「私は書きたい!実現しない私の夢を!世界が耳を傾けない私の言葉を!」(アフガニスタン20代女性の言葉)
日本に住んでいると理解出来ないことですが、世界にはペンで自分を表現すると「命が危ない」国があります。
アフガニスタンもそんな国の一つ。イスラム原理主義のタリバン政権は崩壊したものの、性差別は厳然と残り、女性の教育や自己表現は暴力の的となるのです。
国連は「アフガニスタンは女性に対する環境が世界最悪だ」と指摘しています。
ネットを使って
この状況下、女性たちの詩やエッセイをネットで発表する活動が密かに広がってきています。
「自分を語ることは人としての権利」
命の危険もあるため、作者は特定されないようにしていますが、彼女たちの作品は国境を越えて読まれ始めています。
Fさん20歳
「私はこれまで、流血や女性への暴力を嫌というほど見てきました。生きている間に平和は訪れないでしょう。」
「でも、文章で表現出来ることを知って私たちは変わりました。」
「自分を深く知り、喜びや悲しみを分かち合える。」
Fさんは、男性による集団リンチで殺された女性の事件をエッセイで取り上げ、「暴力阻止」のため声をあげようと訴えています。
「国は救えない。でも、一人の女性を救えれば…」
Nさん18歳
幼少期、どうしても自転車に乗りたかったNさん。しかし、 「女が自転車に乗るなんて駄目だ!」という社会…
「でも、成長したら絶対に乗れない。」
「だって、大人になったら (顔や全身を) ブルカで覆わないといけないし、乗れば脅迫される。最悪殺されてしまう…」
「今しかない!」
そう考えたNさんは10歳のとき、父の目を盗んで庭で練習しました。
そして…
「私はとても速かった」
「非難する人もいて傷ついたけれど、夢を叶えた時のことは今も忘れてはいません」
Sさん21歳
「小学生の時、女子教育に反対する男たちが校舎を爆破しました。私は泣いて逃げ回り、靴を片方無くしたのです。」
父を含め男たちは「女に学校は必要ないっ!」と言います。
「でも、男たちが作った理不尽な社会のルールを歩んでいきたくない!」
「人として当然の、自由と権利がほしいんです。」
今はあなた方の支配下にいるけれど、私の心は服従していない。いつか社会を変えてやるんだ。そう、Sさんは考えています。
Yさん18歳
Yさんは物乞いする女性に「あなたの人生を教えてください」と問いかけます。
そうして、物乞いたちの心を僅かばかりか癒し、暗い歴史の事実を学び、筆をとります。
例えば、脅迫を乗り越え大統領選で初めて投票した女性たちの喜びを英語で書きます。
知れたら命を狙われます。でもペンさえあれば大丈夫!
「自由で恐怖がない。自分でいられる場所は遠いけど、いずれ辿り着いてみせる。」
Jさん19歳
「私の母は16歳で結婚しました。それは義務でした。」
ある日、そんな母が「人生を自分で開きなさい。私は出来なかったから。」と言ってくれたのです。
今、Jさんの詩はネット上で外国の人に読まれ、「感動した」「良かったよ」といった感想を受け喜びを得ています。
「おかげで、生きていく困難を乗り越えられているような気がします。」
Jさんの夢は産科医になること。「私たちは苦しむために生まれてきたの?」と絶望的な気持ちにもなりますが、いつも大きなノートを持ち歩き、これまで大好きな歴史や地理の本を5冊出版してきました。
おわりに
自爆テロで死ぬ子供たち…
硫酸をかけられる女性たち…
「無実の人を殺すことは世界を殺害すること、人の救済は世界を救うこと」とイスラム聖職者は教えているのに…
今も、アフガニスタンに暮らす女性たちは家から外出する時に「今日も無事生きて帰れるかしら?」と思うそうです。
Kさんはこう言っています。「私が死んでも言葉は生き続けるでしょ。たとえ今の社会を変えられなくても、次世代に言葉を伝えたいの。」
諦めないで!
弱い立場にある彼女たちが難民にならず幸せに暮らせますように。