男尊女卑社会「イラン」の刑務所になぜか溢れる「離婚男性」



中東のイランは「男尊女卑」「一夫多妻制」が根強く残る保守的な国です。例えば、男性は最大4人の女性と結婚することができますし、女性は原則として夫の許可なく離婚できません。夫側は一方的に離婚を宣言できるというのに。

なんて理不尽な…

 

ところが、
どういうわけか「イランの刑務所」には今、離婚した男たちがいっぱいいるというではありませんか!

なぜ…?

 
 

イランの結納と慰謝料

中東各地のバザール(市場)には必ず貴金属店があり、いつも女性たちで賑わっています。イランの首都テヘランのバザールでもそうです。

豪華なネックレスを品定めしていたAさん(20代女性)は、「もう結婚指輪は買ってもらったけど、メフリエを抑えた分もっとおねだりしようかと思って…」とニコニコ顔です (新郎と仲良くお手手を繋いで)。

ちなみにメフリエとは、日本でいう結納金のこと。イスラム教の聖典コーランにその根拠があり、イスラム社会に広くみられる習慣です。妻に渡すものは現金、物品、不動産など様々です。

ただ、イランでは婚前には払わないのが通例となっており、「離婚したら夫が妻に金貨○枚を払います」といった形で契約するそうです。つまり、イランでは結納 = 慰謝料でしょうか。

 

 

では、慰謝料の枚数はどれくらいなの?
10年ほど前の「相場」は金貨300枚だったそうです。これは、平均月給4万円のイランでは大変な額になります。ただその後、「生まれ年の数」を設定することが流行し、どえらいことになりました。

 

イランでは西暦ではなくイラン暦が使われており、例えば西暦2016年はイラン暦で1394年です。つまり、離婚したら金貨を1300枚以上支払わなければならないことに!

 

金貨一枚を3万円とすると、4,000万円以上!

月給4万円で計算すると83年分!

もはや、生涯賃金をはるかに超えてしまいます。。。

 

ただ、婚約の際に「どうせ離婚なんかしないんだから高額に設定しましょ」と言われたら、男性は断れませんよね?それに、「第一夫人のメフリエは金貨1300枚なのに私は500枚なんて、まるで私の価値が低いみたいで嫌だわ!」なんてことにも…

結果、イランでは離婚時にメフリエを支払えない男性が急増したのです。

 

 

メフリエを支払えない男性は刑務所に収監される!

コーランの教えに背く行為に、イランは甘くありません!メフリエを支払えなければ刑務所に収監されてしまうのです!

結果、イランの刑務所は離婚した男性で溢れ、他の犯罪者を入れるスペースがないという社会現象まで巻き起こりました。当然、メフリエ目当てに離婚を繰り返す結婚詐欺師のような女性まで出現…

ひどい話です

 

ただ、安心してください!

2013年の法改正で、メフリエとして請求できる金貨の上限が110枚までとなりました。さらに、少なくとも1カ月に1枚の金貨を払い続ければ収監されることはなくなったのです。

 

 

高額メフリエの背景に男女格差問題あり

イランでは極端に女性の就職率が低く、ましてや、離婚後の再就職はかなり厳しいのです。そんなわけで、高額のメフリエには夫からの一方的な離婚を防ぐ効果と、乏しい社会保障を自前で補う側面があるのです。

そもそも、イランの法律は女性が工場勤務や建設作業場で働くこと(肉体労働) を禁じています。そうでなくても就職は能力よりコネで決まるイランでは、女性が自立してやっていきにくい社会なのです。

イランには「女性は家庭を守ることが仕事だ」とする考えがあり、これには法律による裏付けもあります。イランの女性は、夫が認めなければ仕事をすることができません。夫の許可なく旅行することすらできないのです。

そんなわけで、何かと制約の多いイラン人女性にとってメフリエは死活問題なのです。

 

 

逞しく生きるイラン人女性

2015年秋、サッカー女子イラン代表の主将ニルファレ・アルダラン選手は、マレーシアで開催された国際試合に出場できなくなりました。

理由は、「7歳の息子の入学式があるから」として夫が渡航を禁じたからです。

このような法や習慣から、イランでは離婚を不名誉とする傾向が強く、離婚した女性は実家に帰ることもままなりません

 

また、結婚できる最低年齢は男性15歳に対し女性は9歳。教育の機会喪失や人身売買問題が指摘されています。そんな逆境の中で、イラン人女性は逞しく生きています!

近年、メフリエの金貨枚数にこだわらない女性が少しずつ増えてきているそうです。その代わり、結婚後も仕事を続けることや、子どもの教育や親の介護などで妻が不利にならないよう、事前にしっかりと取り決めを行なっているのです。

法律で認められていない権利を契約として…

 

 

終わりに

2016年に行われた国会議員選挙(定数290)では、女性議員の数が従来の9人から17人へと倍増しました。いくらかは、男女格差が改善されつつあるようです。

ちなみに、冒頭に書いた「一夫多妻制」は都市部ではほとんど存在していないようです。元々は戦争などで夫を亡くした女性やその子どもを余裕のある男性が救うための制度だった「一夫多妻制」。時代とともに風化しつつあるのが実情のようです。

 

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