死刑大国イランの麻薬 (ドラッグ) 事情と減少する死刑因たち



イランでは、死刑に処される多くの人たちが麻薬密売人であると言われています。一方で、薬物中毒患者数は急激に増えており、大きな社会問題となっています。この背景にはどうやら隣国アフガニスタンの存在があるようです。なんといってもアフガニスタンは「世界有数の麻薬産出国」なのですから。

こうした事情があるにも関わらず、イランでは数年前に「麻薬犯罪者に対する死刑の代替刑導入に関する法案」が可決されました。これによって、麻薬犯罪者の死刑執行の80%がなくなると考えられています。これまで死刑または無期懲役とされていた事例が、禁固25〜30年に減刑されるのです。

 


そして、今後も死刑が維持される事例は以下の4つに限定されています。

 

①  逮捕時に銃火器で武装していた場合

②  逮捕者が組織的な麻薬犯罪組織の首謀者である場合

③  麻薬犯罪前科者の再犯

④  大量に製造または密輸した場合

 


ちなみにイランの人口は約8,100万人。このうち300万人もの人たちが薬物中毒患者と言われています。

そして現在、刑の執行を待っている死刑囚の90%が麻薬密輸犯罪者たち。彼らのほとんどが初めて運び屋に手を染めた者であり、肝心の首謀者らは国境の向こうで指揮を取っている (捕まっていない) 状況だということです。

こうした現実もあって、「騙され利用され運び屋となってしまった者たちを処刑の対象にしてはならない」と死刑制度が改正されたのです。

 


◆ イランの麻薬事情 (まとめ)

イランは麻薬の生産国アフガニスタンに隣接しています。そして、ヨーロッパ & 中東への移送ルート上にあることから、密輸と常習者の増加に長年苦しめられてきた歴史があります。国内の常習者は300万人とも言われており、現在は刑務所内への薬物の持ち込みまでもが大きな問題となっています。

これまでイランでは、麻薬犯罪に対して厳罰主義を取られており、その結果、年間処刑者数は中国に次いで世界第2位!人口密度で換算すれば世界第1位の「死刑大国」として、国連人権委員会から非難決議を採択され続けてきています。

麻薬犯罪では死刑が抑止力になっていないというか現実。まずは、麻薬問題の根源である「失業」「貧困」問題をどうにかしないといけません。

 


◆ 小向美奈子逮捕で注目されたイラン人の売人

2009年に覚醒剤取締法違反の罪に問われ懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を受けていた元グラビアアイドルの小向美奈子容疑者は、2015年にも自宅で現行犯逮捕されました。この時、入手先として「イラン人麻薬密売組織」が浮かび上がってきていました。

イランから送られてくるのは売人としてのイラン人。常時数十人のイラン人 (売人) が都内を中心に活動していると言われています。そして、いくら摘発されようが、次から次へと本国から人員が補充されるのだとか。

こうして、小向美奈子だけでなく、多くの芸能人や実業家たちがイラン人と繋がっているわけです。

 


◆ おわりに

イランではアヘンで亡くなる若者が多く、仕事がない人たちと言われています。戒律の厳しいイスラム社会において麻薬はタブーなのですが、イランにはストイックなイスラム教徒以外にもゆるい信者も多いようです。

日本で逮捕されるイラン人が多いのは、1980年代の日本〜イラン間でビザが不要だった時期に、ガラの悪いイラン人が多く日本にやって来たことが背景にあります。この時、日本のヤクザと彼らが結びつき、現在に至っているというわけです。

この流れを止めることはできないものなのでしょうか?不思議でなりません。