微笑みの国タイランドを日本と比較してみると、バンコクが東京、チェンマイが京都といった感じでしょうか。「じゃあ私はチェンマイに永住してみたい!」・・・そう考えている方も少なくないことでしょう。
これから先の人生をどの国でどう過ごそうか、と長年ずっと考えてきましたが、「タイランド・エリート」や「タイランド・イージー・アクセス」 (エリート会員の準会員) を購入すれば、50歳未満であってもタイ生活を送ることが比較的容易になりました。
※ 「タイランド・イージー・アクセス」の資格条件は以下の通りです
《続きを読む》- 20歳以上
- 過去に破産宣告していないこと
- 精神障害などを発症していないこと
- 無犯罪であること
- 価格: 50万バーツ (約150万円)
- 年会費: なし
- 名義変更: 不可
- 会員期限: 5年
なお、上記の金額に150万バーツを追加すれば、後日「タイランド・エリート」(正会員資格) へアップグレードも可能です。
もちろん、すぐにタイに移住するのではなく、ビザなしで30日以内の滞在を何度か繰り返し、タイのどの地域が永住の地に相応しいのかをじっくり検討してみるのが第一歩だと思っています。
この記事では、チェンマイという街が移住の観点からどういうところなのかを簡単にまとめてみました。皆さんにとって何かの役に立てば幸いです。
チェンマイの住環境について
《続きを読む》首都のバンコクから北へ700km。大都市バンコクと比べると第2の都市チェンマイはとても自然が多く長閑な場所と言えるでしょう。緑と水に囲まれた古都であり、気候がよく物価が安い。
市街地はそこそこに都会的であり、和食店や居酒屋、カフェも多く、大きな病院も整っており、何かあった時の不安が少ない。なんとも住みやすそうな街ですね。
ただし、中心部の交通量は多く、空気はけっしてきれいではありません。ちょっと離れた場所であっても交通量は多く、やはり空気は汚いです。
というわけでチェンマイ (の観光地) は、残念ながら深呼吸をしながら清々しい散歩を、といった場所ではありません。他の東南アジアの都市と同じく埃っぽい感じなのです。
それでも、さらに中心部から離れた場所まで行くと状況は一変します。緑が多く、空気はきれいに。こうした郊外エリアのホテルに滞在すると、夜には鈴虫や蛙の鳴き声が聞こえてきます。
また、チェンマイはあちらこちらに寺院があるため、風光明媚な町…京都チック…といった印象があるのではないでしょうか。まるで街そのものがパワースポットであるかのようなチェンマイに暮らしてみると、自分の内面と向き合うことができ、活力が蓄えられていくことでしょう。
チェンマイの交通と気候
《続きを読む》町の歩きやすさに関して言えば、特に高齢者や障害者にとっては良い (道を横断しやすい) とは言えません。 一応歩行者用の信号もあるにはあるのですが、青になっても関係なく車やバイクが突っ込んできます。
そもそも信号自体が非常に少なく、道を渡るにはコツと忍耐が求められます。つまり、少々歩きづらい町…ということになります。
乗り物は、中心地であれば流しのタクシーやトゥクトゥク、ソウテウ (乗り合いバス) などがかなりの数走っています。行先や拘束時間によって値段交渉が必要ですが、自分の行きたい場所へまっすぐに向かえます。
タクシーなら価格は高くなりますが、排ガスから逃れて冷房車内でゆったりと移動できます。一方で、交通網があまり発達していないエリアもあり、そんな場所ではレンタサイクルかピックアップトラックのみ。
インフラの設備は概ね整っています。インターネットは十分に使うことができ、動画視聴・ファイルのアップロードなどにも速さの問題はないようです。ただ、急速に発展したことで電線の整備が追いついてなく、稀に停電があります。
気候に関しては、チェンマイはバンコクよりも北にあり山に囲まれている印象から涼しいと思われがちですが、季節によってはバンコクよりも暑いといわれています(6〜10月が雨季、11〜5月が乾季)。
盆地ゆえ、夏は気温が45度を超す日もあります。また、11〜2月頃 (観光のベストシーズン) は比較的涼しく過ごしやすいのですが、雨が降らないため空気が悪く、この期間の後半頃は街全体が霞んで見えます。
チェンマイでの食事について
《続きを読む》タイの人々は自宅で料理をしないことが多く、朝から夜中まで屋台や食堂が安い定食や麺類を提供してくれます。テイクアウトも可能です。なので、賃貸アパートにキッチンがなくても食事に困ることはないでしょう。
チェンマイは、バンコクと比較すればローカルフード (地元料理) 以外のお店が少ないと感じるかもしれませんが、実は中華や和食、韓国、西洋のレストランも数多くあります。
MAYA (大きめのショッピングモール) などは、夜になるとライトアップがなされていてとてもきれいですよ。ここのレストランフロアには日本食レストランが多いです (やよい軒、フジレストラン、ココイチ、鉄板焼きのMIYAZAKI、SHABUSHIなど)。
つまり、「タイ料理以外のものも食べたい」という方にとっても (予算は若干高めになりますが)、飽きることなく外食を続けやすい環境と言えるでしょう。本格的な日本のラーメンを食べることもできます。
正直、和食の味のレベルはイマイチですが、定食は500円弱の値段から食べることができ、バンコクと比べると割安感があります。
ただし、バンコクやマニラといった大都市の和食に慣れてしまっている人にとっては、チェンマイの和食は少々物足りなく感じてしまうかもしれません。
それでも、メキシコ料理、イラク料理、ハンバーガー、サンドイッチ、ステーキ屋、カフェ、バーなど、一通りお店は揃っているので、チェンマイに移住するとして、1年くらいはそれなりに食事も楽しめるのではないでしょうか。
日常的に和食を食べたいのであれば、自炊することをオススメします。
当然のことながら、タイ料理を食べるには事欠きません。カオニヨウ(もち米)やサイウア(ソーセージ)、カオマンガイ、グリーンカレー、トムヤムクン、カノムジーンなど、本場のタイ料理を思う存分満喫あれっ!
食費は、ローカルフードに限って言えばとっても安いです。確かに、ここ10年ほどで物価は急激に上がってきていますが、「外国の料理を毎日食べたい」ということでもない限り、食費はそんなにかからないはずです。
コンビニ、スーパー、マーケット、いずれをとっても日本の価格とは比べ物にならないくらい安いですよ。
チェンマイの住まい
《続きを読む》長期間生活していくにあたり、生活費 (衣食住) は大事ですね。まず、ここチェンマイを歩いていると、よく住宅のセールや賃貸の看板を見かけますが、家賃相場はかなり安いと言えるでしょう。
イメージとしては、バンコクの半値で部屋を借りられる感じです。1万5000円〜4万円程度でバスタブ付きの少しリッチな部屋を借りることができます。
ただし、新築のコンドミニアムを購入しようと思えば、40㎡ほどの部屋でも1300万円ほどになってしまい、けっして安くはありません。
しかも、タイの場合は外国人がローンを組むことができないため、タイ人の奥さんでもいない限り一括払いするしかありません。
チェンマイに本格的に移住しそこに暮らすのであれば問題ないのですが、万が一その物件を賃貸として活用したいと思っているのであれば若干の注意が必要です。利回りはあまりよくない可能性があります。
基本的に、投資用物件としてコンドミニアムなどを購入しインカムゲインで回していくという発想はあまりオススメできません。少し厳しいのではないでしょうか。
さて、
旅慣れたバックパッカーであれば、多くのゲストハウスで値引き交渉を伴う長期滞在が可能です。安いアパートメントよりも、ゲストハウスのスタッフと親しくなることで食事などの面でもプラスになることがあります。電気代・水道代・Wi-Fiが込みなのもありがたいですね。
小中規模のホテルではマンスリーレンタルを行っているところもあり、かなり割安です。キッチンはついていませんが、外食産業が発達しているので問題としない人も多いでしょう。
冷蔵庫はあり、お湯のシャワーが出て、電気・水道代が込みでプールつきの場合もあります。安全面でも裏路地のアパートメントよりも優れているのでおすすめです。
アパートメントの場合には、多くの場合月単位の貸し出しとなります。キッチン・ガス・シャワー・お湯などの設備は付いていたりいなかったり。なので、条件次第で家賃は大きく変わってきます。
そしてもう一つ。
日本人駐在員は外国人用のコンドミニアムに暮らしていますが、夏休みやクリスマス休暇を日本で過ごすため日本人限定で貸し出す人もいます。運よくそんな物件にあたると、メイド付きプール・ジム付きのハイスペックマンションで暮らせる可能性もありますよ。
外国人が集まるエリアにはインターネットが使えるレストランやカフェが多数あります。ゲストハウスやホテルなどもWi-Fiの利用が可能です。
ただし、個人で借りるアパートメントなどでは別契約または別料金となる場合もありますので、その辺りも計算して住まい探しをする必要がありそうです。
1ヶ月滞在する予算の目安
《続きを読む》タイという国は全体的に物価が安く、チェンマイはその中でも首都バンコクや観光地プーケットなどに比べて2〜3割ほど予算が下がると考えていいでしょう。
予算が下がる分生活がしにくいかというと、そうでもないのがチェンマイの長所です。外国人が長期滞在するのに必要な要素が整っているため、日本人を含めた外国人の長期滞在者はかなり多いのが現状です。
実際の滞在予算は、ローカル風に暮らせば1か月8万円程度で十分余裕があるでしょう。生活費を安く抑えようと思えば、節約して夫婦2人で月6万円ほどが一つの目安です (家賃2〜3万円、食費・水道光熱費などの雑費で3〜4万円)。
一方で、セキュリティ完備、プール・ジム完備の外国人用コンドミニアムで暮らすなら20万円でも足りない可能性があります。
治安は?
《続きを読む》基本的に、チェンマイの治安はさほど悪くはありません。ただし、近年は世界中どこにいても (日本であっても) 絶対に安全とは言い切れません。
さらに、チェンマイにはタイの他の町同様野良犬がいますので、万が一噛まれでもしたら狂犬病や感染症のリスクも出てきます。海外で病気や怪我になると保険などの問題もあって厄介ですよね (医療費、高いですし)。
その点、頭の片隅に入れておきましょう。
もう一つ、これはチェンマイに限ったことではありませんが、日本人に対しては詐欺、価格の上乗せ、スリ、置き引きといった軽犯罪が多発しています。この点注意が必要です。
(長期滞在用の) ビザ
《続きを読む》50歳以上の方であれば、1年ごとに更新できるリタイアメント (ロングスティ) ビザ制度があります。2017年度時点では、タイ国内に約210万円ほどの預金があるか、それなりの年収 (月換算で17万円ほど) があるか、あるいは預金と年収の合計が約210万円ほどあるか、といったところがビザの取得条件となります。
(随時変更の可能性もあります)
夫婦両方がリタイアメントビザを取得しようとする場合、2人ともが上記の条件を満たしていなければなりません。
一方で、片方がリタイアメントビザを取得していれば、配偶者はノンイミグラントビザを取得することもできます。こちらは90日ごとに更新が必要ですが、収入証明などは必要ありません。
また、年金ビザというものもあります。こちらは60歳以上の方が対象で、毎月の年金収入が約15万円ほど必要です。90日間という短期ですが、3ヶ月ごとに延長申請が行えます。
《 その他 》
そもそもタイは、30日以内の観光であればノービザで滞在することができます。30日以上滞在したい場合は、観光ビザ (60日間) を取得しましょう。加えて、30日間の延長申請が行えるので、リタイアメントビザや年金ビザがなくても、トータル90日間は滞在することができます。
それ以上の長期滞在にはあらかじめダブルやトリプルエントリーの観光ビザを取得しておくことで、最長(60+30)×2 = 180日、または (60+30)×3 = 270日の滞在が可能です。
それ以上のロングステイには、ノン・イミグラントビザを取得することになりますが、条件が厳しくなります。50歳以上であればリタイヤメントビザが比較的容易に取得可能です。
いずれにせよ、タイは入出国管理が厳しく、一度でも滞在日数を越えてしまったりビザの申請が遅れたりすると、次回の入国が難しくなることもあるので注意しましょう。
その他の注意点として、ノービザで入国した場合、タイ国内でビザの発給手続きを行うことはできないということは覚えておきましょう。
タイは個人で就労ビザを取得しにくく、現地で働きながらのロングステイは難しい面もありますが、(日本にある程度の収入があるか貯蓄があれば) 観光ビザで長期滞在しながら、その先について考えてみるのもいいかもしれません。
日本のコミュニティと医療事情
《続きを読む》まずはじめに、チェンマイに住んでいる日本人 (4000人弱) のうち半数は60歳以上の高齢者です。そんな日本人たちのコミュニティは狭く、仲が悪くなってしまうと暮らしにくくなってしまう、というリスクもあるようです。
逆に言えば、日本人以外のコミュニティに属しているとか、現地であまり人間関係を重要視していない方であれば全く問題ないでしょう。
チェンマイの総合病院の医療水準は高く、技術や設備面での心配はありません。日本語通訳が常駐している病院もあります。キャッシュレス対応はもちろん、国際病棟など外国人滞在者向けのサービスを充実させている病院もあります。
また、個人でも通訳を雇うことができます。長期滞在の場合には、日頃から困った時に相談できる日本語の話せる現地の人と知り合いになっていると心強いですね。
チェンマイの主な観光スポット ☆
《続きを読む》旧市街には古都だった頃の遺跡が、旧市街の外 (新市街など) にはマーケットが立ち、どこにいても、朝も夜もブラブラ歩きが楽しめます。
郊外まで足を伸ばせば、ゾウやトラなどの魅力的な動物たちと戯れられるファームや少数民族の村があり、豊かな自然を生かしたゴルフ場やトレッキングコースなどを楽しむこともできます。
タイのチェンマイ観光ガイド ⑦ 11月開催のロイクラトン祭り
また、ミャンマーとの国境が近いため、週末を使って出かける人も多いようです。
まとめ ☆
《続きを読む》今回は、敢えてチェンマイの負の部分を強調する形でお伝えしてきた部分もありましたが、実際問題として、チェンマイに移住した場合の住環境、物価、治安、日本人のコミュニティなどを総括して考えると、チェンマイは住むにはそれなりに適していると言えるでしょう。
ただし、観光ではなく移住が目的なのであれば、空気の汚いチェンマイ中心部よりも、少し離れた空気のきれいな郊外エリアをオススメします。そして、暑さが苦手な方には厳しいかもしれませんね。
いずれにせよ、どこに住むのか、どんな仕事をするのか、どんな人たちと付き合っていくのか。これらは全てあなた自身が決めること。
まずは永住ではなく、1年住んでみて住み続けたければもう一年…といったスタンスで始めてみてはいかがでしょうか。
そして、タイに住むためにビザを取るのであれば、チェンマイ以外にもバンコクやプーケットといった場所もしっかり検討してみてください。
そして、「タイランド・イージー・アクセス」を申し込むかどうかも含めて、しっかりと煮詰めていきましょう。
※ 「タイランド・イージー・アクセス」の特典は以下の通りです
- 5年間入国自由
- 空港でのVIP待遇エスコートサービス
- 免税店や指定ホテル・レストランでの割引
- 会員専用コールセンターあり
チェンマイは物価が上がり、外国人居住者が増えたため、長期滞在の費用は以前に比べれば上がってしまいましたが、その分住みやすさはアップしています。そして、物価が上がったとはいっても、先進国の物価から考えるとまだまだ低め。
というわけで、
仏教徒や外国人が多く、おおらかで優しい人たちが多く住んでいるチェンマイを移住先の候補の一つに加えてみてはいかがでしょうか☺️
ただし、どこに移住するにせよ、海外在住で一番大変なのは滞在許可(ビザ)の取得です。また、滞在国で収入を得ることも難しいこと。法律をよく理解し、滞在国に失礼のないよう肝に銘じておきましょう。
最後に、
移住と構えるとなかなか第一歩が踏み出せないかもしれませんが、旅の延長からの移住…と考えると少しは気が楽になるのではないでしょうか。どんどん旅に出て、暮らすような旅をして、町に溶け込んで、楽しんでみてください!
生活費はそんなに高くなく、インフラもある程度整っている、平均的にみて非常に安定している街チェンマイ。一考の価値ありです。
(住みやすさというのは人によって違いますが、便利・快適を求めるならバンコク…なのかもしれません。チェンマイは人気がありますが、自分で車かバイクを持たないと移動が難しいかもしれないですね。)