イランには「中東」「イスラムの国」「アメリカの敵」「時々日本とサッカーで対戦する国」といった印象がありますが、観光に関していえば「ペルシャ歴代王の贅を尽くした宮殿や遺跡」「美しいモスクや街並み」など、語りきれないほどの魅力があります。
歴史は紀元前3000年頃まで遡ります。世界遺産にも指定されている「ペルセポリスの遺跡」や「ペルシャ帝国の歴代の王たちが建造した絢爛豪華なモスク」など見どころがいっぱい!中東最古と言われる「タブリーズのバザール」は1000年以上の歴史がありますし、絨毯や香辛料などを見て歩くだけでも楽しいです。ヒツジ肉と豆の煮込み料理も味わいたいものですね。そんなイランには世界遺産が22もあります (中東エリアでは最多)。
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イランは中東、西アジアにある国で正式名をイラン・イスラム共和国といいます。国教はイスラム教のシーア派で首都はテヘラン。国土は日本の4.5倍もの広さがあり、イラク、パキスタン、アフガニスタン、トルコといった中東諸国と隣接しています。
住んでいるのは主にペルシャ人で、公用語としてペルシャ語が使われています (英語はあまり通じない)。もともとはペルシャ帝国が栄えた地でもあります。
◉ 人口 : 約8,000万人
◉ 通貨 : イラン・リアル
中東ということで不安を覚える方もいるでしょうが、治安や衛生面はそれほど心配しなくて大丈夫です。物価は日本の3分の1くらいとそれほど高くはありません。外食のバラエティーがあまり豊富ではない点 (ファラフェルサンドやケバブなど) はちょっと残念に思うかもしれませんね。
◉ 宗教 : 90%がイスラム教シーア派 (9%がイスラム教スンニ派、1%がその他
◉ テヘラン観光のベストシーズン
首都テヘランは内陸の高地にあるため季節による寒暖差が激しく、夏は暑く冬は寒いです。ちなみに6~9月は雨がほとんど降りません。というわけでテヘラン旅行のベストシーズンは、草花が美しい4~5月 (春) と果物が実る10月 (秋) がオススメ!服装は (イスラムが厳しい国なので)、女性はスカーフなどで顔を覆い肌の露出を避けましょう。男性も短パンは禁止です。
西アジア・中東を代表する都市テヘランには高層ビルが多く立ち並んでいます。交通網は充実しており、他都市へのアクセスも簡単。テヘラン市内の主な観光スポットは2,3日もあれば十分見て回れます。時間に余裕のある方は他都市も周遊してみましょう。
🔵 アーザーディー・タワー
《続きを読む》アーザーディー・タワーは自由の塔という意味を持つテヘランのシンボル的建造物です。周辺は広場となっており、直ぐそばには国立宝石博物館もあります。このタワーは1971年にペルシア建国2,500年を記念して建てられ、今ではテヘランのランドマークとなっています。エレベーターで展望台に登るとテヘランの街並みが一望できますよ。
🔵 イラン国立博物館
《続きを読む》ここはイラン最古かつ最大の歴史博物館です。建物は本館と別館に分かれており、本館では紀元前6000年から近代までの重要な資料や遺物などが展示されています。様々な展示品がありますが、特にアルケサス朝やサーサーン朝時代の遺物が多く展示されています。
世界遺産にも登録されている「ペルセポリス」の牡牛の柱頭や階段レリーフなどが展示されており、博物館の目玉となっています。そのほか、日本の正倉院の白瑠璃碗や円形切子なども展示されており、日本とのゆかりを感じることができます。別館には8世紀以降の重要な遺物や美術品が展示されているのですが、現在は閉館で再開は未定となっています。
🔵 ゴレスターン宮殿
《続きを読む》ゴレスターン宮殿は約450年の歴史を持つ「イランで最も美しい遺跡」のひとつで世界遺産にも登録されています。ヨーロッパ & ペルシャの建築様式が融合した豪華絢爛な建物で、特に「輝きの間」と呼ばれる広間の壁と天井は鏡張りで息を呑む美しさです。他にも、人気の庭園や民族博物館など見どころ満載!テヘラン随一の観光スポットとなっています。
🔵 サーダバード宮殿
《続きを読む》サーダバード宮殿は、1925年から1979年までイランの地を治めたイラン最後の王朝であるパフラヴィー王家が、夏の間だけ使用する目的で建てられた離宮です。広々とした庭園内にはいくつかの宮殿が点在しており、並木道を抜けたところには宮殿が立ち並んでいます。「白い宮殿」と「緑の宮殿」が主な見どころとなっています。
🔵 トーチャール
《続きを読む》「テヘランの裏山」的存在のアルボルズ山脈 (3,000m超) にはテレキャビンと呼ばれるロープウェイがあり、トーチャールという場所から乗ることができます。イランは娯楽が少ないので、週末はテレキャビンで上に登る家族連れなどで混雑しています。真冬に行けばスキーも可能です。
🔵 グランド・バザール
《続きを読む》テヘラン最古のバザールというだけあって建物の雰囲気が最高です。とにかく広く、生鮮食品から宝飾品まで何でも揃います。観光客向けではないのでお土産物屋さんは少ないのですが、現地の人々が日常的に使うアクセサリーや絨毯・食器などを買うことができ、見ているだけでも十分楽しめます。
《続きを読む》テヘランとイスファハンの間にある小さな町カシャーン。砂漠の中のオアシス都市で、ガナートと呼ばれる地下水路が発達しています。日干しレンガの家が立ち並ぶ旧市街では、古き良き昔ながらのイランの雰囲気を味わうことができます。
アブヤーネ村 (上写真) はカシャーンから南東に70km離れたキャルキャス山麓の渓谷にあります。かつてゾロアスター教徒の村だった名残か、女性は花柄のスカーフやスカートを履き、男性はすその広いズボンを履いています。村には拝火教神殿跡も残っています。
16世紀後半からサファヴィー朝の首都として栄華を極めたイスファハン (エスファハーン) には現在も多くの歴史的建造物が残っており「イランの真珠」とも呼ばれています。イスラムの教えを遵守したモスク建築やタイル装飾はとても素晴らしく、かつては「世界の半分」とも称されていました。
🔵 イマーム広場
《続きを読む》イスファハンは日本の京都のような街です。ここにあるイマーム広場には「イマームモスク」「シェイクルトフォラーモスク」「アーリー・カープ宮殿」「バザール」などが集まっており、特に夜のライトアップされた姿が幻想的です。広場を一望できるチャイハネ (イラン式喫茶店) からのんびりと広場を眺めるのも贅沢な時間の過ごし方でしょう。
🔵 ジョルファー地区
《続きを読む》ジョルファー地区はイスファハンの南西部にある地区です。17世紀に、アッバース1世がアルメニア人の優れた職人や商人をアゼルバイジャンから呼び寄せ、この地区に住まわせました。移住してきたアルメニア人には数々の特権が与えられたそうです。ちなみにジョルファーとは、彼らが元々住んでいたアゼルバイジャン国境付近の町の名前に由来していると言われています。
🔵 スィー・オ・セ橋
《続きを読む》イランの古都イスファハンの中でも、ここ「スィー・オ・セ橋」は隠れたスポットとしてとても人気があります。昼に訪れても十分楽しめますが、夜のライトアップされた時間に行くとより幻想的な風景を楽しむことができます。
🔵 ハシュト・べへシュト宮殿
《続きを読む》1669年、サファヴィー朝後期にシャー・ソレイマーンによって建てられました。ハシュト・ベへシュトには「八つの楽園」という意味があります。 イスファハンにはサファヴィー朝時代に多くの庭園や宮殿が建造されましたが、戦乱でその多くが焼失しました。このハシュト・ベヘシュト宮殿は、イスファハンに現存する数少ない宮殿の一つです。内装には、当時としては珍しい動物や鳥の図柄のタイルが利用されています。 敷地内には緑豊かな庭園が広がり、市民の憩いの場としても利用されています。
🔵 ハージュ橋
《続きを読む》「ハージュ橋」は17世紀に建造されたもので、多くの人々で賑わう憩いの場所となっています。二重構造になっていて、橋の上段と下段のどちらも歩くことができます。夜のライトアップとても美しいですよ。
シーラーズはイランの南部ファールス州の州都です。バラが有名で、シーズン (5~6月) には町中がバラでいっぱいになります。また、イラン4大詩人のうちハーフェズとサアディーを輩出した町としても知られており、彼らの廟にはきれいに整備された庭園があります。ここからは、アケメネス朝時代の遺跡ペルセポリスにも日帰りで行けます。
🔵 エラム庭園
《続きを読む》シーラーズの中心部にあるペルシア式庭園です。19世紀、ガージャール朝時代にエラム宮殿とともに建設された歴史と美しさを兼ね備えた名園と言えるでしょう。
🔵 その他
《続きを読む》ヤズドはイランのほぼ中央に位置する、ゾロアスター教 (拝火教) の聖地とも言われている町です。ここでは、いくつかのゾロアスター教の寺院を見学することができます。標高は1215mですが砂漠の中にあるため、乾いた熱風と刺すような日差しが特徴です。
《続きを読む》マシュハドはイラン第二の都市で、シーア派の聖廟都市の一つと言われています。ここにはイスラム教の聖地イマーム・レザー廟や中央博物館、ハラメ・モハッタル広場などがあります。毎年2,000万人もの巡礼者が訪れるんですよ。
《続きを読む》イラン北西部に位置する100万都市タブリーズの歴史も古く、街の成立は遅くとも3世紀にまで遡ると言われています。いくつもの王国の都となっては滅ぼされるという歴史を繰り返してきており、歴史的建造物の多くは遺跡として残っています。とはいえ、古都タブリーズには観光の見どころがいっぱい!特に美しいアーケード付きのバザールは必見です。
ほかにも、1465年に建造された「ブルー・モスク」や様々な博物館などを巡ってみましょう。
《続きを読む》イラン北部に位置する、絨毯の産地としても有名なこの場所は標高1300mにあるため、避暑地としても人気があります。
《続きを読む》人口約65万人、ザクロス山脈に抱かれたケルマンシャー州の州都です。紀元前5世紀頃、アケメネス朝の領土内に張り巡らされた「王の道」の中継点として栄えたことが街の起源と言われています。交通の要所であるため、現在でもクルド人をはじめ多くの民族が生活しています。近くにはササン朝時代のレリーフが美しく残っている「ターク・イ・ブスタン洞窟」や岸壁にレリーフやダレイオス1世の記念碑が残る「ビストゥーン」などがあります。
《続きを読む》キリスト教の歴史が最も古いアルメニアの人々が生み出した世界遺産は、アルメニアにだけあるわけではありません。イランにある「アルメニア人修道院建造物群」は2008年、世界遺産に登録されました。ここはアルメニアにもほど近いイラン北西部にあります。アルメニアの人々は何千年という歴史の中、様々な国からの侵略を経験し、多くの文明破壊を経験した民族です。
この「アルメニア人修道院建造物群」辺りは人災と天災を多く経験してきました。それでもなお、東方正教会・東ローマ帝国・ペルシャ・ムスリムそしてアルメニアの文化を融合させ今もその面影を残し続けています。ちなみに「アルメニア人修道院建造物群」は、聖タデウス修道院・聖ステファノス修道院・ゾルゾルの聖マリア礼拝堂の三つで、1000年以上の歴史を超えて今も静かに佇んでいます。興味のある方は現地ツアーに申し込んで足を運んでみてくださいね。
《続きを読む》ここはパキスタンやアフガニスタンからもそう遠くないイラン南東部に位置する町です。小さな町ではありますが、サファビー朝時代の城砦「アルゲ・バム」があり世界遺産に登録されています。アルゲ・バムは2003年の大地震で一部崩壊してしまいましたが、それでも17世紀当時の威容を感じ取ることができるでしょう。
《続きを読む》「イランのカッパドキア」とも言われるゲシュム島はイラン南部に位置しホルムズ海峡に面しています。ペルシア湾最大の島で、その魅力は何といっても多様な自然!隆起などの地殻変動、雨風による浸食によって未知の惑星のような奇観が広がっています。また、渡り鳥をはじめ多種多様な生物の楽園にもなっています。
住民の多くはイスラム教スンニ派を信仰しているため、本土とは異なる独特の伝統が保持され続けています。村人が作った手作りの小物はお土産として人気です。現在はエコアイランドとして日本も島の開発に関わっています。
《続きを読む》中東の町の中心には必ずと言っていいほど大きなバザールがあります。ここでは、お菓子やスパイスなどの食料品から服・小物・ゴールドまで、多種多様な物が売られています。見てるだけでも楽しい観光スポットの一つと言えるでしょう。主要都市にはスーパーや大型ショッピングモールなどもありますが、どうせなら雰囲気満点のバザールで買い物をしていただきたいものです。
イランは、職人さんによる手作りの品々が素晴らしい国です。他にも、銅細工・銀細工・ランプ・水たばこセットなどもイランらしくていいですね。
《続きを読む》イランでは、イスラム教に基づいた道徳教育が徹底されています。そのため治安は比較的良く、観光客が犯罪に巻き込まれるケースはあまりありません。観光名所では、夜景がきれいな場所もいくつかありますが、そのような場所でも危険を感じることはほとんどありません。
とはいえ、遺跡は郊外にあることも多いため、ホテルなどで紹介された信頼できるタクシーを使うようにしましょう。また、夜遅くなりすぎないよう常識的な時間にホテルに戻ることも大事です。こうした基本を守っていれば、イランは危険な国ではありません。ただし、周辺諸国や国境付近では危険レベル4と入ってはいけない地域もありますので、十分に気をつけてください。
🔴 習慣の違いに注意!
お酒は違法なので、イラン入国時にはすべて没収されます。また、イラン国内での製造も違法とされていますので、どぶろくのようなお酒 (密造酒) を勧められても飲まないようにしましょう。衛生的にも怪しいものです。また、男女の区別は絶対に守らなければならないので、女性専用車両や女性用トイレに間違えて入ろうとするといきなり殴られることもあります。くれぐれも、現地の習慣には注意してください。
🔴 観光客向けのサービスは少ない!
独自の政策をとり続けているイランでは、観光産業に無頓着。そもそも外国人観光客はあまりいません。なので、他の外国よりも特に厳格にルールを守らないといけないと心得ておきましょう。
🔴 日本人と思われた方が安全!
治安の悪い国では「日本人」と思われない方が安全だったりしますが、イランでは「日本人」と思われた方が安全です。なぜなら、イランではアフガニスタン人への差別意識が強く、そのアフガニスタン人と日本人の顔立ちが似ているからです。万が一アフガニスタン人と勘違いされてしまったら「麻薬密輸者」「泥棒」と思われ、石を投げつけられるかもしれませんよ。
🔴 女性は痴漢に注意!
宗教的ルールが厳しく治安が良い反面、息苦しく感じている人もいるようです。一部のイラン人男性は「外国人旅行者になら多少ハメを外しても良い」と考え、痴漢行為に及ぶことも。稀なケースではありますが、一応注意しておきましょう。
イランは、「治安良好」で「見どころの多い」国の一つです。とはいえ、習慣の違いには十分な注意が必要です。近年は、イラン人女性ボクサーがフランスで試合をして、肌を露出 & ヘジャブ (スカーフ) を着けていなかったことを問題視され、帰国できなくなってしまいました。
とはいえ、外交的にも日本とイランの関係は良好ですし、イラン人は親切な人が多いので、旅行に関しては安心です。皆さんも、イランの魅力を自分の目で確かめてみませんか?最後に一点、闇の両替商だけには気をつけてくださいね。
観光客にとって一見得に感じる話を持ちかけてきますが、「レートをごまかす」「お札の数え方をごまかす」「お金を持ち逃げする」といったこともあり得ます。何より、闇両替は違法です。旅行者はおとなしく銀行で両替しましょう。それでは素敵な旅を!