘酸っぱいタレ) に付けて食べます。パリッとした触感と持ちっとした食感と中身の具の相性が抜群です。横には必ずコリアンダーなどのハーブが添えられています。ものすごく庶民的な食べ物ですが、日本人好みの一品であること間違いなし!栄養満点なので是非ターンと召し上がれ!
バイン・セオが主にベトナム南部で食べられているのに対して、ベトナム北部では街中の至るところに「com」という看板が見られます。コムには「米」という意味があります。つまり、この看板を見たら「ご飯の上に野菜や肉などがトッピングされた料理」が売られているということです。ちなみにお米は、北部では短粒種、南部では長粒種が多くなります。
🔴 ボー・コー (ビーフシチュー)
《続きを読む》 ボー・コー (Bo Kho) とは牛肉・玉ねぎ・人参などをじっくりコトコトと煮込んだ「ビーフシチュー」のような食べ物で、お肉はお箸で持つだけで簡単に崩れるくらいになっています。バインミー (パン) を付けながら食べるのが一般的です。フォーを入れて食べるフォー・ボー・コー (Pho Bo Kho) という料理もあります。
🔴 ゴイ・クオン (生春巻き)
《続きを読む》 とっても美味しい揚げ春巻き (チャー・ゾー) や蒸し春巻きもありますが、やっぱり一番は生春巻き (Goi Cuon)でしょう。定番中の定番ですね。観光客をターゲットにしたレストランでは完成された状態で出てくることが多いのですが、地元の人たちは自分でライスペーパーに好みの具を載せ、くるっと巻いて食べます。甘味噌のタレにつけて食べるのが一般的です。
お店や地域によっても味付けは異なるので、様々なタイプの春巻きをあれこれ試してみるのもいいですね。
🔴 空心菜の炒め物
《続きを読む》 空心菜の炒め物 (ラウ・ムン・サオ・トイ) は中華料理じゃないのというかもしれませんね。でも、ベトナムで食べたものがすごく美味しかったのでここに紹介したいと思います。もちろんこの料理は中国から来ているのかもしれませんが、タイやベトナム料理のメニューにもあるのです。シャキシャキッとした歯ごたえのある野菜ですが日本ではあまり見られませんね。シンプルにガーリックとヌクマムで味付けされているのですが、本当に美味しいです。「もう少し野菜がほしいな」という時にオススメの一品です。
🔴 豚と卵の角煮 (ティット・コー・チュン)
《続きを読む》 豚と卵の角煮 (Thit Kho Trung)。日本のものと違い、 (醤油ではなく) ヌクマム (魚醤)で煮込まれています。さらにココナッツやキャラメルで甘ーく煮込まれています。もともとはお正月料理の一品なのだそうですが、今では日常の家庭料理としてレストランや一般家庭で見ることができます。
🔴 チャー・ルア (ベトナム風ハム)
《続きを読む》 チャー・ルア (Cha Lua) はベトナム風のハム (ソーセージ、スパム)です。前菜としてお酒のおつまみに最適です。一般的には豚肉が使用されていますが、その中にはベトナムならではのヌクマム (魚醤) やナンプラーなどが入れてあったりします。現地ではバイン・ミー (ベトナム風サンドイッチ) や麺類の具材として入っていたりするので、知らず知らずのうちに食べている可能性もあります。
🔴 貝料理
《続きを読む》 ベトナムでは、日本ではあまり見ることのない種類の貝を食べることができます。「蒸す」「煮る」「炒める」…調理法はいろいろで、お店によって違う味を楽しむことができます。ただし、あまり清潔そうではない屋台で食べるのは避けましょう。食中毒や腹痛になるといけませんからね。ちなみに上の写真はハマグリとレモングラスを酒蒸ししたものです。
🔴 蟹の揚げ物
《続きを読む》 蟹の揚げ物 (Salt and Pepper Soft Shell Crab) も食べていただきたい料理の一つです。エビを丸揚げしたものもありますが、カニのフライも比較的どこでも食べることができます。ソフトシェルなので、本当に丸ごと食べられるのです。おなじみのヌクマム、マントムというエビを発酵させたタレをつけていただきましょう。ビールによく合いますよ!
🔵 青パパイヤサラダ
《続きを読む》 青パパイヤサラダ (ゴイドゥードゥー) はタイではソムタムと呼ばれています。東南アジアを代表するサラダといっていいでしょう。ちなみに、ベトナムで頂く青パパイヤサラダは辛味があまりなく、サッパリとしているので箸休めになります。一般的にパパイヤ・春雨・パクチー・エビなどが入っています。砕かれたピーナッツがトッピングされており、食感も良好です。
🔵 ゴイ・ガー (チキン・サラダ)
《続きを読む》 ゴイ・ガー (Goi Ga) はとってもシンプルなサラダで、一般的には鶏肉・千切りキャベツ・にんじん・赤玉ねぎなどが入っています。ドレシングは定番のヌクマム (魚醤) を使い、トッピングにピーナツやスライスオニオンを揚げたものを乗せることもあります。唐辛子を使ってピリ辛なソースをかけるところもあります。エビせんべいにこのサラダをのせて食べるのが通のようですよ。
🔴 ベトナムコーヒー
《続きを読む》 ベトナムはコーヒー豆の栽培が非常に盛んな国で、都市部でも農村部でも至る所にカフェがあります。そんなベトナムでのコーヒー (Ca Phe) は、練乳と濃いめに淹れたコーヒーを注いだものが層になっているものが一般的です。新鮮な牛乳が手に入りにくいこともあってか、コンデンスミルクや練乳を使うところが多いようです。ちなみにブラックで注文しても「甘い」傾向にあります。
「コーヒーはちょっと苦手」という方には、練乳を下に沈ませてある紅茶がオススメです。ミルクや砂糖よりもコクがあるのでついつい飲みすぎてしまいますが、くれぐれもカロリーにはご注意ください。
🔴 チェー
《続きを読む》 チェー (Che) はベトナムの伝統的なデザートで、甘く煮た豆・芋・果物・寒天・ゼリー・タピオカ・ココナッツミルクなどがシロップに混ぜられています。お店によって自分好みのトッピングができ、「温かい」「冷たい」のどちらかを選択することができます。ちなみにチェーという言葉は甘い飲み物やプリンなどスイーツ全般を含んでいるようですが、一般的には「ベトナム風ぜんざい」のことを指すようです。
ベトナムは古来より、中国などの影響を受けて発展を遂げてきました。料理も例外ではありません。また、フランスの植民地であったことから「フレンチと中華が融合した」ベトナム料理は世界的にも評判がよく、世界中の人々の口に合うといっていいでしょう。そんなベトナム料理は地方によって味が違うため、移動しながら食べ歩くのがベトナム旅行の醍醐味かもしれません。
有名な料理を楽しむだけでなく、現地の人に尋ねながら隠れた美味しい料理を探すというのも旅の楽しみの1つではないでしょうか。もちろん、ゲテモノ系もあります。詳しくは宿泊施設 (ホテル) などでお尋ねください。