日本を含むほとんどの先進国がODA (政府開発援助) で開発途上国 (発展途上国)を支援しています。諸外国から「先進国」と認められる条件の一つがODAの供与と言っても過言ではありません。
ちなみに、日本より後に経済成長を遂げてきた韓国などもODAを行っていますし、タイやマレーシアのような新興国でも「より貧しい国」を助けています。近年は、中国のアフリカ支援がその「規模」や「手法」の面で注目を集めています。
開発が遅れている国々 (開発途上国) に対して行っている協力を「開発協力」といいます。開発途上国の社会・経済の開発を支援するため、「政府」をはじめ「国際機関」「NGO」「民間企業」など様々な組織や団体が経済協力を行っています。
これらの経済協力のうち、政府が開発途上国に行う資金や技術の協力をODA (Official Development Assistance) といいます。このオーディーエーの仕組みは大きく分けて2つ。
1つは、国連などの国際機関を通じて世界の国々と一緒に開発協力を行う多国間協力。もう1つは、日本が相手国に直接支援を行う二国間援助です。
《続きを読む》日本の場合、多国間協力は「国際連合世界食糧計画」 (WFP) 、「国際連合開発計画」 (UNDP) 、「国際連合児童基金」 (UNICEF) 、「世界銀行」 (IBRD) 、「アジア開発銀行」 (ADB) などの国際機関に資金を拠出する形で行っています。
先進国ではGDP比0.7%を寄付しようという共通の目標を定めたこともありましたが(日本だと500兆円 × 0.7% = 3兆5000億円)、実際には0.1%程度しか寄付できていなかったりします。
《続きを読む》二国間援助にはいろいろなやり方があります。
(1)お金を貸す (有償資金協力)
円借款 (えんしゃっかん) といいます。発電所の建設や下水道の整備といったお金のかかる事業に対して、低利子でお金を貸します。貸したお金は長い時間をかけて少しずつ返してもらいます。返さなければならないお金なので、開発途上国が自立していくことにも役立ちます。
(2)お金を与える (無償資金協力)
無償資金協力といいます。開発途上国に対して、学校や病院を建てたりする時にお金を出して支援します。
(3)技術を教える
技術協力といいます。開発途上国では人々の知識や技術が十分でないために、「産業」「農業」「教育」などが遅れている場合があります。そこで、日本の技術を教えてその国の自立と発展を助けます。
つまり、「有償資金協力」「無償資金協力」「ボランティア派遣」「国際緊急援助」「民間連携」「科学技術協力」「市民参加型」など多岐にわたるのです。
ちなみに、日本の二国間政府開発援助の供与相手国上位10カ国は以下の通りです ↓
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1: インド
2: ベトナム
3: イラク
4: バングラディシュ
5: ミャンマー
6: タイ
7: インドネシア
8: ウクライナ
9: フィリピン
10: アフガニスタン
他にもスリランカやカンボジアなどがあり、この順位は毎年変動していることもお忘れなく。
ちなみに、2011年に世界で最も支援を受けた国は日本です。東日本大震災では発展途上国 (イラクやアフガニスタンなども含めて) から、様々な支援の手が差し伸べられました。
日本は開発途上国の状態や発展状況に合わせて必要なものを考え、様々な方法を用いて支援を行っています。その支援に関しては「質」「量」共に大事になってきますが、ここではその「量」の部分をみてみましょう。
《続きを読む》1991〜2000年の10年間をみてみると、日本の援助総額は世界第1位でした。現在 (2019年時点) の順位は以下のようになっています。ちなみにこれまで日本がODAで支援をしてきた国や地域は190の国と地域です (この国々の中には、日本がその国にとって最大の援助国となっている国がたくさんあります)。
1: アメリカ (約350億USドル)
2: ドイツ (約250億USドル)
3: イギリス (約180億USドル)
4: EU
5: 日本 (約110億USドル)
6: フランス
7: トルコ
8: イタリア
9: スウェーデン
10: オランダ (約50億USドル)
11: カナダ
12: ノルウェー
13: アラブ首長国連邦 (UAE)
14: スイス
15: オーストラリア (約30億USドル)
16: スペイン
17: デンマーク
18: 韓国 (約22億USドル)
19: ベルギー
20: オーストリア
21: ロシア
22: フィンランド (約10億USドル)
23: サウジアラビア
24: アイルランド
25: ポーランド
26: クウェート
27: ニュージーランド (約4億USドル)
28: ルクセンブルク
29: ポルトガル
30: 台湾 (約3億USドル)
ただし、国民1人あたりの負担額をみてみると、日本はけっして高い方ではありません (年間約9000円ほど)。トップクラスの負担を誇るノルウェーやルクセンブルクのわずか10分の1ほどなのです。
それでも日本は、海外で「地震」「洪水」「津波」などの自然災害が発生した時には出来るだけ早く支援の手を差し伸べています。国際緊急援助隊としてレスキューチームを送り、現地に野外病院を建て、手当をするために医師・看護師のチームを直ちに派遣しています。
《続きを読む》また、災害で家をなくした人たちはしばらく避難所で生活しなければならないので、テント・毛布・浄水器・食べ物・薬など避難生活に必要なものを送っています。仮設住宅を建てるためのお金を送ることもあります。
日本は、ただ災害発生前の状態に戻すのではなく、より災害に強い状態に復興することを目指す「Build Back Better」という考えを重視しています。さらには、日本が持つ「経験」「知識」「技術」を外国に惜しみなく伝えています。
ODAで開発途上国と接触することで、「日本企業にインフラや機械の需要ができる」「経済活動がしやすくなる」「現地が豊かになれば投資・輸出の拡大が期待できる」「石油などを安定的に確保できる」「恩を売れる」「中国への対抗措置」など、理由はたくさんあります。
《続きを読む》つまり、長い目で見れば日本のプラスにもなるからです。「先行投資」「ビジネスチャンスの創出」といった側面もあるんですね。日本は資源の90%を他国に依存しています。現在の生活水準を維持するためにも、途上国との良好な関係は大事なのです。
もちろん、「経済大国」として途上国へ一定規模の支援を行うことは「国際的な義務」でもあります。教育機会のない子供たちは「貧困」という負のスパイラルに巻き込まれ、「犯罪」や「ドラッグ」といった悪に染まっていくのです。
世界レベルで支援を必要としている国々は以下の通り。「紛争」「貧困」「テロ」「難民」…理由は様々です。
《続きを読む》
1: シリア
2: エチオピア
3: アフガニスタン
4: バングラデシュ
5: ナイジェリア
6: イエメン
7: トルコ
8: インド
9: ヨルダン
10: イラク
例えば「日本再共済連」では、自然環境の再生をテーマとする社会貢献活動を行ってきています。国内では「富士山の森づくり」を、海外では「フィリピン・ルソン島・ヌエバビスカヤにおける森林の再生や緑化維持、地域の子どもたちを中心に行う環境教育の向上のための活動」を支援したりしています。
他にも、例をあげたらキリがないほど多くの団体・個人が国際的に社会貢献活動を行っています。ODAレベルでみてみると、相手国はアジアから中東・アフリカ・中南米へと広がりをみせています。あなたは何か「貢献」していますか?