フィリピンへの移住・長期滞在を考えている方にとって、お金の管理は大事な関心ごとの1つです。
そこで今回は、
◉ フィリピンで銀行口座を開設するメリット
◉ 口座開設に必要なもの
◉ 日本語対応可能なフィリピンの銀行
◉ 注意点
などをまとめてみました。
ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
フィリピンで銀行口座を開設するメリット
① ATMで現地通貨を引き出せる
これは当たり前のことですね。現地での日常生活を滞りなく行っていくためには必要不可欠です。
② 特別居住退職者ビザ (SRRV) を取得できる
フィリピンは35歳以上の外国人を対象としたSRRV (永住ビザ) を発行しています (無期限滞在の特権付き)。このビザを取得する条件の1つとして、フィリピンの指定銀行で米ドル定期預金口座を開設する必要があります (金額は約200〜500万円)。
年齢に応じた定期預金が必要ですが、ビザ取得後はコンドミニアム購入などの投資資金として使用することもできます。
③ 資産運用できる
コンドミニアムなどの不動産をフィリピンで所有している場合、それらの賃料受け取り口座として活用することができます。また、フィリピンの銀行では日本の金融機関が取り扱っていないお得な金融商品で大金を運用することも可能です。
④ 金利 (利子) が高い
お金 (財産) を日本の銀行に預けていても目減りしていくだけですが、フィリピンを含む新興国の銀行に預けておけば、多少なりとも資産を増やしていくことができます (特に定期預金は高金利です)。
口座開設に必要なもの
銀行によって多少異なりますが、基本的には以下のものが必要です。
【 個人口座開設 】 (居住者向け)
◉ パスポート
◉ 初回預金用の現金として2,000〜10,000フィリピン・ペソ (4,000〜20,000円程度)
◉ 米ドルあるいは日本円口座開設の場合は50,000円ほどが必要
銀行によっては、フィリピンの「公共料金明細書」や「運転免許証」の提示を求めてくる場合もあります。フィリピンの銀行で口座を開設するには、本人がフィリピンに滞在している必要があるためです。
日本語対応可能なフィリピンの銀行
年々事情は変わってきますので、開設前に要確認ではありますが、筆者の知る限り、以下の銀行には日本語サービスが付随しています。
◉ BDO (バンコ・デ・オロ)
フィリピン最大手の商業銀行で、国内支店1,128、海外拠点26、ATM設置数3,600という規模を誇ります (本店はマカティ)。海外送金専門として日本にも早くから進出しており、フィリピン金融機関の中で最大のジャパンデスクを設けています。
◉ PNB (フィリピン・ナショナル・バンク)
戦後フィリピンが独立するまでは中央銀行業務を兼業してきた歴史があります。フィリピン最大手のコマーシャルバンクとなった今でも国庫銀行の役割を担うほか、ユニバーサルバンクとして預金や貸金、外為など幅広い業務を行っています (国内拠点656、海外拠点は77)。
◉ Metrobank (メトロバンク)
Metrobank はフィリピン最大級のユニバーサル銀行で、国内953支店、2,300以上の ATMを誇っています。フィリピン国外では日本をはじめ、台湾、 中国、香港、韓国、シンガポール、アメリカ、カナダ、英国などに支店または現地法人を展開しています。
注意点
フィリピンで銀行口座を保有していくために、注意事項がいくつかあります。
① 取引支店の決定は慎重に!
自宅や仕事場の近くなど、訪れやすい支店での口座開設を!なぜなら、自分の口座のある支店以外から手続きを行うと手数料がかかってしまうからです。
② 口座凍結に気をつけて!
口座の預金額がゼロになると口座は自動的に閉鎖されます。また、口座は普通預金の場合で2年間の取引がない場合「凍結口座」となります (解除手続きは開設した支店で行わなければなりません)。
フィリピンのオウン銀行
例えば、オウン銀行の定期預金は8.5%~の高金利に加え、外国人にも預金保護制度 (ペイオフ) が適用されています。となれば、資産運用の分散先の一つとして検討に値するのではないでしょうか (ドル建て定期預金)。
フィリピンでは、基本的に外国人の預金に対して政府がペイオフを保証しているため、日本人が口座開設する際にも安心です (将来的にどうなるかはわかりませんが現時点では大丈夫)。
というわけで、一例としてオウン銀行の定期預金金利を見てみると、1年満期 (ドル建て) で8~9%超、5年満期で10~11%超です。フィリピンのペソ建てであれば1年満期で10~11%超、5年満期で最大14%となっており、大変お得な預金金利となっています。
もちろん、こうした金利高の背景にはリスクもあるわけですが、それでも、フィリピンの今後の高い経済成長への期待やペイオフ制度を考慮すると、お得な資産運用手段の一つと言えるのかもしれません (リスクマネジメントはご自身の責任で行なってくださいね)。
税金に関して
日本では、普通預金にしても定期預金にしても利息に対しての税金は約20%(国税15%+地方税5%)かかってきます。海外でも基本的には同じで、利息に対しての税金がかかってきます。
その税金を納める国はもちろん日本です。私たち日本人が日本に居住している限り、どこの国で所得が生じたとしても、必ず日本に税金を納めることになります。
この場合、一律20%ではなく課税額の大小によって変わってきます。195万円までの所得なら税率15%(所得税5%+住民税10%)。
最高で55%(所得税45%+住民税10%)の税率が適用される場合がありますが、所得が330万円までは税率20%(所得税10%+住民税10%)までとなりますので、日本よりはお得ですし、利子所得がそれ以上になった場合でも、利息が大きい分手元に残るお金は大きくなります。
これに加えて、復興特別所得税なども若干かかってきますので、きっちり出す場合は税理士さんに要相談です。
フィリピンでは現在、外国資本の受け入れが歓迎されており、外貨預入に対しても優遇措置が取られています。例えば、フィリピンの銀行で自国通貨ペソで定期預金した場合、利子所得に対して25%の税金がかかります (5年定期の場合は無税)。これに対してドル建てで定期預金した場合は外貨優遇措置が取られ、フィリピン国内では非課税となっています。
定期預金が満期を迎えたら
満期を迎えたら、基本的には普通預金の口座に元本と利息が移されることになります。もちろん、日本や海外の銀行に振込みすることも可能です。また、チャージ式のVISAデビットカードを作成しておくことで、こちらに普通預金からチャージすることも可能です。
カードにチャージした分は、世界中でVISAカードとして買い物ができ、日本のコンビニのATMでもドルをその時の為替レートで円換算して出金することができます。
おわりに
海外には高金利な銀行がたくさんありますが、中でも、日本人が安心して口座開設できる銀行は、ペイオフが適用されるフィリピンの銀行ではないでしょうか。
もちろん、多少のリスクを容認して高金利を狙うため他国の銀行に預けてもいいのですが、これからの国の経済発展と将来性を考えるならフィリピンのBDO銀行やメトロ銀行などに口座を開設するのもアリだと思います。
高金利なオウン銀行を狙う…という手もあります。