ケニアに学ぶべき一歩進んだ「性教育」



世界各国の性教育事情はとってもユニークです。例えばオーストラリアでは「性教育は恥ずかしいものだ」というイメージを取っ払い、オープンな姿勢で5歳くらいから「関係性の大切さ」を教えています。

カナダやイギリスなどでも、早いところでは幼稚園くらいから性教育が始まりますし、アメリカのとある州では小学6年生にコンドームを配布したことも・・・

 

また、「子どもへの性教育が早い国」として有名なオランダでは、早い学校では4歳から性教育を始めるところもあるほどです。小学校ではコンドームの装着実習もあったりなんかして・・・

オランダは「違法にするから無秩序になるんだ」という考えのもと、「ドラッグ」や「売春」を法できちんと管理し秩序を保っています。そういった背景もあり、性教育に関してもオープンなのでしょう。その結果、オランダは世界でもっとも10代の妊娠が少ないのです。

 

 

北欧・フィンランドでは

「ゆりかごから墓場まで」…というフレーズで有名な公的補助制度が充実している北欧のフィンランドでも、性教育はしっかりと行われています (幼児語でも男性性器・女性性器は使い分けられています)。

それは、7歳から始まる性教育の授業をきちんと理解できるためのものであり、大学入試の教科の一つにもなっています。

 

 

ドイツでは

何かと日本と似ているドイツですが、性教育に関しては日本よりもかなりしっかりしています。かつては性教育をタブー視していたようですが、1990年の東西統一以降、ガラリと変わったようです。

ドイツでは、「赤ちゃんはどうしてできるの?」という子供の質問に対して、大人たちはリアルに説明してあげるそうです。それと同時に、避妊の重要性もきちんと説明するのだそうです。

 

 

中国では

一方中国では、いまだ性教育がタブー視されており、性知識の普及がかなり遅れていると言われています。そのため、若者の多くが望まない妊娠・中絶・感染症などの被害を受けているのです。

このように、(日本を含めた) アジアの国々は、軒並み「性教育」が進んでいない傾向にあります。

 

 

ケニアでは

「えっ?男の子も布ナプキン作りに参加するの?」

ケニアのとある小学校では、女性が生理の時に使うナプキンを男の子も一緒に作る講習会が開かれているようです。この手作りの布ナプキンは、当て布を取り換えて洗うことで何度も使えるようになっています。

 

実は、ケニア農村部の子どもたちにとって紙ナプキンはとても高価なもので、ナプキン欲しさに売春をさせられた女の子もいるほどなんです。もし妊娠させられてしまっても、農村部で訴訟を起こすことは現実的ではありません。

こうした社会的背景もあるため、この男女生徒が一緒に「布ナプキン作り」に取り組む…という教育は非常に意義深いものなのです。

 

これまでは、生理ナプキンが手に入りにくい農村部の女の子たちは生理中、学校を休むことが多くありました。そのため勉強がわからなくなり、将来に悪影響をもたらしてもいたのです。

適切な処置ができないまま生理中に登校し、男の子にからかわれてしまうこともありました。しかしながら、男の子も布ナプキン作りに取り組むようになったことで男の子が女の子の体の仕組みを知るきっかけになり、「からかう対象ではない」と理解するようになったのです。

この布ナプキン講習会では、布ナプキンの洗い方、干し方なども併せて教えることで衛生教育も行っています。

 

 

ケニアに学ぼう!

布ナプキン作りの講習会には、子供たちだけでなく地域の大人たちも男女共に参加しています。このことは、皆の健康管理や夫婦関係の改善にも役立っているそうです。

地域一帯となって、「公衆衛生」「健康の知識」「男女の相互理解」などを育んでいっているのです。

 

こうした取り組みは、学校側の積極的な姿勢もあって実現しています。校長先生のやる気がカギになっており、ある方は「性と生殖に関する健康と権利は女性だけの課題ではありません」と熱く語っていらっしゃいました。

こういう考え方は、日本と比べてもかなり進んでいるのではないでしょうか。

(日本では、避妊を教えた教師がクビになったりしています)

 

 

まとめ

これからは、日本でも「恥ずかしい」「照れくさい」と言っている場合ではありません。

ケニアでは、2010年の新憲法で制定された地方分権が2013年から実施に移されています。各地域には10~20世帯をカバーする「コミュニティ・ヘルス・ボランティア」と呼ばれる人たちがいて、各家庭の健康状態を把握したり、健康管理に役立つ情報を提供したりしています。

 

ケニアの人々の健康問題は、病院設備が乏しいだけでなく地域のトイレが使われていないなど、公衆衛生の課題が大きかったのです。

しかしながら、若い世代のリーダたちは意識が違います。コミュニティ(地域)にアプローチすれば、社会文化的な障壁を打ち破ることができると考え、先に述べた「布ナプキン講習会」などを積極的に実施し始めているのです。

 

この「布ナプキン講習会」が行われた小学校では、かつて発生していた小学生の妊娠が、地域を巻き込んだ取り組みによってなくなったそうです。

問題の根っこにある文化ごと地域ぐるみで変えていく。子どもだけでなく大人たちも変わっていく。

 

こうした改善は、経済状況も健康状態もケニアよりはるかに恵まれている日本の社会でも活かせる考え方なのではないでしょうか。

人間関係を良好にし、同性愛への理解を深め、性行動を始める適正年齢を子どもたち自身が考える。。。そうしたことにも繋がっていくのではないかなと思うのです。