乱立する日本語学校と「偽装難民」留学生

鹿児島市から南に約380km離れた鹿児島県奄美大島に、日本語学校「カケハシインターナショナルスクール奄美校」があります。

ここではベトナム、カンボジア、フィリピンからの留学生30人ほどが真面目に日本語を学んでいます。繁華街「屋仁川通り」には働く留学生の姿が目立つようになりました (もちろん、留学生の法定就労時間「週28時間」の範囲内で)。

 

「勉強?大丈夫。分からない日本語は店の人が教えてくれるよ。」

 

 

島は過疎化が進み、若者の人口は年間200人前後減り続けています。観光客も多い屋仁川通りの飲食店数は県内で鹿児島市の「天文館」に次ぐ規模ですが、多くは人手不足だといいます。

(つまり、島の人々は留学生に助けられているわけです)

 

一方、留学生にとっては東京の日本語学校と比べ学費は5~6割、家賃は3割前後と安さが魅力です。過疎に悩む島と留学生のニーズが一致したとも言えるでしょう。

 

◇  ◇    ◇   ◇   ◇

 

九州ではここ数年、人口減が進む地方で日本語学校の設立が相次ぎ、自治体が誘致するケースもあるようです。

例えば佐賀県は、専門学校を手がけるヒューマンアカデミー(東京)を誘致し、佐賀市に全国初となる産学官連携の日本語学校を開校させました。

あるベトナム人は「奨学金 (成績上位25%に月2万円を支給) があるので助かります。物価も安い佐賀、大好きです。」と話しています。

 

 

 

ただ、留学生と地域の摩擦も…

(悪いイメージなので、具体的な都道府県名は伏せておきますが)

2014年、帰宅途中のネパール人留学生が生卵をぶつけられ、地元の少年3人が逮捕されました。同様の被害を受けた留学生はほかにもいます。

留学生に地域活性を期待する地方。しかし一方で、昔ながらの保守的共同体意識も強いだけに、「異民」を受け入れるハードルもまた高いようです。

 

 

 

自主退学を強要されたネパール人留学生

ネパール人留学生のAさん (27)は、通っていた日本語学校から自主退学を迫られ、ネパール行きの片道航空券を渡されてしまいました。このチケット代はアルバイト代から天引きするとして同意書に署名させられ、キャッシュカードを学校に預けさせられたのです。

「とにかくびっくりして、訳が分からない。いきなりの自主退学はあまりにも厳しい」

 

自主退学の理由は、同じ学校の友人と夜中に酒を飲み、住民からの苦情が警察を通して学校に寄せられたため。

Aさんの知人や別の学校関係者は「Aさんはとても真面目な留学生だった」「自主退学を迫るのはあまりに厳しすぎる」と口を揃えています。

 

Aさんは本当に不運としか言いようがありません。なぜこうも厳しい措置が取られたのか。それは、同校系列の日本語学校で、留学生による器物損壊や強姦致傷などの事件が相次いでいたから。

このため、警察や入国管理局から目を付けられないための見せしめとしてAさんに厳しい措置が取られてしまったようなのです。

 

実は、「学級崩壊」状態の学校も少なくないといいます。机に突っ伏して寝る。スマートフォンで映画観賞する。試験ではカンニングする。これが、現在の増えすぎた日本語学校の日常の風景なのです。

つまり、真面目に勉強するため来日する留学生がいる一方で、留学ビザを取るため学校に籍を置き、就労がメインの「出稼ぎ留学生」が増えているわけなのです。

 

見せしめに退学させられたAさんは基本真面目な学生だったのに、あまりにもかわいそうです。

「日本の大学に進学して、日本の会社に就職したかった。本当に悔しい!」

 

慌てて荷物をまとめたアパートには今も、漢字学習のプリントや日本語能力試験の問題集、パソコンの参考書などの勉強道具のほかに、学費を稼ぐために働いたバイト先の制服が残ったまま…

 

 

100万人超の外国人労働者

日本における外国人労働者数(就労する留学生含む)は、いよいよ100万人を突破するまでに増えてきました。特にベトナム人とネパール人の増え方は異常なほどです。

これは、安倍晋三首相が「いわゆる移民政策は取らない」と明言する一方で、原則週28時間まで就労可能な外国人留学生を2020年までに30万人に増やす計画や、外国人を企業や農家などで受け入れ、技術習得を目的に働いてもらう技能実習制度の拡充を進めてきた結果です。

おかげで、国連が「移民」と定義する「12カ月以上居住する外国人」は増加の一途をたどっています。国籍や文化の異なる民が同じ地域で共に暮らし、働く、新たな「移民時代」を日本は迎えているわけです。

  • 24時間営業のコンビニ
  • 深夜の工場
  • 3K(きつい、汚い、危険)の職場

これらの仕事を嫌う若者たちに代わって、低賃金で汗を流している実習生も少なくないのを知っておいてください。

 

留学生30万人計画も実習制度も、政府の建前は「先進国日本の国際貢献」。でも、その実態は人口減と少子高齢化で人手不足が深刻化する日本社会を支えるためなのです。「発展途上国の安価な労働力で穴埋めしたい」という本音が透けて見えませんか。。。

 

 

日本語学校を無断でやめる留学生も

2014年秋、ネパール人留学生のBさん(29)はフルタイム就労に惹かれ、日本語学校を無断でやめ、新幹線で東京へと向かいました。

3カ月後、たどり着いたのは群馬県。ネパール人元留学生のアパートに転がり込み、半年後、精密部品工場の作業員となったのです。

 

「このまま、できるだけ長く日本で働きたい。」

しかし、Bさんの日本語はたどたどしいままです。このままの延長線上に果たして幸せはあるのでしょうか?

 

 

就労が第一目的の留学生も多し

Cさんはネパールの国立大を卒業し、2014年春、日本にやって来ました。現地の留学仲介業者に初期費用約130万ルピー(約130万円)を払って…

ちなみに、首都カトマンズの公務員の平均月給は約3万ルピーなので、130万ルピーは相当な大金です。半分は借金で工面しました。「日本ではアルバイトで月30万ルピーは稼げる」という業者の言葉を信じて…

 

「本当はアメリカに行きたかった。でも、日本の方が手続きが簡単だった。」

「来日の目的は勉強よりも就労です。いわゆる出稼ぎ留学ってやつです。」

 

Cさんは上京するとすぐに、入国管理局で難民申請の手続きを取りました。「政治対立に巻き込まれる」と書いて…

 

 

急増する日本での難民申請

日本での難民申請は2010年を境に急増し、2015年は過去最高の69カ国7,586人。最多の1,768人を占めたのがネパール人なのです。ただし、実際に認定されたのは11カ国27人。ネパール人は立ったの2人にすぎないのです。

認定されれば、半年後からフルタイムで働ける「特定活動ビザ」に変更できます。この「特権」こそが、こぼれ落ちた留学生を引き寄せるのです。

 

 

難民申請やビザ切り替えの手続きを請け負う日本の行政書士は「申請はほぼ偽装。彼らにとって特定活動は『就活ビザ』感覚だ」と明かしています。

 

 

終わりに

工場の多い北関東では、アジア系難民申請者は日本人労働者が避ける「3K職場」の貴重な戦力となっています。

 

・移民政策の議論を避ける日本政府

・難民制度の隙間を利用し「偽装難民」としてしたたかに生きる元留学生

・彼らで労働力不足を穴埋めする企業

 

3者の関係は、日本社会のひずみを映し出しています。今後どうなっていくのでしょうか?

 

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