世界最悪の人道危機レベルにあるイエメン



「内戦でズタボロ」「100万人がコレラに感染」「900万人が餓死状態」・・・このような悲惨な状況下にあるイエメンですが、情報が少なく、国際社会から孤立し支援が行き届いていません。

「アラブの春」(2010〜2012年にアラブ世界で起こった大規模な反政府デモ) の影響で2011年にサレハ大統領 (独裁政権) が退陣。その後就任したハディ大統領は2015年にイスラム教フーシ派 & サレハ前大統領にクーデターを起こされてしまい、再び内戦状態に。ハディ大統領の政府軍はサウジアラビア (スンニ派) の支援を受ける一方で、反政府軍はイラン (シーア派) の支援を受けるなど、宗教戦争の様相も呈しています。

そんなイエメンには世界遺産に登録されている「サナアの旧市街」や「シバームの旧城壁都市」などの魅力的な場所もあって、本来は見どころ満載の人気観光地なのですが、現状気になるのはやはり治安の悪さです。外務省の危険情報によると、「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」が発表されている状態です。

 

テロが頻発

世界でも指折りの観光地として有名なイエメンですが、残念ながら危険レベル4の治安状況ではいかんせん、どうすることもできません。テロ組織「アラビア半島のアル・カーイダ」などによるテロ攻撃や殺害が頻繁に行われています。イエメン軍も (頑張って) テロ掃討作戦を行ってはいるのですが、現在も治安は不安定な状態です (危険)。いかなる目的であっても、イエメンへの渡航は延期してください。

 

 

外国人を誘拐

イエメンでは外国人を対象にした誘拐が頻発しています。銃器が安く手に入るため、外国人を誘拐し、莫大な身代金を政府に要求するのです。また、刑務所に拘禁されている親族の釈放を求めて「誘拐」することもあるそうです。事件の多くは部族などの手によって誘拐された後、テロ組織に譲り渡されます。

 

 

戦闘が激化

現在も、サウジアラビアなど連合軍の支援を受けている政府軍と、ホーシー派などの反政府勢力との間で戦闘が続いています。一部周辺国では、反政府勢力からの攻撃も発生しています。こうなる前のイエメンは、歴史的建造物が豊富な観光地としてとても魅力的な国だったのですが、本当に残念でなりません。

 

 

避難民キャンプ地

首都サナアから60kmほど離れた荒地に手作りテントが立ち並ぶ (国内) 避難民キャンプがあります。ここには、サウジアラビアとの国境に近いサアダなどの激戦地から避難してきた人たちが住んでいます。残念なことに、国連からの支援は半年に一度あるだけで他は一切ないそうです。「ロシアと日本のNGOが調査に来て写真を撮って行ったけど、一度も支援に来てくれない」といった話もあります。この時は、治安を考慮して「支援は不可能」という判断だったのかもしれません。しかしながら本当は、難民として国外に避難できない人たちこそが支援を必要としているのです。

標高2,000mの高地にある避難民キャンプでは、水・食料・医療など生活に必要なもの全てが不足しています。最低気温はマイナスになり、栄養失調のため命を落とす子も少なくありません。感染症に苦しめられ、寒さに震えながら生きているのです。

 

 

国際社会の関心は薄い

そんなイエメンは「世界最悪の人道危機」状態であるにも関わらず、国際社会の関心はあまり高くないようです。「中東」といえばシリアやイラクの存在感が強すぎて、報道にイエメンが取り上げられることはあまりありません。それにしてもいったいなぜ?

 

 

イエメンに平和を

首都のサナアは2500年以上の歴史を誇っており、「世界最古の街」とも言われています (世界遺産)。その一角に瓦礫と化した場所があります。サウジアラビアからのミサイルで破壊されたようです。住民たちは「近くに軍事施設はないんだけどなー」「大きな電波塔があるから間違えたんじゃないか」と言うことです。そんな場所に、あるジャーナリストが撮影した1人の少女の写真があります。笑顔は一切なく、まるで「この悲劇を伝えて」と言っているかのような写真。

そんなサナアでは今も頻繁に停電が起きています。水不足も深刻で、街中に給水車両がやって来て水を配っている状況です。世界遺産があちらこちらに点在しており、本来であれば観光地として見どころが多いはずのイエメン。私が訪れた国々の中でも、一番と思えるほどの人懐っこさを誇るイエメンの人々。少しでも早く内戦が終わり、イエメンの人々に平和が訪れることを切に願うばかりです。

 

 

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