日本人にとって「世界一入国が厳しい国」と言われているサウジアラビアには近い将来、観光ビザが発給されることで旅行者が殺到することでしょう (現状は仕事もしくはメッカへの巡礼といった特別な理由がない限り、出入りが難しい)。
そんなサウジアラビアは、アラビア諸国の中でもイスラム教の戒律が厳しく「宗教が法律」となっています。そんなこともあってこれまでは、イスラム教徒以外の観光目的での入国が難しかったのです (とはいえ、サッカー観戦ツアーなどに参加して行ったことがある方もいることでしょう)。
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サウジアラビアは建国 (1932年) 以来何十年もの間、観光客に門戸を閉ざしてきた国の一つです。とはいえ、外国人を全く受け入れていないということではありません。総人口の3分の1以上は石油関連企業で働くアメリカ人やフィリピン人看護師、レバノン人コンサルタント、パキスタン人建設労働者などの外国人。さらに、イスラム教の聖地「メッカ」には毎年巡礼者が多く訪れています。
それでも実にもったいない!数千年の歴史を誇り、多様性に富んだ地域が多いにも関わらず、観光ビザが大々的に発給されていないばかりに「時代遅れの宗教性と砂漠ばかりの退屈な国」というイメージが持たれているのです。
サウジアラビアの正式名称は「サウジアラビア王国」です。中東から西アジアに位置する国で首都はリヤド。サウード家から国王を出す絶対君主制がひかれており、宗教面ではイスラム教の聖地と言われるメッカがあります。石油埋蔵量の豊富さが知られており、日本にも多くの石油を輸出しています。
◉ 公用語 : アラビア語
外国人が多く集まるホテルやレストランでは英語が通じます
◉ 人口 : 約3400万人
イスラム教の始祖ムハンマドの生誕地であるサウジアラビアには、「メッカ」「メディナ」というイスラム2大聖地があります。国法と位置づけられている「コーラン」(イスラム教の聖典) および「ハディース」 (預言者の言行録) では、アルコール、男女の混同、賭け事などが禁止されています。
女性が外出する際にはアバヤ (黒いマント) を着用しなければならず、これは外国人にも適用されます。街では風紀取締官が目を光らせており、捕まると簡単には解放してもらえません。それでも、決まり事を守ってさえいれば物質的に豊かなこの国での生活は案外快適なものと言えるでしょう。
◉ 通貨 : サウディ・リヤル
◉ ビザ : 現地の旅行会社と契約している日本の旅行会社主催のパッケージツアーへの参加が必要。
サウジアラビアは中東最大の国で、中東諸国の中では比較的治安が良好。サウード王家自体の歴史は浅く1744年が始まりなのですが、サウジアラビア地域には長ーい歴史が存在しています。
◉ 首都リヤドのベストシーズン:10〜4月
年間を通してほとんど降雨のないリヤド旅行のベストシーズンは、気温が低く快適な冬季 (11~3月) と言えるでしょう。夏場は極度に暑く50℃に達する日もあるので注意が必要です。
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サウジアラビア各地では、2015年以降イスラム過激派組織によるモスクや政府機関への自爆テロ・銃撃テロ事件が発生しています。また、サウジアラビア東部州の一部などでは抗議デモなども行われています。渡航の際には外務省の海外安全情報を確認の上、テロなどに巻き込まれないよう注意してください。
特に、ラマダン (断食月) やイスラム教の宗教行事がある時に事件が起きやすいので、この時期に渡航される方は人が多く集まる場所にはなるべく近づかないようにしましょう。夜間の外出も控えましょう。
🔴 服装に気をつけよう
サウジアラビアは厳しいイスラム教の戒律を守っている国です。観光や仕事で訪れる際には服装に気をつけてください。入国の際には肌を見せないような服装をしていないと入国を拒否されることがあります。サウジアラビアの女性たちはアバヤ (黒衣) を着用しています。旅行者も、空港の外へ出る時にはアバヤの着用が必要なので到着前に用意しておくといいでしょう。また、市内では男性も長袖・長ズボンの着用が必要です。
🔴 写真は極力撮らない
写真を撮ると、秘密警察の取り締まりの対象になることがあります。特にモスクなどの宗教施設や政府関連の建物、人物などには注意が必要です。民族服のアバヤを着た女性には間違ってもカメラを向けないこと。
🔴 車の運転はしない
2018年、ついにサウジアラビアで女性の運転が解禁されました。とはいえ、サウジアラビア人の運転は信号無視・違法なUターン・急停止など乱暴です。交通事故の多発が社会問題となっている状態なので、観光や仕事で訪れた際には自分で運転しないようにしましょう。タクシーはメーターがないことが多く、トラブルを避けるためにも事前に交渉が必要です。
🔴 一人歩きしない
サウジアラビアでは、「ペットを使って女性を誘惑し家族の心を乱すことが一部の男性の間で流行しているため」犬の散歩が禁止されているそうです (国王が決めた独特の法律)。それはさておき、大きなショッピングセンターなどでは問題ありませんが、それ以外は極力一人で歩くことを避けてください (治安上の問題です)。加えて、基本的には
男女が一緒に食事をすることはできませんので (家族は別)、レストランやファーストフード店などでは事前に確認しておきましょう。
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日本のパスポートはとても強く、入国できる国の数は世界一とも言われています。それでも、長らくサウジアラビアへの入国は基本的に認められていませんでした。このため、サウジアラビアは『世界で最も旅行しづらい国のひとつ』と言われてきました。
サウジアラビアに入国するには、① 商用ビザを取って仕事で行くか、② イスラム教徒になって巡礼ビザで行くか、③ 日本代表のサッカー観戦のため特別に観光ビザを発給してもらうかの3択でした。しかし近年、サウジアラビア政府は観光振興策としてビザの発給を緩和することにしたのです。観光に力に入れ始めたのは、石油の枯渇が影響しています。
世界有数の石油産油国なので現在は問題ありませんが、いずれ石油が枯渇したら・・・そんなリスクを避けるために、産業のメインを観光業にしよう!と考えているようです。現在、サウジへのグループツアーに参加することは可能です。しかしながら、女性が一人で参加する場合年齢制限があります。30歳以上でないとダメなのです。30歳未満の女性が旅行する際には、必ず男性の家族を同伴しなければなりません。
ちなみに、サウジのスポーツ協会が主催するスポーツイベント (サッカーの試合など) に参加する人にはe-VISAが発行されます。ただし、反イスラム的なものはお断り!荷物検査 (豚・アルコール・ポルノ・敵対国に関係のあるものなど) には十分気をつけましょう。
とりあえず「アッサラーム・アレイコム」と挨拶しておけば大丈夫!
ビザ発給の規制緩和によって、男性だけでなく女性にも身近な旅行先となったサウジアラビアには4つの世界遺産を含む様々な観光地があります。それは伝統・歴史・文化に触れられる場所から最先端スポットまで多種多様。
今まであまり解放されていなかったサウジアラビアですが、これからは旅行しやすい観光地の1つになるかもしれません。治安状態も次第に落ち着いてきている今、現地の情報を把握した上で中東の素敵な旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。低迷するサウジアラビア経済を回復させるためにも、今後はより緩い条件で観光ビザが発給されることになるでしょう (数年以内に)。