チェンマイ (タイ) は首都バンコクから北へ約750kmに位置しており、かつてはラーンナータイ王朝の首都でした。「北方のバラ」とも呼ばれている街です。
そんなチェンマイは近年、「アジアで安く過ごせる都市」として有名になったこともあってか、日本からの移住者が増えてきています。「都市疲れ」を感じている人たちにも癒しを与えているようです。
今回は、そんなチェンマイの医療事情を考えてみたいと思います。
日本とは違うタイの医療保険
タイの医療保険・医療制度について調べてみると、あまりにも日本と違うのでびっくりする方もいらっしゃることでしょう。
タイ人の医療保険は基本、
① 民間企業の従業員に対する社会保障の一環としての医療保険制度
② 公務員に対する医療保険
がありますが、それ以外の農民・自営業者などに対してはありません。しかもこれらの保険のほとんどが本人だけにしか有効ではないのです (家族は対象外)。
なので、お金のある人は自分で民間の医療保険に加入するのが一般的なのです。
つまり、(日本みたいに) 国民皆保険というシステムになっていないので、「健康保険」は限られた人のもの…ということになります。
でも少しだけご安心を ↓
30バーツ医療の導入
2001年、当時タイの首相だったタクシンさんはこの状況を改善すべく「30バーツ医療」と呼ばれる国民医療保障制度を導入しました。ただしこれには、「指定された地域の病院へ行って何時間も待たなければならない」「しかも見立ては簡単」…という欠点があります。
ご存知の通りタイは所得格差の大きな国の一つです。富裕層の人たちは民間の医療保険に入って私立の高級病院へ行くのが常ですが、それ以外の人たちはそういうわけにはいきません。満足できないまでも、上述した国民医療保障制度にすがるしかないのです。
さらに「65歳以上の人は保険に入れない」「歯医者には保険が適応されない」といった不便さもありますが、こうした点は今後改善されていくことでしょう。
なので現状は、日本の保険 & 海外旅行保険などを上手に使いこなして対応していくしかありません。ただし、タイの薬は処方箋なしでも安いので、それはメリットと言えるでしょう。
医療にあまりお金をかけない国タイ
日本の医療費負担の内訳は、本人が45% (保険料負担)、国・地方が33%、事業主が22%を負担する形となっています (近年は、国の負担軽減のため本人負担が上がってきています)。
一方、タイにおける医療費は、4分の3が公的負担で、プライベイトな負担(個人・企業)は4分の1にすぎない…というデータがあります。つまり、個人は医療費にあまりお金を使わない (使えない)傾向にあるようです。
個人レベルでみると、日本が医療費にお金をかけすぎなのか、タイがかけなさすぎなのかはわかりませんが、両国の間には大きな開きがあるようです。
まあこの背景には、日本では「高齢者がよく病院へ行く」「チューブを挿入し延命をはかる」のに対して、タイでは「病院に行くより (安い) 薬を買って治す」「無駄な延命処置はしない」といった違いが挙げられます。
チェンマイで日本語対応している病院
以上述べてきたように、タイでは (他の海外でもそうですが) 日本にいるとき以上に自己責任で健康管理をしていかなくてはなりません。ご自身で、医療保険に加入しておきましょうね。
その上で、いざという時にお世話になるであろう「チェンマイで日本語対応している病院」をいくつか紹介しておきましょう。
◉ チェンマイ・ラム病院
チェンマイ旧市街を囲んでいるお堀の北西の角に位置しています。旧市街・ニマンヘミンエリア・チェンマイ空港辺りにいて病院が必要となった場合には、ここが第一選択肢となるでしょう。
ラム病院はチェンマイ市内の中でもかなり大きな病院の一つで、ICUやCCUなどの最新医療設備も完備されています。
日本語対応時間:月〜日 8:00〜17:00
クレジットカード・海外旅行保険などに対応:可
受信可能な科:内科・外科・眼科・歯科・小児科・耳鼻咽喉科・皮膚科・産婦人科など
他にもチェンマイには、「ランナー病院」「バンコク病院」といった日本語に対応していて安心して受診できる病院がいくつもあります。
ちなみにナイトバザール近くにいて病院に行きたくなったら「ラジャヴェー・チェンマイ病院」が一番近いです。
おわりに
チェンマイ (タイ) に移住もしくはロングステイするにあたっての一番大きな不安は「医療」問題です。万が一病気になったら、あるいは怪我をしたら、、、
「現地の医療レベルはどうなの?」「言葉が十分できなくても適切な治療を受けられるの?」「費用はどのくらいかかるの?」…などなど、考え出したらきりがありません。
医療レベルは日本の病院に引けを取らず、また主要な私立病院には日本語通訳 (あるいは日本の医師) がいるのでそれほど心配する必要はありません。バンコク同様、チェンマイの医療事情も確実に進歩してきています。
歯科医の技術・設備も日本と変わらず、費用はむしろ安いくらいです。一番重要なことは、ご自身で適切な医療保険に加入しておくことくらい。1〜3ヶ月程度の短期ステイであれば海外旅行保険に加入しておけばよいでしょう。
日本で国民健康保険に加入している人は、病院で必要書類を揃えれば帰国時に治療費の還付が受けられます。ただし、還付が受けられるのは日本の保険が適用になる治療や医薬品のみ。さらに、現地でいったん全額を負担する必要があります。
現地の保険は日進月歩。加入する際には、詳しい方に相談しつつ、複数の保険を比較・検討してみましょう。